量子力学 I

量子力学 I

著者名 高木 伸
発行元 丸善出版
発行年月日 2018年01月
判型 B5 257×182
ページ数 382ページ
ISBN 978-4-621-30248-4
Cコード 3042
NDCコード 421
ジャンル 物理学

内容紹介

量子力学を使い続けていると、学び始めたころ不思議と感じたことにいつしか慣れてしまう。初等的な疑問は決して解決したわけではないが、つじつまが合っているからと気にしなくなる。

本書は「物わかりの悪い人」を読者対象として、この基礎的な疑問に改めて向き合い、その理解を図る。純然たる哲学でも単なる計算技術でもなく、両側面を合わせもつ体系としての量子力学を身につけ、細部まで熟知して使いこなせるようになることを目指す。

初等的な数学(主に微積分)と物理(主にニュートン力学)だけを前提とし,数学的道具は,必要になった段階で,それまでに培った知識などを総動員して手作りしつつ話を進める.

講義を受けているかのように,疑問点や思考過程を追いながら,量子力学を発見的に再構成できる.

歴史的経緯ではなく、量子力学を学ぶ人が疑問に思うことを解明しながら進み、かゆいところに手が届く解説で深い理解を促す.

目次

序章
 0.1 本書の概要
 0.2 執筆方針
 0.3 凡例
第1章 量子論の登場:古典物理学からの脱却
 1.1 古典物理学(必要最小限の復習)
 1.2 古典物理学の困難(あるいは限界)
 1.3 古典物理学からの脱却(その1):プランクの量子仮説
 1.4 ユークリッド空間とヴェクトル
 1.5 並の波(その1)
 1.6 古典物理学からの脱却(その2):アインシュタインの光量子仮説
 1.7 古典物理学からの脱却(その3):ボーア仮説
 1.8 古典物理学からの脱却(その4):ド・ブロイ関係式その1
 1.9 単位系・次元解析・基礎定数
 1.10 古典電子に因る輻射と原子崩壊
 1.11 ヴィリアル定理と古典滞在確率
 1.12 ヴェクトルの内積と外積について
第2章 ウェーヴィクル
 2.1 並の波(その2)ヤングの二連細隙実験
 2.2 ヤング型波動二重性
 2.4 量子波動の意味
 2.5 ウェーヴィクルの不思議な性質
 2.6 演習答案
 2.7 ヴェクトルと線形空間
第3章 シュレーディンガー方程式
 3.1 指数函数
 3.2 平面進行波
 3.3 並の波(その3)
 3.4 自由波束
 3.5 ガウス積分(その1)
 3.6 フーリエ変換(その1)
 3.7 自由粒子を律するシュレーディンガー方程式:E1の場合
 3.8 ナブラとラプラシアン
 3.9 自由粒子を律するシュレディンガー方程式:E3の場合
 3.10 緩やかなポテンシャル下の波束が従う方程式
 3.11 ポテンシャル下の粒子を律するシュレーディンガー方程式
 3.12 アインシュタインがシュレーディンガーに出した手紙
 3.13 シュレーディンガー方程式の性質
 3.14 議論展開に関する註
 3.15 フーリエ変換(その2)
 3.16 たたみ込み
 3.17 ガムマ函数とベータ函数
 3.18 積分公式
第4章 「位置の確率密度」と「運動量の確率密度」
 4.1 運動量空間
 4.2 位置または運動量についての確率公準:推測
 4.3 話の筋道に関する補足
 4.4 位置についての確率公準
 4.5 位置の「『測定データ』および『期待値と揺らぎ』」
 4.6 始値問題の解の一意性
 4.7 運動量についての確率公準を吟味する準備
 4.8 運動量についての確率公準・期待値・揺らぎ
 4.9 「位置と運動量」についての結合確率
 4.10 全体位相因子とポテンシャル底上げ任意性
 4.11 波束の重ね合せと干渉
 4.12 数字的補足
 4.13 函数と函数空間
第5章 「大人しい函数」と「超函数」
 5.1 大人しい函数
 5.2 数字が気になる読者のためのワクチン
 5.3 デルタ函数と踏段函数
 5.4 デルタ函数の正体
 5.5 踏段函数の正体
 5.6 {デルタ函数,踏段函数}の性質
 5.7 超函数
 5.8 デルタ函数:E3
 5.9 ラプラシアンCoulomb
 5.10 ラプラシアン湯川
 5.11 離散ディリクレ核と周期デルタ函数
 5.12 鋸函数
第6章 シュレーディンガー方程式の基本的性質
 6.1 自由粒子
 6.2 自由粒子のファインマン核
 6.3 量子力学における慣性法則
 6.4 時間反転対称性
 6.5 一様外力下の粒子(その1):並進加速度計
 6.6 非慣性系(その1):並進加速度計
 6.7 一様外力下の粒子:再挑戦
 6.8 積分順序入替公式
 6.9 二連細隙干渉 
第7章 運動量測定(その1)
 7.1 古典粒子の運動量測定
 7.2 位置測定と運動量測定:定義
 7.3 古典粒子集団の運動量分布測定
 7.4 量子力学版飛行時間法
 7.5 一様外力下の粒子:始運動量測定
 7.6 古典粒子集団との相違
 7.7 測定理論あるいは“観測の理論”について
 7.8 補助不等式
第8章 調和振動子波動函数
 8.1 古典調和振動子
 8.2 非慣性系(その2):膨縮系
 8.3 シュレーディンガー方程式に対する膨縮変換
 8.4 調和振動子の量子動力学
 8.5 強制調和振動子
 8.6 断熱的な調和振動子
 8.7 複素尺度因子
 8.8 重大なる疑問

関連商品

定価:5,280円
(本体4,800円+税10%)
在庫:お問い合わせください