ベッドサイドの薬理学

ベッドサイドの薬理学

著者名 笹栗 俊之
宮田 篤郎
発行元 丸善出版
発行年月日 2018年03月
判型 B5 257×182
ページ数 430ページ
ISBN 978-4-621-30274-3
Cコード 3047
NDCコード 491
ジャンル 医学・薬学
医学・薬学 >  基礎医学 >  薬理学
看護・介護・リハビリ >  基礎看護

内容紹介

薬理学の本質をコンパクトに記すこと、医学部(および看護学部)学生にとって必要な“ベッドサイドの薬理学”の教育を意図し、基礎医学的側面からの薬理学と臨床医学的側面の臨床薬理学を1冊にまとめた新時代の薬理学教育をリードする教科書。最重要事項を最初に “キーポイント” として示した上で、本文を通読できるように編集。内容を完全に理解するまで繰り返し読めるタイプの書籍である。さらに、薬を扱う人の立場にたって記されているため、学生の教科書としてだけでなく、医療従事者の参考書としても末長く利用できる内容になっている。

各論を第IV編で、薬物を構造・作用機序・対象疾患をも考慮し体系的に配置・解説。臨床上重要な薬物を厳選。重要度に応じて解説にはメリハリをつけ、代表的な薬に構造式をつけた。医療従事者は一般名で薬を覚えるべきと考え、本文中には原則として商品名は記載せず、巻末に一般名と商品名の対照表を付した。

