特異点をもつ曲線と曲面の微分幾何学

特異点をもつ曲線と曲面の微分幾何学(電子書籍)

著者名 梅原 雅顕
山田 光太郎
佐治 健太郎
谷島 賢二
山田 澄生
発行元 丸善出版
発行年月日 2018年01月
NDCコード 414

内容紹介

平面曲線と、空間内の曲面に現れる特異点に限定して、特異点の紹介と判定法、そして、その幾何学やトポロジーへの応用を記した。曲線と曲面に対象を限定したことで、特異点を可視化することができる反面、より一般的な記述を犠牲にすることにはなるが、本書では、後半の一部の章を除き、あえて高度な概念を用いた一般化を避けた。それにもかかわらず、歴史的にはガウス・ボンネの定理は閉曲面から2次元リーマン多様体上に一般化されており、特異点つきの閉曲面の場合にも外の空間を払拭した特異点の扱いが望まれる。これはまさしく筆者らが近年の研究で推進してきた事柄であり、本書の最後の第9章にその概要を記している。

目次

第1章 平面曲線と特異点
 1.1 平面曲線の特異点
 1.2 正則曲線の基本事項
 1.3 カスプの基本性質
 1.4 特異点をもつ曲線の単位法線ベクトル
 1.5 抽象的な波面の定義
 1.6 曲率写像と閉波面
 1.7 卵形線の縮閉線
第2章 曲面と特異点
 2.1 正則曲線
 2.2 平行曲面の主曲率
 2.3 波面の定義
 2.4 波面の座標不変性
 2.5 曲面に現れる特異点
 2.6 カスプ辺とツバメの尾の判定法I
第3章 特異点の判定法の証明
 3.1 C∞級関数とホイットニーの補題
 3.2 カスプの判定条件の証明
 3.3 交叉帽子の判定条件の証明
 3.4 カスプ辺の判定条件の証明
第4章 特異点の判定法の応用
 4.1 R2の領域におけるベクトル場
 4.2 カスプ辺とツバメの尾の判定法II
 4.3 平行曲面の特異点
 4.4 平面間の写像とガウス写像の特異点
 4.5 ケンデリンクの定理
 4.6 閉波面に関するガウス・ボンネ型の公式
第5章 特異点への曲率の導入
 5.1 面積要素
 5.2 極限法曲率
 5.3 特異点周辺での曲率線の振る舞い
 5.4 特異曲率
 5.5 さらなる特異曲率の性質
第6章 ガウス・ボンネ型定理の証明と応用
 6.1 2次元多様体の三角形分割
 6.2 2次元多様体のガウス・ボンネの定理
 6.3 フロンタルの接ベクトルのなす角度と面積要素
 6.4 許容的な三角形分割
 6.5 局所ガウス・ボンネ型公式I
 6.6 局所ガウス・ボンネ型公式II
 6.7 大域的ガウス・ボンネ型定理の証明
 6.8 大域的ガウス・ボンネ型定理の応用I
 6.9 大域的ガウス・ボンネ型定理の応用II
第7章 R3の平坦な曲面
 7.1 焦面の特異点
 7.2 焦面の放物点
 7.3 波面の完備性・弱完備性
 7.4 R3の完備かつ平坦な波面
第8章 ツバメの尾の判定条件の証明
 8.1 写像芽
 8.2 開折と判別集合
 8.3 普遍開折
 8.4 ツバメの尾の判定条件の証明
 8.5 その他の波面に現れるその他の特異点の判定条件の紹介
第9章 連接接束
 9.1 連接接束の定義
 9.2 波面と連接接束
 9.3 連接接束における面積要素と特異曲率
 9.4 連接接束におけるガウス・ボンネの定理
 9.5 コソフスキ計量
付録
 付録A 因子の補題
 付録B カスプ続論
  B.1 カスプの標準形
  B.2 カスプの半弧長パラメータ
 付録C 4/3-カスプの判定法
 付録D 接触構造と波面
  D.1 非退化交代形式
  D.2 シンプレクティック多様体とルジャンドル部分多様体
  D.3 接触多様体と波面
  D.4 波面とルジャンドル・ファイブレーション
 付録E ザカリューキンの補題

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