内容紹介
日本人科学者を含む過去の様々な捏造・偽造・盗用事件を詳述し、サラミ論文などの研究発表を中心とした科学者の不正行為という視点から、なぜ科学者は不正行為を犯すのか、その予防はどうすればできるのかを考える。
目次
序論
科学は信頼されているか
科学のグローバリゼーション
科学研究の公正さ
1 米国研究公正局への訪問
1.1 ロックビルへ
1.2 研究公正局での出会い
1.3 研究公正局の現在
2 アメリカで告発された日本人の事例
2.1 アイオワ大学でのある内科研究者の事例
2.2 日本人肝炎研究者の事例
2.3 ダナハーバー癌研究所での事例
3 アメリカにおける科学の不正行為
3.1 ペインテッドマウス
3.2 ボルチモア・イマニシ=カリ事件
3.3 研究公正局の創設と課題
3.4 不正を示す用語をめぐる話題
3.5 研究公正局の不正行為調査
4 不正行為へのアプローチ
4.1 発表論文数からみた不正行為
4.2 不正行為の発生
4.3 オーサーシップをめぐる議論
4.4 重複発表をめぐる議論
4.5 科学の不正行為の定義
5 日本での不正行為事例
5.1 重複発表と不正行為
5.2 『日本眼科学会雑誌』の重複発表論争
5.3 『日本整形外科学会雑誌』の撤回事例
5.4 海外の国際誌への重複発表
5.5 海外研究でのトラブル
5.6 人文・社会科学領域の事例
6 海外の主要事例と各国の反応
6.1 フィッシャー事件
6.2 ピアース事件
6.3 ヘルマン・ブラッハ事件
6.4 北欧4か国の現状
6.5 ドイツの現状
6.6 イギリスの現状
6.7 臨床試験をめぐる不正行為
7 レフェリーシステムと不正行為
7.1 質のフィルター
7.2 レフェリーシステムへの批判
7.3 米国化学会の倫理ガイド
7.4 オープンシステムへ向けて
7.5 不正行為への編集者の対応
8 オーサーシップと発表倫理
8.1 オーサーシップ
8.2 オーサーシップの定義
9 学術論文の撤回とデータベース
9.1 汚染された文献の運命
9.2 データベース製作期間の対応
10 科学発表倫理の情報センター
10.1 ケネディ記念倫理研究所図書館
10.2 ウェルカム財団のスピンと図書館
11 日本の対応と今後
11.1 日本の取るべき対応
11.2 科学のアカウンタビリティと伝達チャンネル
11.3 流動性と倫理
11.4 インターネット環境下でのデータベース
11.5 事実からの出発
11.6 エジンバラ会議とベセスダ会議
12 本書への歩み――あとがきに代えて―
アール川の岸辺で/ヨーロッパの十字路―バーゼル/風の街シカゴ/アイオワ大学での事例/ロンドンのウェルカム財団で/『ORIニュースレター』の衝撃/情報自由法と公共の情報/研究公正局/メドラインを研究公正局の協力/パブメドで不正行為論文を追求/フィラデルフェアで
付録1 不正行為と発表倫理に関する記事分析
付録2 不正行為と発表倫理を探求する