目次

I編 薬理学の基本原理
 1 薬理学とは
  はじめに
  薬理学の中心概念
   薬物と生体の相互反応/投与量から濃度へ/薬物動態と薬力学
 2 薬物の体内動態
  薬物の膜通過機構
   単純拡散/薬物トランスポーター
  薬物の吸収
   全身投与/局所投与
  薬物の分布
   血漿蛋白質との結合/組織における結合と蓄積/分布の制御機構
  薬物の代謝
   第I相反応/第II相反応
  薬物の排泄
   尿中排泄/胆汁中および糞中排泄
  薬物動態の基本パラメーター
   分布容積/クリアランス/生体利用率
  薬物投与計画
   治療域/投与量と投与間隔/負荷投与と維持投与/病態による薬物動態の変動
 3 薬物の作用機序
  薬物の標的 
   人体を標的とする薬物/病原体を標的とする薬物
  薬理作用の様式
   濃度と反応/効力と最大効果/作動作用/拮抗作用/余剰受容体
  薬物感受性を変化させる要因
 4 生理活性物質と薬物 
  アミン
   アセチルコリン/カテコールアミン/セロトニン/ヒスタミン
  アミノ酸
   γ-アミノ酪酸/グリシン/グルタミン酸
  ペプチド
   内因性オピオイド/視床下部ホルモン/下垂体後葉ホルモン/オレキシン/下垂体前葉ホルモン/アンギオテンシン/エンドセリン/ブラジキニン/ナトリウム利尿ペプチド/インスリン/グルカゴン/インクレチン/副甲状腺ホルモンとカルシトニン/サイトカイン
  甲状腺ホルモン
  ヌクレオシド・ヌクレオチド
   アデノシン/ヌクレオチド
  ステロイドホルモン
  エイコサノイド
  一酸化窒素
II編 薬物治療の基礎知識
 1 薬物治療とは
  薬物治療の目的
   予防薬/診断薬/治療薬
  薬物治療の基本戦略
   自己を標的とする薬/がん細胞を標的とする薬/病原体を標的とする薬
  薬物治療の適正化
   正しい診断と情報収集
   科学的根拠に基づく治療/モニタリング/チーム医療/インフォームド・コンセント/服薬アドヒアランス
  薬の名前
   化学名/一般名/商品名
 2 薬物有害反応
  有害反応とは
  有害反応のグレード
  発生機序による有害反応の分類
   毒性による有害反応/アレルギーによる有害反応/遺伝子変異による毒性反応/原因不明の有害反応
  重篤な薬物有害反応
  有害反応の予防・診断・治療
   予防/診断/治療
  重篤な有害反応が起こってしまったら
  安全性情報の収集と提供
  薬害
 3 薬物乱用と依存 
  薬物乱用
  薬物依存
   薬物依存の発現機序/依存性薬物]
 4 薬物相互作用
  薬物相互反応とは
  相互作用の分類
  薬物動態上の相互作用
   吸収過程での相互作用/分布過程での相互作用/代謝過程での相互作用/排出過程での相互作用
  薬力学上の相互作用
  相互作用による有害反応を避けるには
 5 薬効と有害反応の遺伝的差異
  薬理遺伝学(薬理ゲノム学)
  薬物動態に影響を与える遺伝的差異
   薬物代謝酵素/薬物トランスポーター
  薬力学(薬理作用)に直接影響を与える遺伝的差異
  がん細胞の変異
 6 小児の薬物治療
  生後発達に伴う薬物動態の変化
   吸収/分布/代謝/排泄
  生後発達に伴う薬力学の変化
  小児の薬物量の決定
  小児薬物療法の課題
 7 高齢者の薬物治療
  超高齢社会と薬物治療
  薬物動態の変化
   吸収/分布/代謝/排泄
  薬物作用の変化
  高齢者の薬物治療で心がけること
 8 妊婦・授乳婦の薬物治療
  妊娠と薬物
  妊娠による薬物動態の変化
  発生毒性と胎児毒性
  妊婦の薬物治療
  妊娠中によくある疾患について
  男性の避妊を要する薬
  授乳と薬物
 9 臓器障害者の薬物治療
  肝機能障害者の薬物治療
   肝クリアランス/肝機能障害者の薬物動態/肝機能の評価
  腎機能障害者の薬物治療
   腎障害による薬物動態の変化/腎機能の臨床評価/腎機能障害者への薬物投与計画/透析患者の薬物治療
 10 薬物治療のモニタリング
  治療薬物モニタリング
  薬物動態モニタリング
