ベッドサイドの薬理学

ベッドサイドの薬理学(電子書籍)

著者名 笹栗 俊之
宮田 篤郎
発行元 丸善出版
発行年月日 2018年05月

内容紹介

薬理学の本質をコンパクトに記すこと、医学部(および看護学部)学生にとって必要な“ベッドサイドの薬理学”の教育を意図し、基礎医学的側面からの薬理学と臨床医学的側面の臨床薬理学を1冊にまとめた新時代の薬理学教育をリードする教科書。最重要事項を最初に “キーポイント” として示した上で、本文を通読できるように編集。内容を完全に理解するまで繰り返し読めるタイプの書籍である。さらに、薬を扱う人の立場にたって記されているため、学生の教科書としてだけでなく、医療従事者の参考書としても末長く利用できる内容になっている。

各論を第IV編で、薬物を構造・作用機序・対象疾患をも考慮し体系的に配置・解説。臨床上重要な薬物を厳選。重要度に応じて解説にはメリハリをつけ、代表的な薬に構造式をつけた。医療従事者は一般名で薬を覚えるべきと考え、本文中には原則として商品名は記載せず、巻末に一般名と商品名の対照表を付した。

目次

I編 薬理学の基本原理
1 薬理学とは
はじめに / 薬理学の中心概念[薬物と生体の相互反応 / 投与量から濃度へ / 薬物動態と薬力学]
2 薬物の体内動態
薬物の膜通過機構[単純拡散 / 薬物トランスポーター]/ 薬物の吸収[全身投与 / 局所投与]/ 薬物の分布[血漿蛋白質との結合 / 組織における結合と蓄積 / 分布の制御機構]/ 薬物の代謝[第I相反応 / 第II相反応]/ 薬物の排泄[尿中排泄 / 胆汁中および糞中排泄]/ 薬物動態の基本パラメーター[分布容積 / クリアランス / 生体利用率]/ 薬物投与計画[治療域 / 投与量と投与間隔 / 負荷投与と維持投与 / 病態による薬物動態の変動]
3 薬物の作用機序
薬物の標的[人体を標的とする薬物 / 病原体を標的とする薬物]/ 薬理作用の様式[濃度と反応 / 効力と最大効果 / 作動作用 / 拮抗作用 / 余剰受容体]/ 薬物感受性を変化させる要因
4 生理活性物質と薬物
アミン[アセチルコリン / カテコールアミン / セロトニン / ヒスタミン]/ アミノ酸[γ-アミノ酪酸 / グリシン / グルタミン酸]/ ペプチド[内因性オピオイド / 視床下部ホルモン /下垂体後葉ホルモン / オレキシン / 下垂体前葉ホルモン / アンギオテンシン / エンドセリン / ブラジキニン / ナトリウム利尿ペプチド / インスリン / グルカゴン / インクレチン / 副甲状腺ホルモンとカルシトニン / サイトカイン]/ 甲状腺ホルモン / ヌクレオシド・ヌクレオチド[アデノシン / ヌクレオチド]/ ステロイドホルモン / エイコサノイド / 一酸化窒素

