内容紹介
窯業,冶金,製薬,製塩・製糖,染色など古代中国の優れた技術を今日の科学的知見をもとに紹介。科学技術の起源・発展は西欧が独占するものではなく多様であり,一義的決められないことが分かって目を瞠る。西欧至上主義に対する頂門の一針となる書。たとえば,亜鉛は西洋科学史では18世紀に発見されたとされ,中国では6世紀(随の時代)にすでに発見されていた。また,西洋科学史では古代エジプトから17世紀までを「錬金術の時代」と呼び,錬金術は前近代として否定されるが,中国では「金をつくる錬金術」は完成していたといってもよい。というのは,金と同じくらいさびにくく,同じ色と輝きをもち,実用に耐えうる黄銅(真鍮)が発明されたからである。
目次
1章 中国古代の製陶と製磁における化学的成果
1 中国製陶技術の進歩と化学的成果
2 中国の古磁器(古瓷)とその化学的成果
3 中国古代に独自に作り出されたガラス(玻璃)
2章 中国古代の冶金における化学的成果
1 銅と青銅の製錬における化学
2 中国古代に始まった胆水による冶銅
3 黄銅と金属亜鉛の製錬
4 中国古代の独特な2種類の白銅
5 中国古代における多種多様な鋼鉄製錬技術
3章 中国煉丹術と製薬学における化学的成果
1 中国煉丹術の理論的な考え方について
2 中国煉丹術中の実験設備
3 中国古代丹薬化学の成果
4 硝石,硫黄と火薬の発明
4章 中国古代の塩と糖の化学技術
1 中国古代の製塩
2 中国古代の飴糖と蔗糖の加工
5章 中国古代の醸造における化学的成果
1 中国古代の酒造化学
2 中国古代の酢と味噌の醸造化学
6章 中国古代の染料と染色における化学的成果
1 古代中国の染料
2 染料技術の進展
3 漂染技術の進歩
付録
中国における量の単位
中国王朝年表
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