建築数理
本質を理解しながら学ぶ

建築数理

著者名 猪岡 達夫
中村 研一
石山 央樹
片岡 靖夫
発行元 丸善出版
発行年月日 2017年12月
判型 B5変
ページ数 176ページ
ISBN 978-4-621-30211-8
Cコード 1052
NDCコード 520
ジャンル 土木・建築

内容紹介

小学校から高校までに習う算数・数学・物理の事項から一部大学で習う数学・材料力学までびのテーマの中から建築の実務で必要となるものを、読者の方が活かすことができることを目標に編纂。大学までの学校の教科書の中から、必要な個所を関連する話題に配列し、同様に考えられるポイント、本質としてとらえるべき事項を浮かび上がらせる。計算式の展開や式そのものの意味もできるかぎり丁寧に解説。たんに本に目を通すだけでなく、ときには声を出して読み、自身の声を聞き、頭で考え、手を動かして、目で確認することを徹底してみてほしい。

目次

<建築数理の基本>
 1.形と重心・体積・面積
  1.1 重心(図心)
   (1)重心(図心)とは
   (2)作図で重心(図心)を求める
  1.2 立体の体積
   (1)一般的な公式
   (2)パップス・ギュルダンの定理/回転体の体積を求める
  1.3 面積を求める
   (1)三角形の面積
   (2)ヘロンの公式
   (3)座標から面積を求める
   (4)多角形の面積
   (5)図形の中か外かの判別
   【忙中閑あり】折紙で任意の角を三等分する
   【別解】任意の角を三等分するアルキメデスの方法
   【忙中閑あり】マンホールの蓋(ふた)
 2.分かると便利な三角関数
  2.1 角度
   (1)平面角/度とラジアン
   (2)角度と弧の長さの関係
   (3)立体角と平面角の関係
   【忙中閑あり】太陽の見かけの大きさ・視直径と立体角
  2.2 三角関数の基本
   (1)三角比と三角関数/正弦(sin)・余弦(cos)・正接(tan)
   (2)円と三角関数
   (3)逆三角関数/sin-1、cos-1、tan-1
  2.3 覚えておくと便利な三角関数の定理とその応用
   (1)正弦定理と三角測量
   (2)余弦定理と三角測量
   (3)加法定理とその応用
  2.4 双曲線関数/snh、cosh
   (1)双曲線関数
   (2)懸垂線
   (3)懸垂線の長さ
   【コラム】サイクロイドとクロソイド 
 3.数列と級数/フィボナッチ数列と黄金比、根っこは同じ
  3.1 数列と級数
   (1)数列
   (2)級数と級数和
  3.2 円周率πを求めるアルキメデスの公式
   【忙中閑あり】正方形から正三角形を折る
  3.3 フィボナッチ数列と黄金比
   (1)フィボナッチ数列
   (2)黄金比Ф
   【忙中閑あり】黄金長方形を折り紙で作る
 4.確率と統計/回帰分析・調和分析
  4.1 小手調べ/60人のクラスに同じ誕生日の人がいる確率
  4.2 統計/最小二乗法によって回帰直線を求める
   (1)最小二乗法とは
   (2)統計に係わる基本事項
  4.3 調和分析/フーリエ級数を用いた周期的に変化するデータの解析
   (1)調和分析とは
   (2)調和分析の方法 
 5.対数/人の感覚と音のデシベル
  5.1 指数と対数
   (1)対数にすると何が便利になるのか
   (2)実数と指数と対数の関係
   (3)覚えておくべき対数の公式
   (4)覚えておくべき常用対数の値/log2とlog3
  5.2 音のdB(デシベル)
   (1)物理量としての音
   (2)対数でレベル表示した音のdB
   (3)距離減衰/距離の二乗則
   (4)音の透過損失
  5.3 暗算で解ける音のdB合成と暗算では解けない音のdB合成
   (1)暗算で解ける音のdB合成
   (2)暗算では解けない音のdB合成
   【コラム】地震のマグニチュード
  5.4 点音源と線音源
   (1)点音源と線音源の違い
   (2)音源の強さ(パワー)と音の強さの関係
   (3)点音源と線音源の距離減衰の比較   
 6.+-×÷で解く微分方程式
  6.1 方程式/暖房したときの室温は何度?
  6.2 微分方程式/暖房を始めたあとの室温の変化は?
   (1)方程式と微分方程式の共通点と相違点
   (2)微分方程式は変化する物理現象を表したもの
   (3)多くの微分方程式は解けない
  6.3 微分方程式を解く
   (1)解く前の準備/微分方程式から差分方程式へ
   (2)室温変動の数値解析
   (3)到達温度/再び方程式と微分方程式
 付6.4 微分方程式を解く上での補足
  (付1)数学モデルとは
  (付2)差分方程式の解の安定条件と計算精度
  (付3)微分方程式を解析的に解く  
 7.行列で解くつるかめ算
  7.1 小手調べ/つるかめ算を算数・連立方程式・行列の3つの方法で解く
  7.2 行列は便利な道具
  7.3 行列の基本
   (1)行列とは
   (2)行列の演算
   (3)逆行列の意味と性質
  7.4 逆行列を求める
   (1)逆行列を求める公式
   (2)一般的な逆行列の求め方/掃き出し法
   【付録】表計算ソフトによって連立方程式を解く
