内容紹介
気象活動、個体の発生、脳、株価の変動といった自然や社会を取り巻く非常に複雑なシステム。しかし、近年では、実験や観測技術が急速な発展をとげ、精緻で大量のデータ収集が可能となったために、こうしたシステムが惹き起こす現象を理解することができるようになってきました。ある現象のモデルを構築し、解析する「現象数理学」は、様々な分野の研究と数学が連携することで初めて可能になる学問です。本書では、どのような分野でその研究が進められているのか、それぞれの第一人者の方々がわかりやすく解説します。
目次
はじめに 三村昌泰
第1章 拡散パラドックスの数理 ある数学者の挑戦 三村昌泰
第2章 立体知覚と錯視の数理 人は欠けた奥行をなぜ補えるのか 杉原厚吉
第3章 先史文化の数理 ネアンデルタールからヒトへ 青木健一
第4章 地球科学の数理 地震・気象・磁場 中村和幸
第5章 金融危機の数理 最適モデルをどう作るのか 高安秀樹
第6章 タイル貼りの数理 位相的結晶学序論 砂田利一
第7章 折紙技術の工学への応用 萩原一郎