内容紹介
文化人類学から学ぶ異文化理解、国際関係論 から学ぶ国際理解――さらに社会学、民俗学、 地域研究、美術史からも興深い知見を紹介し ながら、他者理解とは何か、差異とは何か、 多様性とはなにか、について鋭い洞察力が身につけられるユニークな教養テキスト。
目次
第I部 異文化・国際理解とフィールドワーク
第1章 異文化・国際理解への招待
1 異文化・国際理解へ
2 身近にもある異文化・国際理解=他者理解
3 差異を認める他者理解
4 他者理解の楽しさと困難さ
5 経験のなかの他者理解との出会い
6 本書の概要
第2章 フィールドに出会う、フィールドで考える―自文化と異文化の往還
1 フィールドとの出会い
2 方法の模索
3 研究を相対化する
第II部 歴史と国際関係
第3章 ナショナリズムと民族紛争
1 民族紛争
2 エスニシティ
3 「ネイション」の多義性
4 ネイションの起源
5 ナショナリズム
6 主権国家
7 国民国家
8 帝国主義と民族自決運動
9 グローバリゼーションと体制転換
10 まとめ
第4章 多文化主義と歴史認識―オーストラリアに学ぶ
1 なぜオーストラリアに学ぶのか
2 オーストラリアの多文化主義
3 人種差別禁止法(Racial Discrimination.Act,1975)
4 オーストラリアの先住民族について
5 まとめ:日本への影響(implications)
第5章 布を通して見た江戸期日本の異文化受容―イランの絹織物を通して
1 ものによる交流史
2 日本に渡来したイランの染織品
3 オランダ東インド会社とイランの絹織物
4 茶の湯のなかのイラン絹織物
5 イランから日本へ
6 おわりに
第III部 異文化(他者)と表象
第6章 「祖国」という名の異国、「同胞」という名の他者と向かい合う
1 在日コリアンにとっての近代と「家」問題
2 李良枝の生涯
3 『由煕』を読む
4 異国としての「祖国」
第7章 表象/消費される異文化―日本のメディアで生みだされる東南アジアへのまなざし
1 はじめに
2 表象と消費
3 日本が表象/消費する東南アジア
4 日本のメディアにおける東南アジアへのまなざし
5 おわりに
第8章 イスラームにおける聖なるものの表象―預言者・聖者の描写について
1 イスラームが禁じる偶像崇拝について
2 イスラームの造形芸術に対する姿勢
3 イスラームにおける宗教美術とは
4 預言者ムハンマドの図像化
5 おわりに
第9章 メディアにおける犯罪の社会的構築―「他者」との共生へむけて
1 犯罪とは何か
2 ニュース・メディアにおける犯罪
3 社会統制機能をもつ犯罪ニュース
4 犯罪統計からみる日本の犯罪
5 厳罰
6 更生・保護 他者との共生
7 「他者」との共生へ
第IV部 差異と多様性
第10章 アジアの「周縁」間を移動する人々―台湾・沖縄間を事例に
1 ポストコロニアル研究と世界システム論
2 「技術導入事業」による台湾から沖縄への人の移動
3 「技術導入事業」を題材にした小説『魚群記』を読む 1
第11章 病むという経験の多様性
1 病気になるということ
2 病気の原因
3 病気への対処法
4 北タイ農村における病気と文化
5 おわりに―病気をめぐる異文化理解へむけて
第12章 つくられる「男らしさ」「女らしさ」―ジェンダーと身体の構築性
1 はじめに
2 つくられる「男らしさ」「女らしさ」
3 身体の多様性
4 日常生活におけるジェンダーの構築
5 変化するジェンダー秩序・規範
6 おわりに
第13章 差別と社会―障害者問題をてがかりに
1 多数者のつくる世界観
2 障害者運動の視角
3 植民地的心性
第14章 国境を越える民族のアイデンティティ―タイ・中国・ベトナムのヤオ族
1 移動する生活
2 通過儀礼から読み取れる世界観
3 文化資源の継承