 8.数式と物理量と単位/力・加速度・運動量・エネルギの関係
  8.1 力の正体
   (1)体重60kgとは
   (2)加速度と速度と距離
  8.2 力と運動量と運動エネルギの関係
   (1)力積と運動量
   (2)仕事と運動エネルギ/なぜ運動エネルギに計数1/2がかかるのか
   (3)運動方程式/力と加速度
   (4)保存則/運動量と運動エネルギ
   (5)保存則/位置エネルギと運動エネルギ
   (6)式の形は違っても同じ物理量/圧力と風圧と浮力
  8.3 合力と分力
   (1)向きのある物理量と向きのない物理量
   (2)合力
   (3)分力
  8.4 力の釣り合い
   (1)作用と反作用・反力
   (2)反力としての摩擦抵抗
   (3)もう一つの釣り合い/モーメント
   【忙中閑あり】車は傷害物を乗り越えられるか?
   【忙中閑あり】カーリング/ストーンの衝突
  8.5 単位のまとめ
   (1)SI単位の基本単位
   (2)SI単位の主な単位
   (3)SI単位との併用が認められている主な単位
   (4)建築で使うその他の単位
   (5)SI単位以外の単位
   【コラム】アナロジー 
<建築構造からみる数理/見えない力の流れを読み解く>
 9.部位にかかる力
  9.1 いろいろな力
   (1)力と反力・内部応力/ゴンドラに乗っている人はゴンドラを持ち上げられない
   (2)荷重・外力と応力/物体は同一でなくても力は連続する
   (3)圧縮と引張
   (4)せん断
   (5)曲げ
  9.2 フックの法則
  9.3 さまざまな支えと接合/固定・ローラー・ピン
   (1)固定/最も基本的な支持方法
   (2)ローラー/左右に逃げをとって予期しない損傷を防ぐ
   (3)ピン/曲げモーメントを発生させない
  9.4 トラスに見る力の釣り合い
   (1)部材にかかる圧縮力と引張力
   (2)数式を使わずに圧縮力と引張材を見分ける
   (3)トラスの高さは起きな方がよい
   (4)応力0部材は不要か?
  9.5 トラスの部材にかかる曲げモーメント
   (1)曲げモーメント分布を調べる
   (2)トラス架構全体が負担する曲げモーメント 
 10. 部位の性質/曲げとたわみと断面性能
  10.1 曲げという現象
   (1)曲げは部材にとって厳しい現象
   (2)曲げモーメントの分布を求める
  10.2 断面の働き
   (1)柱の断面内の圧力はどのように分布しているか
   (2)曲げは引張と圧縮の複合作用
   (3)内部応力と曲げモーメントの関係
   (4)曲げモーメントと断面計数
  10.3 曲げとたわみ/弾性曲線式とたわみ曲線の導出
   (1)弾性曲線式の導出
   (2)弾性曲線式からたわみ曲線を求める
  10.4 断面二次モーメント
   (1)矩形の断面二次モーメント
   (2)曲げに対して効果的な形/レール・H型鋼
   (3)T型鋼の断面二次モーメント/まず図心を求める
  10.5 座屈という現象
   (1)座屈荷重
   (2)強い材料ほど座屈に注意
   【コラム】工業製品に見る構造的工夫
   【コラム】巨人は存在できるか
   【コラム】解けない方程式を解く/近似・離散化・関数変換・実験 
 11. 構造力学から建築へ
  11.1 大空間を覆う構造形式
   (1)ケーブル/カテナリー・放物線
   (2)カテナリーの鏡像/アーチ
   (3)複合構造/タイドアーチ・張弦梁
   (4)トラス
   (5)シェル構造・ヴォールト・ドーム
   (6)トラス
   (7)構造形式の複合
<建築デザインからみる数理/建築に隠された数理>
 12.建築の形と数理/古代ギリシアから現代までのシュムメトリアの流れ
  12.1 古代ギリシアからルネサンス
   (1)古代ギリシア/ウィトルウィウスによる最古の『建築書』
   (2)ルネサンス/『建築書』の再発見
  12.2 現代建築における数理
   (1)現代建築への影響
   (2)ふたたびルネサンス
   (3)透視図法の誕生
   (4)近代における数学の目覚め
  12.3 近代建築と数学の関係
   (1)ル・コルビュジエのモデュロール
   (2)ジョゼッペ・テラーニ 透明な幾何学
   (3)コーリン・ロウ『理想的ヴィラの数学』
 13. 建築の秩序のつくりかた/座標、単位、部分と全体
  13.1 都市と建築を構成するグリッド 
   (1)都市計画とグリッド
   (2)直交座標と極座標
   (3)理想都市
   (4)庭園と都市
  13.2 グリッドと単位
   (1)グリッド 古代エジプトから現代へ
   (2)単位の反復
   (3)部分と全体
  13.3 新しい幾何学へ向けて
   (1)フライ・オットーの実験
   (2)複雑系を表現する新しい幾何学
   (3)アルゴリズム的デザイン  
 14. 総合演習
   【忙中閑あり】裏わざ/片持ち梁のたわみ公式を応用して単純梁のたわみを求める
   【忙中閑あり】「さしがね」を使って任意の角度を三等分する
 付録:ギリシア文字 

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