内容紹介
小学校から高校までに習う算数・数学・物理の事項から一部大学で習う数学・材料力学までびのテーマの中から建築の実務で必要となるものを、読者の方が活かすことができることを目標に編纂。大学までの学校の教科書の中から、必要な個所を関連する話題に配列し、同様に考えられるポイント、本質としてとらえるべき事項を浮かび上がらせる。計算式の展開や式そのものの意味もできるかぎり丁寧に解説。たんに本に目を通すだけでなく、ときには声を出して読み、自身の声を聞き、頭で考え、手を動かして、目で確認することを徹底してみてほしい。
目次
<建築数理の基本>
1.形と重心・体積・面積
1.1 重心(図心)
(1)重心(図心)とは
(2)作図で重心(図心)を求める
1.2 立体の体積
(1)一般的な公式
(2)パップス・ギュルダンの定理/回転体の体積を求める
1.3 面積を求める
(1)三角形の面積
(2)ヘロンの公式
(3)座標から面積を求める
(4)多角形の面積
(5)図形の中か外かの判別
【忙中閑あり】折紙で任意の角を三等分する
【別解】任意の角を三等分するアルキメデスの方法
【忙中閑あり】マンホールの蓋(ふた)
2.分かると便利な三角関数
2.1 角度
(1)平面角/度とラジアン
(2)角度と弧の長さの関係
(3)立体角と平面角の関係
【忙中閑あり】太陽の見かけの大きさ・視直径と立体角
2.2 三角関数の基本
(1)三角比と三角関数/正弦(sin)・余弦(cos)・正接(tan)
(2)円と三角関数
(3)逆三角関数/sin-1、cos-1、tan-1
2.3 覚えておくと便利な三角関数の定理とその応用
(1)正弦定理と三角測量
(2)余弦定理と三角測量
(3)加法定理とその応用
2.4 双曲線関数/snh、cosh
(1)双曲線関数
(2)懸垂線
(3)懸垂線の長さ
【コラム】サイクロイドとクロソイド
3.数列と級数/フィボナッチ数列と黄金比、根っこは同じ
3.1 数列と級数
(1)数列
(2)級数と級数和
3.2 円周率πを求めるアルキメデスの公式
【忙中閑あり】正方形から正三角形を折る
3.3 フィボナッチ数列と黄金比
(1)フィボナッチ数列
(2)黄金比Ф
【忙中閑あり】黄金長方形を折り紙で作る
4.確率と統計/回帰分析・調和分析
4.1 小手調べ/60人のクラスに同じ誕生日の人がいる確率
4.2 統計/最小二乗法によって回帰直線を求める
(1)最小二乗法とは
(2)統計に係わる基本事項
4.3 調和分析/フーリエ級数を用いた周期的に変化するデータの解析
(1)調和分析とは
(2)調和分析の方法
5.対数/人の感覚と音のデシベル
5.1 指数と対数
(1)対数にすると何が便利になるのか
(2)実数と指数と対数の関係
(3)覚えておくべき対数の公式
(4)覚えておくべき常用対数の値/log2とlog3
5.2 音のdB(デシベル)
(1)物理量としての音
(2)対数でレベル表示した音のdB
(3)距離減衰/距離の二乗則
(4)音の透過損失
5.3 暗算で解ける音のdB合成と暗算では解けない音のdB合成
(1)暗算で解ける音のdB合成
(2)暗算では解けない音のdB合成
【コラム】地震のマグニチュード
5.4 点音源と線音源
(1)点音源と線音源の違い
(2)音源の強さ(パワー)と音の強さの関係
(3)点音源と線音源の距離減衰の比較
6.+-×÷で解く微分方程式
6.1 方程式/暖房したときの室温は何度?
6.2 微分方程式/暖房を始めたあとの室温の変化は?
(1)方程式と微分方程式の共通点と相違点
(2)微分方程式は変化する物理現象を表したもの
(3)多くの微分方程式は解けない
6.3 微分方程式を解く
(1)解く前の準備/微分方程式から差分方程式へ
(2)室温変動の数値解析
(3)到達温度/再び方程式と微分方程式
付6.4 微分方程式を解く上での補足
(付1)数学モデルとは
(付2)差分方程式の解の安定条件と計算精度
(付3)微分方程式を解析的に解く
7.行列で解くつるかめ算
7.1 小手調べ/つるかめ算を算数・連立方程式・行列の3つの方法で解く
7.2 行列は便利な道具
7.3 行列の基本
(1)行列とは
(2)行列の演算
(3)逆行列の意味と性質
7.4 逆行列を求める
(1)逆行列を求める公式
(2)一般的な逆行列の求め方/掃き出し法
【付録】表計算ソフトによって連立方程式を解く
8.数式と物理量と単位/力・加速度・運動量・エネルギの関係
8.1 力の正体
(1)体重60kgとは
(2)加速度と速度と距離
8.2 力と運動量と運動エネルギの関係
(1)力積と運動量
(2)仕事と運動エネルギ/なぜ運動エネルギに計数1/2がかかるのか
(3)運動方程式/力と加速度
(4)保存則/運動量と運動エネルギ
(5)保存則/位置エネルギと運動エネルギ
(6)式の形は違っても同じ物理量/圧力と風圧と浮力
8.3 合力と分力
(1)向きのある物理量と向きのない物理量
(2)合力
(3)分力
8.4 力の釣り合い
(1)作用と反作用・反力
(2)反力としての摩擦抵抗
(3)もう一つの釣り合い/モーメント
【忙中閑あり】車は傷害物を乗り越えられるか?
