科学と社会の対話
著者名 | JST科学コミュニケーションセンター 編 |
---|---|
発行元 | 丸善出版 |
発行年月日 | 2017年03月 |
判型 | 四六 188×128 |
ページ数 | 222ページ |
ISBN | 978-4-621-30149-4 |
Cコード | 0040 |
NDCコード | 404 |
ジャンル | 科学一般 > 科学読み物 |
内容紹介
科学の発展に合わせて複雑化する現代社会で、物事を広く俯瞰的・統一的に理解できる科学的思考方法は、社会の事象を理解する上で必要不可欠な手段である。しかし、社会とその変化を感じるために、人々は必ずしも科学を必要としているわけではない。さらに、科学は厳密さを追求する中でさらに細分化され、専門分野を超えた全体を理解することや、社会との関わりを説明することが困難になっている。科学と社会がより密接な関係になるには、「社会」「科学」の双方から考える必要があるといえる。本書は、吉川弘之・東京大学元総長がインタビュアーを務め、科学技術の各分野で世界をリードする8名の研究者にこの難題をぶつけ、各研究者がどのように考えるかを興味深く語った内容をまとめたもの。「人間とは何か」という疑問を真剣に考え、真正面から答えようとする科学者たちの真摯な姿勢は、全ての対談に共通していることであるといえよう。
目次
はじめに【渡辺 美代子】
◆第1話◆基礎研究から臨床まで【高橋 政代】
――見えない科学を社会に開く
日々の対話で情報の歪みをアジャストする/基礎研究が社会で使われるまでの長い道のり/社会を煽動する情報の浮き沈みをくぐり抜ける/共にリスクをわきまえて進んでいくための対話/基礎研究の魅力を伝えるためには
◆第2話◆専門語を自然言語に訳す【村山 斉】
――研究を始めた頃の素朴な疑問に立ち返る
「物理語」を誰もが使う「自然言語」に置き換える/科学を伝えるための比喩のようで本当の話/科学を天下りの発想で教えることの弊害/言葉にできる素粒子物理と理論化できない生命科学/素粒子研究の今を共有することの楽しさ/素粒子研究は社会にどうつながっていきそうか
◆第3話◆大学改革で実践する新しい対話【三島 良直】
――学生目線で見出すこれからの教育
学生の魂に“学ぶ動機”の火をつける/時代の中で希薄になった学ぶための社会的動機/情報循環の回路から大学の役割を考える/異なる言語の対話を教育の中で実践する/役割を意識することが社会的動機につながる
◆第4話◆意見の違いを認めて共に生きる【小林 傳司】
――科学と社会はメタ合意の時代へ
科学哲学を学び、ロンドンでコンセンサス会議を知る/科学技術社会論(STS)の立ち上げと議論の場の実践/トランス・サイエンスと研究者の責任/分野やセクターを超えるコミュニケーションのために/異なる意見の人と納得し合えるゴールのあり方
◆第5話◆情報化時代のコミュニケーション【喜連川 優】
――生のデータで対話するダイナミズムを考える
個に特化した情報を提示する時代/茶室とフェイスブック、二つの閉鎖的な対話の場の違い/可観測になったことで見えるもの/可観測性を科学コミュニケーションに活かす/社会を良くするためにデータを扱う/言語によるディスコミュニケーションを乗り越える/これからの科学のあり方を問う
◆第6話◆言葉を超える理解の形【西野 嘉章】
――博物館は科学の何を問い、伝えることができるのか
モノが語る ―ユニヴァーサル・ランゲージに注目する/受け手の求める知識とは? ―発信のレベルを階層化する/与えられる教養から自ら狩り取る教養へ/デカルトの「総合の規則」を顧みる/主観的に考え伝えることの意味とは何か
◆第7話◆知のコミュニケーション
――深い知を伝え合うことの意味【井野瀬 久美惠】
複数のアイデンティティと双方向で向き合う/コミュニケーションのループをつくる/専門家が持っている別の視点の重要性/伝えたい人にわかってもらうために何が必要か
◆第8話◆人類の進化が投げかける【山極 壽一】
――科学コミュニケーションの行く先
熱帯雨林を出た類人猿が言語を獲得するまで/へんなことをやり続けて得た社会脳とコミュニケーション能力/やがて人類は目に見えない情報や概念をつくり始めた/言語がつくりあげる神話と社会/生身の人間同士が向き合うことの意味/神話の崩壊と科学の役割/科学コミュニケーションの背後にある神話は何か/神話の違いに目を向ける
◇科学者との対談後記◇【吉川 弘之】
関連商品
▼ 関連記事
- 【2017年3月】新刊案内・一覧注文書2017.03.01