II編 薬物治療の基礎知識
1 薬物治療とは
薬物治療の目的[予防薬 / 診断薬 / 治療薬]/ 薬物治療の基本戦略[自己を標的とする薬 / がん細胞を標的とする薬 / 病原体を標的とする薬]/ 薬物治療の適正化[正しい診断と情報収集 / 科学的根拠に基づく治療 / モニタリング /チーム医療 / インフォームド・コンセント / 服薬アドヒアランス]/ 薬の名前[化学名 / 一般名 / 商品名]
2 薬物有害反応
有害反応とは / 有害反応のグレード / 発生機序による有害反応の分類[毒性による有害反応 / アレルギーによる有害反応 / 遺伝子変異による毒性反応 / 原因不明の有害反応]/ 重篤な薬物有害反応 / 有害反応の予防・診断・治療[予防 / 診断 / 治療]/ 重篤な有害反応が起こってしまったら / 安全性情報の収集と提供 / 薬 害
3 薬物乱用と依存
薬物乱用 / 薬物依存[薬物依存の発現機序 / 依存性薬物]
4 薬物相互作用
薬物相互反応とは / 相互作用の分類 / 薬物動態上の相互作用[吸収過程での相互作用 / 分布過程での相互作用 / 代謝過程での相互作用 / 排出過程での相互作用]/ 薬力学上の相互作用 / 相互作用による有害反応を避けるには
5 薬効と有害反応の遺伝的差異
薬理遺伝学(薬理ゲノム学)/ 薬物動態に影響を与える遺伝的差異[薬物代謝酵素 / 薬物トランスポーター]/ 薬力学(薬理作用)に直接影響を与える遺伝的差異 / がん細胞の変異
6 小児の薬物治療
生後発達に伴う薬物動態の変化[吸収 / 分布 / 代謝 / 排泄]/ 生後発達に伴う薬力学の変化 / 小児の薬物量の決定 / 小児薬物療法の課題
7 高齢者の薬物治療
超高齢社会と薬物治療 / 薬物動態の変化[吸収 / 分布 / 代謝 / 排泄]/ 薬物作用の変化 / 高齢者の薬物治療で心がけること
8 妊婦・授乳婦の薬物治療
妊娠と薬物 / 妊娠による薬物動態の変化 / 発生毒性と胎児毒性 / 妊婦の薬物治療 / 妊娠中によくある疾患について / 男性の避妊を要する薬 / 授乳と薬物
9 臓器障害者の薬物治療
肝機能障害者の薬物治療[肝クリアランス / 肝機能障害者の薬物動態 / 肝機能の評価]/ 腎機能障害者の薬物治療[腎障害による薬物動態の変化 / 腎機能の臨床評価 / 腎機能障害者への薬物投与計画 / 透析患者の薬物治療]
10 薬物治療のモニタリング
治療薬物モニタリング / 薬物動態モニタリング[必要性と有用性 / 特定薬剤治療管理料 / 血中濃度測定法]/ 薬力学モニタリング
11 時間治療
生体リズム / 時間薬理学と時間治療 / 薬物動態と薬理作用の日内変動 / 時間治療が有用な疾患
12 薬物送達システム
EPR効果
13 医薬品の管理
毒薬、劇薬の管理[表示 / 保管 / 在庫または交付]/ 麻薬の管理[管理・保管 / 施用・交付 / 廃棄 / 事故届]/ 向精神薬の管理[記録 / 保管 / 廃棄 / 事故]/ 覚せい剤・覚せい剤原料の管理[譲受・譲渡、交付 / 保管 / 記録 / 廃棄 / 事故届]/ 生物由来製品、特定生物由来製品の管理[表示 / 記録]
14 処方と調剤
処方[処方箋の記載事項 / 処方箋の有効期限]/ 調剤と薬剤交付[処方箋の点検 / 調剤 / 薬剤交付 / 処方箋の保存]

III編 医薬品開発の基礎知識
1 医薬品の開発
医薬品とは / 創薬と育薬 / 医薬品開発のプロセス[候補化合物の探索 / 非臨床試験 / 臨床試験 / 承認審査 / 製造販売後調査・臨床試験 / いわゆる“自主臨床試験”]/ 医薬品開発を支援する人びと / 医薬品開発の国際化[ハーモナイゼーション国際会議 / 国際共同試験]
2 臨床試験の科学
臨床試験とは / 研究デザインとエビデンス・レベル / 臨床試験の方法[誤差とバイアス / 対照薬 / 評価項目]/ 系統的レビュー
3 臨床試験の倫理
臨床試験は必要か / 歴史的背景 / ヘルシンキ宣言 / 研究倫理の3原則 / 研究倫理の3要件[インフォームド・コンセント / 倫理審査 / 責任ある研究遂行]/ 日本の法と倫理指針[医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 / 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針]

