楽器の物理学

楽器の物理学

原書名 THE PHYSICS MUSICAL INSTRUMENTS
著者名 岸 憲史
久保田 秀美
吉川 茂
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年06月
判型 B5変
ページ数 784ページ
ISBN 978-4-621-06569-3
Cコード 3042
ジャンル 物理学 >  物理学一般 >  物理読み物

内容紹介

楽器の物理についての体系的な解説書。物理学的に楽器のもつ機能を捉え、振動励起と音の放射の現象を数学的な明確さをもって説明。振動系と音波についての基本原理を解説する前半部と、弦楽器、管楽器、打楽器に分類された個々の楽器について解説する後半部からなる。数学的な厳密さを重んずる一方で、多くの写真や図を使用してわかりやすく説明する。

目次

第I部 振動系
 第1章  簡単な振動系の自由振動と強制振動
  1.1 1次元の単純な調和振動
  1.2 複素振幅
  1.3 1次元における2つの調和振動の重ね合わせ
  1.4 エネルギー
  1.5 減衰振動
  1.6 他の簡単な振動系
  1.7 強制振動
  1.8 振動子の過渡応答
  1.9 2次元の調和振動子
  1.10 振動のグラフ表示:リサージュ図形
  1.11 2質量系の基準モード
  1.12 非線形性について 
 第2章  1次元の連続な系:弦と棒
  2.1 直線配列の振動子
  2.2 弦の横波の運動方程式
  2.3 波動方程式の一般解:進行波
  2.4 固定端と自由端における反射
  2.5 波動方程式の調和振動解
  2.6 定在波
  2.7 振動している弦のエネルギー
  2.8 はじいた弦(撥弦):時間分析と周波数分析
  2.9 叩いた弦(打弦)
  2.10 弓で擦った弦(擦弦)
  2.11 駆動した弦:インピーダンス
  2.12 指示端の運動
  2.13 減衰
  2.14 弦あるいは細棒の縦振動
  2.15 棒の曲げ波
  2.16 固定端と自由端をもつ棒
  2.17 太い棒の振動:回転慣性とせん断ひずみ
  2.18 剛性のある弦の振動
  2.19 剛性のある弦と重りをつけた弦における分散:しゃ断(カットオフ)
  2.20 棒のねじり振動
 第3章  2次元の振動系:膜、板および殻(シェル)
  3.1 矩形膜の波動方程式
  3.2 正方形膜:モードの縮退
  3.3 円形膜
  3.4 現実の膜:スティフネスと空気負荷
  3.5 薄板の中を伝わる波
  3.6 円板
  3.7 楕円板
  3.8 矩形板
  3.9 正方形板
  3.10 周辺固定の正方形板と矩形板
  3.11 木の矩形板
  3.12 膜面内の曲げ合成
  3.13 シェルの振動
  3.14 駆動点インピーダンス 
 第4章  結合振動系
  4.1 2つの同じ振動子の結合
  4.2 基準モード
  4.3 弱い結合と強い結合
  4.4 強制振動
  4.5 結合のある電気回路
  4.6 2質量系の強制振動
  4.7 多くの質量を持つ系
  4.8 周波数応答関数の図的表示
  4.9 響板と振動弦との結合
  4.10 駒で結合された2本の弦
 第5章  非線形系
  5.1 一般的な解法
  5.2 非線形振動子
  5.3 自励振動子
  5.4 多重モード系
  5.5 自励振動系におけるモード同期現象
  5.6 弦の非線形の効果
  5.7 板とシェルの非線形の効果
第II部 音波
 第6章  空気中の音波
  6.1 平面波
  6.2 球面波
  6.3 音圧レベルと音の強さ
  6.4 反射,回折,吸収
  6.5 キャビティ内の基準モード
 第7章  音の放射
  7.1 簡単な多重極子
  7.2 点音源の対
  7.3 点音源のアレイ
  7.4 球音源からの放射
  7.5 線音源
  7.6 バッフルのある平面音源からの放射
  7.7 バッフルがない音の放射体
  7.8 大きな板からの音波の放射
 第8章  パイプとホーン
  8.1 無限に長い円筒状パイプ
  8.2 管の内壁での損失
  8.3 有限長の円筒パイプ
  8.4 パイプからの音の放射
  8.5 インピーダンス曲線
  8.6 ホーン
  8.7 有限長の円錐ホーンとエクスポネンシャルホーン
  8.8 ベッセルホーン
  8.9 複合ホーン
  8.10 摂動法
  8.11 数値計算
  8.12 湾曲しているホーン
  8.13 音響インピーダンスの測定
  8.14 時間領域
  8.15 類推回路(等価回路)
第III部 弦楽器
 第9章  ギターとリュート
  9.1 ギターの設計と制作
  9.2 連成振動系としてのギター
  9.3 弦が作用する力
  9.4 構成部品の振動モード
  9.5 表板とキャビティの結合:2共振器モデル
  9.6 裏板との結合:3共振器モデル
  9.7 ギターの胴体の共振
  9.8 弦の力に対する応答
  9.9 音の反射
  9.10 共振,放射音,そして品質
  9.11 スケールされたギター族
  9.12 合成材の利用
  9.13 エレキギター
  9.14 フレットと補正
  9.15 リュート
  9.16 そのほかの撥弦楽器
  9.17 一方に束縛のある駒   
 第10章  擦弦楽器
  10.1 小史
  10.2 ヴァイオリンの音響学の研究
  10.3 ヴァイオリンの構造
  10.4 擦弦の運動
  10.5 ヴァイオリン胴体の振動
  10.6 ヴァイオリンの胴の過渡的な波動応答
  10.7 魂柱と力木
  10.8 駒
  10.9 音の反射
  10.10 弓
  10.11 ウルフ音と演奏しやすさ
  10.12 ヴァイオリンの音質
  10.13 ヴィオラ,チェロ,ダブルベース
  10.14 ヴィオール
