内容紹介
1862年のロンドン万博から昨今の「クールジャパン」に至るまで、日本は海外の国々に対して、「日本的なるもの」を売りにしてきた。それらはすべて日本的な「美」に関わるものだった。しかし、その「美」とはいったい何なのか。また、その中に、時代を超える〈日本〉などありうるのだろうか。川端康成が、岡倉天心が、本居宣長が〈日本〉を幻視したときに取り出した「美」を求め、「もののあはれ」から「かわいい」に至る概念を審問に付す戦略的文藝批評、あるいは「日本美」の考古学。
目次
はじめに――百五十年前のクールジャパン
序 章 「日本美」の可能性
第1章 岡倉天心と美意識の日本――日本美の特徴と属性
第2章 「もののあはれ」――「日本美」の可能性と不可能性
第3章 本居宣長の「もののあはれ」と「やまとごころ」
第4章 幽玄・わび・さび――大西克礼と西洋的「日本美」
第5章 「いき」――九鬼周造と恋の美学
第6章 「かわいい」か「うつくしい」か――四方田犬彦と「日本美」の現在
終 章 美しくあいまいな日本――川端康成と大江健三郎の〈日本〉
あとがき