IV編 主な疾患の治療薬
1 鎮痛・麻酔に用いる薬
鎮痛薬 / 局所麻酔薬 / 全身麻酔薬 / 筋弛緩薬[末梢性筋弛緩薬 / 中枢性筋弛緩薬]
2 神経疾患の薬
頭痛の治療薬[片頭痛の治療薬 / 緊張型頭痛の治療薬 / 群発頭痛の治療薬]/ 抗めまい薬 / 抗てんかん薬[作用機序 / てんかん動物モデルを用いた抗痙攣薬の評価 / 主な抗てんかん薬[個別化医療 / 臨床使用]/ パーキンソン病治療薬[パーキンソン病 / ドパミンによる大脳基底核神経回路の調節とパーキンソン病における変化 / 主なパーキンソン病治療薬 / 臨床使用]/ 重症筋無力症治療薬[コリンエステラーゼ阻害薬]
3 精神疾患の薬
抗精神病薬[薬理作用から導かれた統合失調症の病因論 / 主な抗精神病薬]/ 気分障害治療薬・精神刺激薬[抗うつ薬 / 主な抗うつ薬 / 気分安定薬 / 精神刺激薬]/ 抗不安薬・催眠薬[抗不安薬 / 催眠薬]/ 認知症治療薬[アルツハイマー病 / 主なアルツハイマー病治療薬 / アルツハイマー病の薬物療法]
4 循環器疾患の薬
血圧異常症の薬[降圧薬 / 肺高血圧症治療薬 / 低高血圧症治療薬(昇圧薬)]/ 虚血性心疾患の薬[狭心症と急性冠症候群 / 抗狭心症薬 / 急性冠症候群治療薬]/ 心不全の薬[心不全の病態生理 / 薬物治療の基本 / 主な治療薬]/ 抗不整脈薬[不整脈の成因 / 不整脈の種類 / 抗不整脈薬の分類とその変遷 / 主な抗不整脈薬 / 不整脈治療の変遷]/ 脳卒中の薬[脳卒中の分類 / 抗脳浮腫薬 / 虚血性脳血管障害の薬 / 高血圧性脳出血の薬 / くも膜下出血の薬]
5 腎疾患および水・ナトリウム代謝異常の薬
腎臓病・腎不全の薬[主な腎臓病の治療薬 / 主な腎不全の治療薬]/ 利尿薬[主な利尿薬]/ 水利尿を調節する薬[抗水利尿薬(尿崩症治療薬)/ 水利尿薬]
6 血液疾患の薬
抗血栓薬[血栓と止血 / 血栓症 / 主な抗血栓薬]/ 止血薬[主な止血薬]/ 造血薬[主な造血薬]
7 呼吸器疾患の薬
呼吸刺激薬 / 鎮咳薬・去痰薬[鎮咳薬 / 去痰薬]/ かぜ症候群治療薬 / 気管支喘息治療薬 / 慢性閉塞性肺疾患治療薬
8 消化器疾患の薬
制吐薬・消化管機能調整薬 / 鎮痙薬 / 消化性潰瘍治療薬 / 止瀉薬・整腸薬・瀉下薬 / 炎症性腸疾患治療薬 / 肝・胆・膵疾患治療薬
9 代謝性疾患の薬
糖尿病治療薬[糖尿病 / 糖尿病の治療]/ 脂質異常症治療薬[リポ蛋白質と脂質異常症 /主な脂質異常症の治療]/ 痛風・高尿酸血症治療薬[高尿酸血症 / 痛風・高尿酸血症の治療]/ 骨粗鬆症治療薬[骨粗鬆症 / 主な骨粗鬆症治療薬]/ ビタミン製剤
10 内分泌系疾患の薬
視床下部ホルモン関連薬[ソマトスタチン製剤 / 黄体形成ホルモン放出ホルモン製剤]/ 下垂体ホルモン関連薬[成長ホルモン関連薬 / 性腺刺激ホルモン関連薬 / 後葉ホルモン関連薬]/ 甲状腺ホルモン関連薬[抗甲状腺薬 / 甲状腺ホルモン製剤]/ 副腎皮質ホルモン関連薬[分泌低下症の治療薬 / 分泌過剰症の治療薬]/ 性ホルモン関連薬[男性ホルモン関連薬 301 / 女性ホルモン関連薬]
11 泌尿器・生殖器疾患の薬
排尿障害治療薬[畜尿障害(尿失禁)治療薬 / 排出障害治療薬]/ 勃起不全治療薬 / 子宮収縮抑制薬(切迫流・早産治療薬)/ 子宮収縮薬(陣痛誘発・分娩促進薬)