   必要性と有用性/特定薬剤治療管理料/血中濃度測定法
  薬力学モニタリング
 11 時間治療
  生体リズム
  時間薬理学と時間治療
  薬物動態と薬理作用の日内変動
  時間治療が有用な疾患
 12 薬物送達システム
  EPR効果
 13 医薬品の管理
  毒薬、劇薬の管理
   表示/保管/在庫または交付
  麻薬の管理
   管理・保管/施用・交付/廃棄/事故届
  向精神薬の管理
   記録/保管/廃棄/事故
  覚せい剤・覚せい剤原料の管理
   譲受・譲渡、交付/保管/記録/廃棄/事故届
  生物由来製品、特定生物由来製品の管理
   表示/記録
 14 処方と調剤
  処方
   処方箋の記載事項/処方箋の有効期限
  調剤と薬剤交付
   処方箋の点検/調剤/薬剤交付/処方箋の保存]
III編 医薬品開発の基礎知識
 1 医薬品の開発
  医薬品とは
  創薬と育薬
  医薬品開発のプロセス
   候補化合物の探索/非臨床試験/臨床試験/承認審査/製造販売後調査・臨床試験/いわゆる“自主臨床試験”
  医薬品開発を支援する人びと
  医薬品開発の国際化
   ハーモナイゼーション国際会議/国際共同試験
 2 臨床試験の科学
   臨床試験とは
   研究デザインとエビデンス・レベル
   臨床試験の方法
    誤差とバイアス/対照薬/評価項目/系統的レビュー
 3 臨床試験の倫理
  臨床試験は必要か 
  歴史的背景
  ヘルシンキ宣言
  研究倫理の3原則
  研究倫理の3要件
   インフォームド・コンセント/倫理審査/責任ある研究遂行
  日本の法と倫理指針
   医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令/人を対象とする医学系研究に関する倫理指針
IV編 主な疾患の治療薬
 1 鎮痛・麻酔に用いる薬
  鎮痛薬
  局所麻酔薬
  全身麻酔薬
  筋弛緩薬
   末梢性筋弛緩薬/中枢性筋弛緩薬]
 2 神経疾患の薬
  頭痛の治療薬
   片頭痛の治療薬/緊張型頭痛の治療薬/群発頭痛の治療薬
  抗めまい薬
  抗てんかん薬
   作用機序/てんかん動物モデルを用いた抗痙攣薬の評価/主な抗てんかん薬
  パーキンソン病治療薬
   パーキンソン病/ドパミンによる大脳基底核神経回路の調節とパーキンソン病における変化/主なパーキンソン病治療薬/臨床使用
  重症筋無力症治療薬
   コリンエステラーゼ阻害薬
 3 精神疾患の薬
  抗精神病薬
   薬理作用から導かれた統合失調症の病因論/主な抗精神病薬 
  気分障害治療薬・精神刺激薬
   抗うつ薬/主な抗うつ薬/気分安定薬/精神刺激薬
  抗不安薬・催眠薬
   抗不安薬/催眠薬
  認知症治療薬
   アルツハイマー病/アルツハイマー病の薬物療法
 4 循環器疾患の薬
  血圧異常症の薬
   降圧薬/肺高血圧症治療薬/低高血圧症治療薬(昇圧薬)
  虚血性心疾患の薬
   狭心症と急性冠症候群/抗狭心症薬 /性冠症候群治療薬
  心不全の薬
   心不全の病態生理/薬物治療の基本/主な心不全の薬
  抗不整脈薬
   不整脈の成因/不整脈の種類/抗不整脈薬の分類とその変遷/主な抗不整脈薬/不整脈治療の変遷
  脳卒中の薬
   脳卒中の分類/抗脳浮腫薬/虚血性脳血管障害の薬/高血圧性脳出血の薬/くも膜下出血の薬
 5 腎疾患および水・ナトリウム代謝異常の薬
  腎臓病・腎不全の薬
   主な腎臓病の治療薬/主な腎不全の治療薬
  利尿薬
   主な利尿薬
  水利尿を調節する薬
   抗水利尿薬(尿崩症治療薬)/水利尿薬
 6 血液疾患の薬
  抗血栓薬
   血栓と止血/血栓症/主な抗血栓薬
  止血薬
   主な止血薬
  造血薬
   主な造血薬]
 7 呼吸器疾患の薬
  呼吸刺激薬
  鎮咳薬・去痰薬
   鎮咳薬/去痰薬
  かぜ症候群治療薬
  気管支喘息治療薬
  慢性閉塞性肺疾患治療薬
 8 消化器疾患の薬
  制吐薬・消化管機能調整薬
  鎮痙薬
  消化性潰瘍治療薬
  止瀉薬・整腸薬・瀉下薬
  炎症性腸疾患治療薬
  肝・胆・膵疾患治療薬
 9 代謝性疾患の薬
