第4巻 終末期医療

第4巻 終末期医療 (電子書籍)

著者名 安藤 泰至
高橋 都
発行元 丸善出版
発行年月日 2013年01月

内容紹介

終末期医療の臨床における狭い意味での医療倫理問題だけでなく、死の教育や医療者教育、日本人のスピリチュアリティなど、今後のあるべき終末期医療を考える上で重要な人間の死や死生観をめぐる文化・社会的課題についても広く考察し、終末期医療をめぐる既存の概念や理論を批判的に問い直す。現場で役立つ具体的な事例を盛り込みながら、基本事項や概念から最先端の話題までこのテーマに興味を持つ人なら誰でも理解できるよう平易に解説。 専門職業倫理、法規制、医療経済・政策論を解説。社会福祉、遺伝子工学、ナノテクノロジーなどの先端技術に関する情報を収載。医療にとって「死」とはなにかの根本的な問いかけから、不知の病に侵された高齢者・児童への対応、遺族への配慮など医師が治らない患者と向き合うときを考察する。

目次

第1章 医療にとって「死」とはなにか?
 1 人間にとって「医療」とはなにか?
 2 人間にとって「死」とはなにか?
 3 医療にとって「死」とはなにか?
第2章 終末期ケアにおける意思決定プロセス
 1 ケア従事者の《倫理》的姿勢
 2 意思決定プロセス:情報共有から合意へ
 3 終末期ケアの意思決定プロセス
 4 本人・家族から見た意思決定プロセス
第3章 終末期医療の現場における意思決定――患者および家族とのかかわりの中で
 1 終末期医療における輸液治療の差し控え
 2 終末期医療における鎮静
第4章 高齢者における終末期医療
 1 高齢者医療の特徴
 2 高齢者の自己決定の特徴
 3 高齢者の終末期とその周辺
 4 高齢者の終末期とその周辺における医療現場の対応
 5 「生きる価値のない生」などない
第5章 小児における終末期医療 
 1 小児の終末期医療の今までとその定義
 2 緩和ケアが適応される子ども達
 3 小児の緩和ケアに関わる人々(医療チーム)
 4 真のチーム医療
 5 小児緩和ケアについての説明
第6章 植物状態患者はいかに理解されうるか――看護師の経験から生命倫理の課題を問う
 1 経験の内側の視点から
 2 内側の経験からの指摘
 3 次第に患者のことがわかるようになる 
第7章 死にゆく過程をどう生きるか――施設と在宅の二者択一を超えて
 1 「天国に一番近い階」で
 2 日本におけるホスピス・緩和ケア
 3 個人史と死生観
 4 一つの生と複数の自己
 5 「死にゆく過程」と生の豊かさ
第8章 「自然な死」という言説の解体――死すべき定めの意味をもとめて
 1 なぜ「自然な死」なのか
 2 問いとしての「自然な死」
 3 「自然な死」の成立過程を振り返る
 4 「自然な死」をどう捉えるか
第9章  「死の教育」からの問い――デス・エデュケーションの中の生命倫理学
 1 子どもの頃の「死のイメージ」
 2 子どもの頃の「死の引力」
 3 デス・エデュケーションが突きつける問い
第10章 終末期医療におけるスピリチュアリティとスピリチュアル・ケア――「日本的スピリチュアリティ」
    の可能性と限界について
 1 「スピリチュアル」や「スピリチュアリティ」をどのようなものと捉えるか
 2 現代における「死」とスピリチュアリティ
 3 人間志向的/超越志向的スピリチュアリティ
 4 日本における宗教(性)とスピリチュアリティ
 5 現代における「スピリチュアル」な死生観
第11章 生,死,ブリコラージュ――緩和ケア病棟で看護師が経験する困難への医療人類学からのアプローチ
 1 看護師に注目すること
 2 看護師が直面する困難
 3 ブリコラージュ,看護師のコミュニティ,カンファレンス
第12章 グリーフケアの可能性――医療は遺族のグリーフワークをサポートできるのか
 1 グリーフケアをめぐる既存の言説とその問題点
 2 遺族のグリーフワークを困難にする死
 3 医療事故死遺族のグリーフワークの困難
 4 医療が遺族のグリーフワークをサポートするとは?
第13章 医師が治らない患者と向き合うとき――「見捨てないこと」の一考察
 1 患者が「見捨てられた」と思うとき
 2 育まれる介入者気質
 3 「専門的介入」はおよぶ範囲はどこまでか
 4 「見捨てないこと」は教えられるか

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