内容紹介
思想戦の戦士としての活躍が期待された文学者たちは、大東亜共栄圏を謳って展開される戦局の中、国家・国民のためにどれだけ役に立てるのかという社会性に、それぞれのスタンスで向きあっていった。これまで、ていねいに検証されることのなかった太平洋戦争開戦後の文学について、同時代資料の広範な調査・分析に即して、言表された限りにおける文学者の言動や作品、評価軸の変動について考察する。2018年度神奈川大学学術褒賞作品である前著『日中戦争開戦後の文学場』と対をなす研究書。
目次
第1部
第1章 文学(者)と思想戦
第2章 マレー・シンガポール攻略作戦をめぐる報道文
第3章 太平洋戦争開戦後における文学者の使命・役割
第4章 昭和10年代広範の新しい文学─芥川賞受賞作品の同時代評価
第2部
第5章 大東亜共栄圏の裂け目─第一回大東亜文学者大会の修辞学
第6章 太平洋戦争末期の文学者─第二回大東亜文学者大会・決戦会議
第7章 空襲下の文学者─第三回大東亜文学者大会・南京大会
第8章 大東亜会議・大東亜共同宣言と文学(者)