  10.15 新しいヴァイオリン族
 第11章  ハープ、ハープシコード、クラヴィコードとダルシマー
  11.1 伝統的楽器
  11.2 ハープ
  11.3 ハープシコード
  11.4 ハープシコード設計上の考察
  11.5 ハープシコードの特性
  11.6 クラヴィコード
 第12章  ピアノ
  12.1 ピアノの一般的なデザイン
  12.2 ピアノのアクション
  12.3 ピアノ弦
  12.4 ピアノのハンマー
  12.5 響板
  12.6 音の減衰:弦,駒,響板の相互作用
  12.7 スケーリングとチューニング
  12.8 調律と非調和性
  12.9 音色
  12.10 電気ピアノ 
第IV部 管楽器
 第13章 リードおよび唇の振動による音の発生
  13.1 圧力制御バルブ
  13.2 準静的なモデル
  13.3 演奏周波数での発振器の振舞い
  13.4 フリー・リード
  13.5 ホーンと結合した発振器
  13.6 大振幅での挙動
  13.7 非線形解析
  13.8 数値シミュレーション
 第14章 金管楽器
  14.1 金管楽器の歴史的発展
  14.2 ホーンの形状
  14.3 マウスピース
  14.4 放射
  14.5 スライドとバルブ
  14.6 小振幅発音状態での非線形
  14.7 大振幅発音状態での非線形
  14.8 入力インピーダンス曲線
  14.9 トランジェント
  14.10 音響スペクトル
  14.11 弱音器
  14.12 演奏技法
 第15章 リード木管楽器
  15.1 木管楽器の管体形状
  15.2 指穴
  15.3 インピーダンス曲線
  15.4 リードと空気柱との相互作用
  15.5 指向性
  15.6 演奏技法
  15.7 音響効率
  15.8 極限スペクトル
  15.9 クラリネット
  15.10 オーボエ
  15.11 バスーン
  15.12 サキソフォン
  15.13 キャップのついたリード楽器
 第16章 フルートとフルー・オルガンパイプ
  16.1 空気ジェットの力学
  16.2 空気ジェットの変動
  16.3 ジェット—共鳴器間の相互作用
  16.4 発音メカニズム
  16.5 厳密な流体力学的アプローチ
  16.6 非線形性と倍音の発生
  16.7 トランジェントおよびモード遷移
  16.8 空気力学的ノイズ
  16.9 単純なフルート型の楽器
  16.10 リコーダ
  16.11 フルート
 第17章 パイプオルガン
  17.1 一般的な設計原理
  17.2 オルガンパイプのランク
  17.3 フルー・パイプのランク
  17.4 代表的なフルー・パイプ
  17.5 ミクスチャーとミューテイション
  17.6 調律とテンペラメント
  17.7 フルー・パイプからの放射
  17.8 フルー・パイプでのトランジェント
  17.9 フルー・パイプのボイシング
  17.10 パイプ材質の効果
  17.11 リード・パイプのランク
  17.12 音色の分析
  17.13 音響設計
第V部 打楽器
 第18章 ドラム
  18.1 ケトルドラム(ティンパニ)
  18.2 バスドラム
  18.3 スネアドラム
  18.4 トム・トム
  18.5 インドのドラム
  18.6 和太鼓
  18.7 インドネシアドラム
  18.8 ラテンアメリカのドラム
  18.9 タンバリン
 第19章 マレット系打楽器
  19.1 グロッケンシュピール
  19.2 マリンバ
  19.3 音板の調律
  19.4 共鳴器  
  19.5 シロホン
  19.6 ビブラホン
  19.7 マレット
  19.8 チャイム
  19.9 トライアングルとペンタングル
  19.10 ガムラン楽器
  19.11 チューバホンとガムラン・チャイム
 第20章 シンバル、ゴング、プレートおよびスチールドラム
  20.1 シンバル
  20.2 タム・タム
  20.3 ゴング
  20.4 クロテイル
  20.5 ベル板
  20.6 たわませた板:ミュージカル・ソー
  20.7 スチールパン
 第21章 ベル(鐘)
  21.1 チャーチべルの振動モード
  21.2 調律とテンペラメント
  21.3 打音
  21.4 長3度ベル
  21.5 音の減衰と震音
  21.6 ベルのスケーリング
  21.7 ハンドベルの振動モード
  21.8 ハンドベルの音色と調律
  21.9 ハンドベルにおける音の減衰と震音
  21.10 ハンドベルのスケーリング
  21.11 音の反射
  21.12 バスハンドベル
  21.13 クラッパー
  21.14 古代中国の2声ベル(編鐘)
  21.15 中国,韓国,および日本の梵鐘
第VI部 材料
 第22章 楽器の材質
  22.1 材料の機械的な特性
  22.2 管楽器の材質
  22.3 木材
  22.4 プラスティックと複合材料
  22.5 金属
  22.6 むすび

出版社からのメッセージ

本書は、2002年10月にシュプリンガー・ジャパン株式会社より出版された同名書籍を再出版したものです。

本書籍は価格変更に伴い、ISBNを変更しました。
旧ISBN::978-4-621-06314-9
内容に変わりはありません。

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本書は、書籍からスキャナによる読み取りを行い、印刷・製本を行っています。
一部、装丁が異なったり、印刷が不明瞭な場合がございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
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