【忙中閑あり】カーリング/ストーンの衝突
8.5 単位のまとめ
(1)SI単位の基本単位
(2)SI単位の主な単位
(3)SI単位との併用が認められている主な単位
(4)建築で使うその他の単位
(5)SI単位以外の単位
【コラム】アナロジー
<建築構造からみる数理/見えない力の流れを読み解く>
9.部位にかかる力
9.1 いろいろな力
(1)力と反力・内部応力/ゴンドラに乗っている人はゴンドラを持ち上げられない
(2)荷重・外力と応力/物体は同一でなくても力は連続する
(3)圧縮と引張
(4)せん断
(5)曲げ
9.2 フックの法則
9.3 さまざまな支えと接合/固定・ローラー・ピン
(1)固定/最も基本的な支持方法
(2)ローラー/左右に逃げをとって予期しない損傷を防ぐ
(3)ピン/曲げモーメントを発生させない
9.4 トラスに見る力の釣り合い
(1)部材にかかる圧縮力と引張力
(2)数式を使わずに圧縮力と引張材を見分ける
(3)トラスの高さは起きな方がよい
(4)応力0部材は不要か?
9.5 トラスの部材にかかる曲げモーメント
(1)曲げモーメント分布を調べる
(2)トラス架構全体が負担する曲げモーメント
10. 部位の性質/曲げとたわみと断面性能
10.1 曲げという現象
(1)曲げは部材にとって厳しい現象
(2)曲げモーメントの分布を求める
10.2 断面の働き
(1)柱の断面内の圧力はどのように分布しているか
(2)曲げは引張と圧縮の複合作用
(3)内部応力と曲げモーメントの関係
(4)曲げモーメントと断面計数
10.3 曲げとたわみ/弾性曲線式とたわみ曲線の導出
(1)弾性曲線式の導出
(2)弾性曲線式からたわみ曲線を求める
10.4 断面二次モーメント
(1)矩形の断面二次モーメント
(2)曲げに対して効果的な形/レール・H型鋼
(3)T型鋼の断面二次モーメント/まず図心を求める
10.5 座屈という現象
(1)座屈荷重
(2)強い材料ほど座屈に注意
【コラム】工業製品に見る構造的工夫
【コラム】巨人は存在できるか
【コラム】解けない方程式を解く/近似・離散化・関数変換・実験
11. 構造力学から建築へ
11.1 大空間を覆う構造形式
(1)ケーブル/カテナリー・放物線
(2)カテナリーの鏡像/アーチ
(3)複合構造/タイドアーチ・張弦梁
(4)トラス
(5)シェル構造・ヴォールト・ドーム
(6)トラス
(7)構造形式の複合
<建築デザインからみる数理/建築に隠された数理>
12.建築の形と数理/古代ギリシアから現代までのシュムメトリアの流れ
12.1 古代ギリシアからルネサンス
(1)古代ギリシア/ウィトルウィウスによる最古の『建築書』
(2)ルネサンス/『建築書』の再発見
12.2 現代建築における数理
(1)現代建築への影響
(2)ふたたびルネサンス
(3)透視図法の誕生
(4)近代における数学の目覚め
12.3 近代建築と数学の関係
(1)ル・コルビュジエのモデュロール
(2)ジョゼッペ・テラーニ 透明な幾何学
(3)コーリン・ロウ『理想的ヴィラの数学』
13. 建築の秩序のつくりかた/座標、単位、部分と全体
13.1 都市と建築を構成するグリッド
(1)都市計画とグリッド
(2)直交座標と極座標
(3)理想都市
(4)庭園と都市
13.2 グリッドと単位
(1)グリッド 古代エジプトから現代へ
(2)単位の反復
(3)部分と全体
13.3 新しい幾何学へ向けて
(1)フライ・オットーの実験
(2)複雑系を表現する新しい幾何学
(3)アルゴリズム的デザイン
14. 総合演習
【忙中閑あり】裏わざ/片持ち梁のたわみ公式を応用して単純梁のたわみを求める
【忙中閑あり】「さしがね」を使って任意の角度を三等分する
付録:ギリシア文字
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(本体2,800円+税10%)
在庫:在庫あり
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