12 炎症・免疫異常の薬
発熱・炎症に用いる薬[発熱と炎症 / 解熱鎮痛薬 / 抗炎症薬 / 抗リウマチ薬]/ 免疫異常に用いる薬[免疫反応と疾患 / 免疫抑制薬 / 免疫増強薬 / 抗アレルギー薬]
13 感染症の薬
抗ウイルス薬[抗ヘルペスウイルス薬 / 抗サイトメガロウイルス薬 / 抗インフルエンザウイルス薬 / 抗RSウイルス薬 / 抗B型肝炎ウイルス薬 / 抗C型肝炎ウイルス薬 / インターフェロン製剤 327 / 抗ヒト免疫不全ウイルス薬]/ 抗細菌薬[ペニシリン系抗生物質 / セフェム系抗生物質 / β-ラクタマーゼ阻害薬 / モノバクタム系抗生物質 / ぺネム系抗生物質 / カルバぺネム系抗生物質 / ホスホマイシン系抗生物質 / グリコペプチド系抗生物質 / リポペプチド系抗生物質 / アミノグリコシド系抗生物質 / テトラサイクリン系抗生物質 / マクロライド系抗生物質 / クロラムフェニコール系抗生物質 / リンコマイシン系抗生物質 / ストレプトグラミン系抗生物質 / オキサゾリジノン系合成抗菌薬 / ピリドンカルボン酸(キノロン)系合成抗菌薬 / サルファ系合成抗菌薬(サルファ薬)/ リファマイシン系抗生物質 / 抗結核薬 / その他]/ 抗真菌薬[ポリエン系薬 / アゾール系薬 / ピリミジン系薬 / キャンディン系(エキノキャンディン系)薬]/ 抗原虫薬[マラリア治療薬 / アメーバ赤痢治療薬 / トキソプラズマ症治療薬]/ 駆虫薬 / ワクチン・トキソイド / 消毒薬[低水準消毒薬 / 中水準消毒薬 / 高水準消毒薬 / その他(創傷・潰瘍部消毒薬)]
14 抗悪性腫瘍薬(抗がん薬)
悪性腫瘍(がんの薬物治療) / 細胞毒性薬[アルキル化薬 / 代謝拮抗薬 / 抗がん性抗生物質 / 微小管阻害薬 / トポイソメラーゼ阻害薬 / 白金製剤]/ 分子標的薬[増殖シグナル阻害薬/ 血管新生阻害薬 / プロテアソーム阻害薬 / mTOR阻害薬 / 抗CD20阻害薬 / 免疫チェックポイント阻害薬]/ ホルモン療法薬 / その他の抗がん薬
15 眼疾患治療薬
緑内障治療薬 / 加齢黄斑変性症治療薬 / 白内障治療薬 / 抗炎症薬 / 抗アレルギー薬 / 感染症治療薬 / その他の薬物
16 皮膚疾患の薬
基剤と皮膚吸収性 / 感染症治療薬 / 抗アレルギー薬・抗炎症薬・免疫抑制薬 / 褥瘡・皮膚潰瘍治療薬 / 乾癬治療薬 / 尋常性挫瘡治療薬
17 中毒の治療薬
中毒治療薬の作用機序[急性中毒の治療薬 / 慢性中毒(依存症)の治療薬]
18 救命救急に必要な薬
重度の血圧低下に用いる薬[アドレナリン受容体作動薬 / アセチルコリン受容体拮抗薬]/心機能を抑制する薬[β受容体拮抗薬] / 血管を拡張させる薬剤[硝酸薬/ カルシウムチャネル遮断薬]/ 抗不整脈薬 / 鎮静薬(およびその拮抗薬)/ 鎮痛薬(およびその拮抗薬)/ 筋弛緩薬(およびその中和薬)/ その他
19 輸液と輸血
輸液製剤[電解質輸液 / 糖質輸液 / 高カロリー輸液 / 脂肪製剤 / アミノ酸製剤 / 代用血漿剤]/ 血液製剤[全血液 / 血球製剤 / 血漿製剤 / 輸血による有害反応]
付表-一般名・商品名対照表
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