内容紹介
量子力学の基礎として評価の高い、ポーリング、ウィルソンによる『量子力学序論―および化学への応用』の新訳。量子論が生まれた背景と、量子力学の化学への応用―量子化学がかたちづくられるまでが丁寧に解説されている。量子化学の形成にかかわった化学者ならではの生きた解説になっている。化学者に向けて、つまづかないようにとのポーリングの配慮によって、理解のポイント、理解の助けとなる概念図、詳細な表が随所にあげられている。また、式の展開を省略がされていないため、理論展開についていける。化学の理解には避けて通れない、本書の内容を本格的に学ぶことによって化学の土台をなす豊かな知恵が身につく。
目次
1章 古典力学の整理
1.ニュートンの運動方程式:ラグランジュ形式
2.ハミルトン形式の運動方程式
3.放射の放出と吸収
4.章のまとめ
2章 古い量子論
5.量子論の芽生え
6.単純な系の量子化
7.水素原子
8.古い量子論の衰退
3章 シュレーディンガー方程式 ①一次元の調和振動子
9.波動方程式と波動関数
10.波動関数の意味
11.調和振動子の波動力学
4章 シュレーディンガー方程式 ②三次元の粒子系
12.粒子系の波動方程式
13.自由粒子
14.箱の中の粒子
15.デカルト座標でみた三次元調和振動子
16.曲線座標
17.円筒極座標でみた三次元調和振動子
5章 シュレーディンガー方程式 ③水素原子
18.方程式の解とエネルギー
19.ルジャンドル関数と球面調和関数
20.ラゲール多項式とラゲール陪関数
21.水素原子の波動関数
6章 近似法 ①摂動論
22.関数の級数理論
23.一次摂動論:縮退がないとき
24.一次摂動論・縮退があるとき
25.二次摂動論
7章 近似法 ②変分法ほか
26.変分法
27.ほかの近似法
8章 電子スピンとヘリウム原子
28.電子スピン
29.ヘリウム原子とパウリの排他律
9章 多電子原子
30.スレーターの近似法
31.単純な原子の変分計算
32.自己無撞着場の方法
33.ほかの近似法
10章 分子の回転と振動
34.電子と核の動きの分離
35.二原子分子の回転と振動
36.多原子分子の回転
37.多原子分子の振動
38.結晶内の分子回転
11章 時間を含む摂動論――放射の放出・吸収と共鳴現象
39.時間を含む摂動
40.放射の放出と吸収
41.共鳴現象
12章 単純な分子とイオン
42.水素分子イオン
43.水素分子
44.ヘリウム分子イオンHe2+とHe―He原子間相互作用
45.一電子結合,電子対結合,三電子結合
13章 複雑な分子
46.スレーターの方法
14章 ほかの応用
47.ファンデルワールス力
48.波動関数の対称性
49.量子統計力学
50.反応の活性化エネルギー
15章 波動力学の周辺
51.行列力学
52.角運動量の性質
53.不確定性原理
54.変換論
▼ 関連記事
- 【書店・生協様向け】定番&おすすめ書籍注文書【化学】2019.11.26