家族の倫理学

家族の倫理学(電子書籍)

著者名 志水 紀代子
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年03月

内容紹介

様々な社会問題にもつながる「家族問題」の核心に鋭い視点で迫る。代理出産、児童虐待、少年非行、専業主婦の今後、いじめによる自殺など、現在の家族が抱える様々な重要課題を解説するとともに、問題解決への処方箋、これからの家族のあり方のヒントを定時。待望された倫理学的「家族論」。

目次

プロローグ
 相次ぐ「家族内の事件」/背景にある社会の変化/多様化する「家族」/今、求められている「家族」/
 なぜ、いま「BYJ家族」なのか/「いのちの授業」をおこなった大瀬敏昭校長
第1章 「家族」とは
 壬申戸籍の歴史的意味/<家族>の確立/家族の呪縛を解くために
第2章 「理想の家族」の神話の誕生まで
 主婦の誕生/伝統的な家族における女性たち/新中間層の家族の出現と家庭論の登場/家庭の成立と主婦
 の誕生の因果関係/典型家族としての「核家族」の歴史的な経緯
第3章 家族神話の崩壊
 メディアにおける家族イメージの変遷とその社会的背景/家族機能――family function/家族の団欒/
 テレビのホームドラマの特徴と変遷/辛口ホームドラマの登場/長寿番組『渡る世間は鬼ばかり』
第4章 多様な家族の在り方
 最近の朝のテレビ小説に見る家族イメージ/『ちゅらさん』/『風のハルカ』/『純情きらり』/『芋た
 こなんきん』/『どんど晴れ』/その他の海外ドラマ
第5章 親になることと子どもとの関係
 代理出産について――タレントの向井亜紀さんの例/異性愛典型家族の場合/児童虐待の現状/なぜ、子ど
 もが虐待されるのか?/他者感覚の欠如とは?/マイノリテイ(ゲイ・レズビアン家族、国際結婚家族、
 非婚家族などの場合)/国際結婚した中国人女性の例/ゲイ・レズビアン家族/コメディ映画『赤ちゃん
 に乾杯』 
第6章 個を単位とした家族――伊田広行の『スピリチュアル・シングル宣言』
 家族の原点にある自由と責任/スウェーデンの事例との比較/スウェーデンのシングル単位の諸制度
第7章 非行と家族の関係
 少年非行の現状――映画「誰も知らない」の衝撃/非行の発生と少年の生育環境との関係/個別的次元
 から、社会的次元へ
第8章 少子化問題――子生み機械論の背景にあるもの
 ババア発言/少子化問題は女性の問題?/晩婚化の原因/若者のアンビバレントな結婚観/広がる格差  
第9章 専業主婦のこれから
 父権の復権と専業主婦の復権/情況の変化/夫=家計維持者、妻=家計補助者がベースになっている現状
 /非現実的で、ハイリスクな選択を越えて
第10章 教育政策における「家族」の問題
 国家が家庭教育に介入した時代と現代/中野・富士見中学いじめ自殺事件――「葬式ごっこ」が社会に与
 えた波紋/家庭の教育力と心/いじめの問題は、個人の心の問題?/いじめは教育の構造の問題/学歴社
 会がもたらした「家族関係」の画一化と〈家庭〉の規範化/彼らはゲームと現実の違いを知った確信犯/
 酒鬼薔薇少年事件の検事供述書/リストカット――「他者」ではなく「自己」への暴力として/彼らの
 「現実」への希求と「連帯」/島宇宙とグローバルな同情が両立するわけ
第11章 浜之郷小学校の軌跡と奇跡
 奇跡の五年間をもたらした構想/基本的コンセプトとしての「公共性」と「民主主義」/改革推進の方略
 /浜之郷小学校が挑戦のターゲットにしたもの/世界に開かれ、注視される「出会い」が引き起こした奇
 跡
第12章「BYJ家族」――新しい家族のモデルとして
 学んでいく女性たち/自立した個人の自由な選択/ペ・ヨンジュンを通して共有している価値観――普遍
 的な価値/その可能性と限界と/情緒的な絆を、現実の制度に生かしていくこと/兵役についていないペ
 ・ヨンジュンと日本のファン
第13章 ハンナ・アーレントが目指した関係性の中に生まれる「世界」
 「世界」との関わり/開かれた「家族」として/求められる政治的な存在としての自覚と責任/積極的な
 自由の意味
エピローグ

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