  糖尿病治療薬
   糖尿病/主な糖尿病治療薬
  脂質異常症治療薬
   リポ蛋白質と脂質異常症/主な脂質異常症の治療
  痛風・高尿酸血症治療薬
   高尿酸血症‣痛風・高尿酸血症の治療
  骨粗鬆症治療薬
   骨粗鬆症‣主な骨粗鬆症治療薬
  ビタミン製剤
 10 内分泌系疾患の薬
  視床下部ホルモン関連薬
   ソマトスタチン製剤‣黄体形成ホルモン放出ホルモン製剤
  下垂体ホルモン関連薬
   成長ホルモン関連薬‣性腺刺激ホルモン関連薬/後葉ホルモン関連薬
  甲状腺ホルモン関連薬
   抗甲状腺薬/甲状腺ホルモン製剤
  副腎皮質ホルモン関連薬
   分泌低下症の治療薬/分泌過剰症の治療薬
  性ホルモン関連薬
   男性ホルモン関連薬/女性ホルモン関連薬]
 11 泌尿器・生殖器疾患の薬
  排尿障害治療薬
   畜尿障害(尿失禁)治療薬/排出障害治療薬
   勃起不全治療薬
   子宮収縮抑制薬(切迫流・早産治療薬)
   子宮収縮薬(陣痛誘発・分娩促進薬)
 12 炎症・免疫異常の薬
  発熱・炎症に用いる薬
   発熱と炎症/解熱鎮痛薬/抗炎症薬/抗リウマチ薬
  免疫異常に用いる薬
   免疫反応と疾患/免疫抑制薬/免疫増強薬/抗アレルギー薬
 13 感染症の薬
  抗ウイルス薬
   抗ヘルペスウイルス薬/ 抗サイトメガロウイルス薬/抗インフルエンザウイルス薬/抗RSウイルス薬/抗B型肝炎ウイルス薬/抗C型肝炎ウイルス薬/インターフェロン製剤/抗ヒト免疫不全ウイルス薬
  抗細菌薬
   ペニシリン系抗生物質/セフェム系抗生物質/β-ラクタマーゼ阻害薬/モノバクタム系抗生物質/ぺネム系抗生物質/カルバぺネム系抗生物質/ホスホマイシン系抗生物質/グリコペプチド系抗生物質/リポペプチド系抗生物質/アミノグリコシド系抗生物質/テトラサイクリン系抗生物質/マクロライド系抗生物質/クロラムフェニコール系抗生物質/リンコマイシン系抗生物質/ストレプトグラミン系抗生物質/オキサゾリジノン系合成抗菌薬/ピリドンカルボン酸(キノロン)系合成抗菌薬/サルファ系合成抗菌薬(サルファ薬)/リファマイシン系抗生物質/抗結核薬/その他
 抗真菌薬
  ポリエン系薬/アゾール系薬/ピリミジン系薬/キャンディン系(エキノキャンディン系)薬
 抗原虫薬
  マラリア治療薬/アメーバ赤痢治療薬/キソプラズマ症治療薬
 駆虫薬
  ワクチン・トキソイド
 消毒薬
  低水準消毒薬/中水準消毒薬/高水準消毒薬/その他(創傷・潰瘍部消毒薬)
 14 抗悪性腫瘍薬(抗がん薬)
  悪性腫瘍(がん)の薬物治療
  細胞毒性薬
   アルキル化薬/代謝拮抗薬/抗がん性抗生物質/微小管阻害薬/トポイソメラーゼ阻害薬/白金製剤
  分子標的薬
   増殖シグナル阻害薬/血管新生阻害薬/プロテアソーム阻害薬/mTOR阻害薬/抗CD20阻害薬/免疫チェックポイント阻害薬
  ホルモン療法薬
  その他の抗がん薬
 15 眼疾患治療薬
  緑内障治療薬
  加齢黄斑変性症治療薬
  白内障治療薬
  抗炎症薬
  抗アレルギー薬
  感染症治療薬
  その他の薬物
 16 皮膚疾患の薬
  基剤と皮膚吸収性
  感染症治療薬
  抗アレルギー薬・抗炎症薬・免疫抑制薬
  褥瘡・皮膚潰瘍治療薬
  乾癬治療薬
  尋常性挫瘡治療薬
 17 中毒の治療薬
  中毒治療薬の作用機序
   急性中毒の治療薬/慢性中毒(依存症)の治療薬
 18 救命救急に必要な薬
 重度の血圧低下に用いる薬
  アドレナリン受容体作動薬/アセチルコリン受容体拮抗薬
 心機能を抑制する薬
 β受容体拮抗薬
 血管を拡張させる薬
  硝酸薬/カルシウムチャネル遮断薬
 抗不整脈薬
 鎮静薬(およびその拮抗薬)
 鎮痛薬(およびその拮抗薬)
 筋弛緩薬(およびその中和薬)
 その他
 19 輸液と輸血
  輸液製剤
   電解質輸液/糖質輸液/高カロリー輸液/脂肪製剤/アミノ酸製剤/代用血漿剤
  血液製剤
   全血液/血球製剤/血漿製剤/輸血による有害反応

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