深化する一般相対論

深化する一般相対論

ブラックホール・重力波・宇宙論
著者名 田中 貴浩
発行元 丸善出版
発行年月日 2017年11月
判型 A5 210×148
ページ数 206ページ
ISBN 978-4-621-30231-6
Cコード 3042
NDCコード 421
ジャンル 物理学

内容紹介

パリティ誌2015年4月号から2016年3月号までの連載記事「一般相対論、その世紀と現在」の単行本化。 特殊相対性理論のまとめから説き起こし、一般相対性理論の鍵となる概念・基礎理論から観測による検証について解説するとともに、よく話題となるトピックスを取り上げて物理的に解説する。 連載終了後に実際の観測が発表された、重力波観測の現状や、実観測によって見えてくる今後の展開について加筆。最新の話題まで含めて簡潔にまとめた読みやすい解説書。 日常感覚とはかけ離れ、難しいと評される一般相対論的世界像を、物理的基礎に重きを置いて、大学初年級の数学的知識で読み解けるよう解説。相対論は間違っていると感じがちなポイントも、論理的思考を積み重ねることで納得できるよう配慮。 発表から100年を経てもなお尽きない謎が広がっている一般相対論の世界を、一般読者にもわかりやすく解説。

目次

第1章 特殊相対論の基礎
 特殊相対論とは光速度不変の原理◇ファインマンの時計◇時空図◇ローレンツ変換◇まとめ
第2章 等価原理
 等価原理◇重力は見かけの力か?◇時空の曲がりによる重力の記述◇曲がった時空の記述法◇テンソルと共変微分◇まとめ
第3章 アインシュタイン方程式
 一般座標変換に対する共変性◇曲率テンソル◇アインシュタイン方程式◇変分原理◇まとめ
第4章 ニュートン近似と一般相対論の検証
 弱い重力の近似◇曲がった時空中の物体の運動◇弱い重力場中の物体の運動◇アインシュタインの3つのテスト◇まとめ
第5章 一般相対論に基づく宇宙像
 遠くを見ることは過去を見ること◇一様等方宇宙モデル◇ビッグバン◇軽元素の合成◇まとめ
第6章 インフレーション宇宙論
 宇宙論的諸問題◇宇宙の加速膨張(インフレーション)◇宇宙の相転移◇インフレーションによる初期密度ゆらぎの生成◇まとめ
第7章 宇宙論的観測の精密化
 宇宙背景のゆらぎのスペクトル◇重力不安定による宇宙の大域的構造形成とダークマター◇マイクロ波宇宙背景放射によるインフレーション起源の重力波測定
第8章 ブラックホール時空
 ブラックホールとは◇シュワルツシルト解の時空構造◇シュワルツシルト解の事象の地平線と地平線内部の非定常性◇ブラックホールに突入する宇宙船
 現実のブラックホール◇水星の近日点移動◇まとめ
第9章 重力波とは
 電磁波と重力波の類推◇重力波中の物質の運動◇重力波の検出◇重力波の生成◇証明された重力波の存在◇まとめ
第10章 重力波源となる天体現象
 重力波検出の第1報:GW150914◇中性子星を含む連星合体からの重力波検出への期待◇証明された重力波の存在◇まとめ
第11章 「最後の3分間」:連星合体における重力波波形予測
 連星合体最後の3分間◇ポストニュートン近似◇ポストニュートン近似の大変さ◇保存量のバランスの議論◇急速なポストニュートン近似の理論の進展◇ブラックホール摂動論◇カーター定数とその時間変化率◇重力波輻射反作用問題◇まとめ
第12章 重力理論の研究の広がり
 解くことが困難◇道具としての一般相対論◇量子重力◇低エネルギー有効理論としての一般相対論◇重力の量子論的効果◇重力理論の拡張◇まとめ
コラム
 双子のパラドックス/潮汐力/重力波けっして見かけの力ではない/アインシュタイン方程式の誕生/曲率テンソルの直観的なイメージ/ハッブル定数の変遷/アンチ・インフレーション派の宇宙モデル/人間原理の適用に伴うさまざまな疑問/宇宙検閲官仮説/原始ブラックホールの生まれるとき/回転するブラックホールにおけるペンローズ過程

関連商品

定価:2,200円
(本体2,000円+税10%)
在庫:在庫あり