医療倫理教育

医療倫理教育 (電子書籍)

著者名 伴 信太郎
藤野 昭宏
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年09月

内容紹介

W.オスラー博士の「平静の心」に代表されるヒポクラテスの誓詞の道徳的立場に基礎を置いた統的な医の倫理は、日本では1990年代に入ってから陰を潜め、生命倫理学を重視する傾向が一気に強まっている。現在では患者中心の医療を病院の基本理念に掲げることが第三者医療評価機関から認定されるための必須条件となっている状況下にある。一方で、こうした患者中心の医療倫理への行き過ぎに警鐘を鳴らすかのように、最近になって医療専門職のプロフェッショナリズムとしての倫理教育の重要性を再評価しようとする動きもある。シリーズ19巻「医療倫理教育」はこうした現在の状況を踏まえながら、12章にわたる構成を企画した。医療に関する様々な専門職業倫理、法規制、医療経済・政策論を解説。高齢化や社会福祉に関する情報、遺伝子工学、ナノテクノロジーなどの先端技術に関する情報を収載。

目次

第1章 医療倫理教育の歴史的意義と課題――その源流,展開,現在
 1 医療倫理の歴史
 2 日本における医療倫理の歴史
 3 医療倫理教育の現在と課題 
第2章 医療倫理教育における哲学的・倫理学的基礎――価値の在りかとしての「現場」の意義
 1 倫理学の定義
 2 価値とは何か:「足し算の論理」と「引き算の論理」
 3 事実・価値・ディレンマ
 4 医療倫理学の方法
 5 医師の倫理的な役割
第3章 医療倫理教育のさまざまなアプローチ
 1 医療倫理教育の方法論の変容
 2 何をどう教えるべきかをめぐる論争
 3 医療倫理教育のアプローチ
第4章 臨床倫理学の教育方法と実際――ケーススタディ中心型授業の手法
 1 臨床倫理学教育の現状と課題
 2 臨床倫理学とその教育の独自性
 3 ケーススタディ中心型授業の要件
 4 ケーススタディの方式
 5 ケーススタディの進行方法と教育者の役割
 6 臨床倫理学教育の課題
第5章 模擬患者(SP)の参加による医療者教育――SP養成の実践例とカリキュラムを中心に
 1 医学部・医科大学における模擬患者養成および模擬患者参加型教育の実態調査
 2 SP養成講座の実践例
 3 SP参加型臨床実習と講義
 4 SPが参加するADVANCED OSCE
 5 模擬患者参加教育の医療倫理教育上の問題点
 6 模擬患者の参加による医療者教育における今後に残された問題点
第6章 患者および一般市民のための生命倫理教育――パッケージ化された「生と死の物語」の構造を読み解く
 1 期待される生命倫理教育/死生観教育
 2 「生と死」のナラティブ
 3 パッケージされる「生と死」
 4 「生と死の自己決定」をめぐる言説構造
 5 生命倫理教育/死生観教育を組み替える
第7章 医学教育における医療倫理――特にプロフェッショナリズム教育について
 1 医のプロフェッショナリズムの概念
 2 プロフェッショナリズムの教育方略と評価
 3 米国・カナダにおけるプロフェッショナリズム教育
 4 日本の医学教育におけるプロフェッショナリズム教育
 5 プロフェッショナリズム教育に関する提言
第8章 歯学教育における医療倫理――歯学教育モデル・コア・カリキュラムを中心に
 1 歯学教育モデル・コア・カリキュラムと歯科医師国家試験出題基準
 2 歯学共用試験:CBT,OSCE
 3 歯科大学・歯学部における医療倫理教育の現状
 4 明海大学歯学部における医療倫理教育の現状
 5 今後の検討課題
第9章 薬学教育における医療倫理――自覚的薬剤師養成のための医療倫理教育
 1 今なぜ薬学の倫理なのか
 2 わが国の薬学の歴史と薬学教育の新たな展開
 3 医薬分業の倫理
 4 チーム医療とその倫理
 5 医師—薬剤師関係
 6 薬剤師の法規制と倫理——その批判的検討
 7 薬学教育と倫理
第10章 看護教育における医療倫理――「ケアの倫理」に焦点をあてて
 1 テキストにおける“ケアの倫理”の扱い
 2 “ケアの倫理”とは何か
 3 看護的発想——看護におけるケアの思考法 
第11章 介護福祉教育における「終末期介護」教育の意義と課題――「尊厳と倫理」へのアプローチ
 1 介護福祉教育の経緯と現状
 2 意識調査について
第12章 卒後臨床教育の現状と今後の展望――世界的動向を踏まえて
 1 卒後初期臨床研究
 2 後期専門医研修
 3 生涯教育 

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