書物の文化史

書物の文化史

メディアの変遷と知の枠組み
著者名 加藤 好郎
木島 史雄
山本 昭
発行元 丸善出版
発行年月日 2018年04月
判型 A5 210×148
ページ数 212ページ
ISBN 978-4-621-30106-7
Cコード 1000
NDCコード 020
ジャンル 図書館学

内容紹介

モノとしての書物(メディア)を通して、「文献文化」および「知の枠組み」を考察するテキスト。世界の各地域・時代において、文献はどのような媒体(メディア)に載せられ、どのように読まれてきたかについて、図版も豊富に交えながら解説する。具体的には、「媒体(メディア)の制約と文献の仕組み」「媒体(メディア)の特性と知の枠組み」という切り口から「書物」にまつわる様々な現象を読み解く。

目次

第1章 東洋の書物史
 1 文字の発生から紙の発明まで:中国の書物史I
  ●漢字はいつコミュニケーションの道具となったか(著者と読者の関係)
   ――甲骨文字という記号
  ●知の編成
 2 紙の普及と抄本の時代:中国の書物史II 
  ●神の普及とその影響
  ●文字支持体の制作費低減と文献の拡大
  ●装丁の変遷
  ●紙普及に関わる書物の文化史
 3 印刷以後:中国の書物史III
  ●印刷の始まりと展開
  ●民間出版の隆盛
  ●文献世界を把握する  
 4 朝鮮出版文化の始まりとその展開:朝鮮の書物史
  ●古代三国(前57〜686)と統一新羅(677〜935)
  ●高麗時代(918〜1392)
  ●朝鮮時代(1392〜1910)
   コラム1 漢籍を求めて日本へ
   コラム2 社会的ステータスと蔵書文化:中国と日本
第2章 日本の書物史
 1 日本の書物の始まり
  ●日本の書物の起源
  ●本格的文献の発生
 2 本を書く:さまざまな写本
  ●古典の写本
  ●草稿本・自筆本
  ●刊本の転写
  ●写本の絵本
  ●実録写本
  ●日記・記録
  ●紙背文書 
 3 印刷と出版の歴史
  ●一枚もの木版(製版)による印刷
  ●活字の登場
  ●出版のひろがり
 4 書物のつくりとその用途:装丁
  ●巻く――巻いてつくる本
  ●折る――折ったり、それを糊付けしてつくる本
  ●綴じる――糸で綴じる本
   コラム3 書物の読まれ方
   コラム4 「ローマ字」と「ローマ字入力」
   コラム5 カラオケとMMO
第3章 オリエントの書物史
 1 記憶と知の継承:エジプトの書物史
  ●4つの文字と媒体のコンビネーション――目的と用途
  ●「書物」の存在/知の蒐集――収蔵と管理について
 2 楔形文字と粘土板:メソポタミアの書物史
  ●楔型文字の誕生
  ●楔形文字の伝播
  ●書材としての粘土板
  ●アーカイブとライブラリー
  ●ニネヴェの発掘と「アッシュルバニパル図書館」
  ●アッシュルバニパルと書記術
  ●「アッシュルバニパル図書館」の文書蒐集
  ●「アッシュルバニパル図書館」の始まりと終焉
   コラム6 書かれたものとイスラーム
第4章 西洋の書物史
 1 ギリシャ・ローマ時代
  ●媒体手段としての蝋版、獣皮、パピルス
  ●巻子本の成立
  ●出版業の成立
  ●図書館の成立
  ●巻子本から冊子本への移行
 2 中世以後の欧州の書物
  ●キリスト教の伝播
  ●中世型大学の出現
  ●写本文化の隆盛
  ●書物に対する考え方
 3 活版印刷以後の書物
  ●グーテンベルク 『42行聖書』
  ●1500年代ヨーロッパの印刷物の状況
  ●人文主義者の活躍
  ●宗教改革と反宗教改革
  ●ラテン語書籍の衰退化と聖書の日常言語化
  ●クリストフ・プランタンの『多言語聖書』
  ●17世紀の出版状況
  ●18世紀の出版状況
  ●19世紀の出版状況
   コラム7 グーテンベルク『42行聖書』の出版とアジアへの変遷
   コラム8 焚書と禁書
   コラム9 草稿研究
   コラム10 円形図書館と書籍評価サイト
第5章 近代・現代のメディア史
 1 東洋の近代化と印刷
   コラム11 書物の東西交流:近世・近代の中・欧間の書物の往き来
   コラム12 編集と組版のあいだ
   コラム13 21世紀の活版印刷ルネサンス
 2 コンピュータのメディア
  ●データベースの登場
  ●図書館で
  ●日本語の壁
  ●紙か電子か
  ●記録媒体
  ●データ量
   コラム14 書籍の電子化
   コラム15 光ディスクファイルシステム:OAの黒歴史
   コラム16 縁穴カードとピーカブー
 3 音のメディア
  ●エジソンとベルリナー
  ●電気き吹込み
  ●蓄音機は電蓄に
  ●多様な録音方式
  ●LPレコード
  ●電蓄はステレオに
  ●マルチトラック、マルチチャンネル録音
  ●デジタル録音
  ●メディアと曲の関係
 4 画像・映像のメディア
  ●写真技術
  ●活動写真
  ●アニメ
  ●無声映画
  ●映画、映写機の仕組み
  ●トーキー
  ●ニュース映画
  ●テレビからビデオへ
  ●技術の進歩
  ●絵の出るレコード
   コラム17 「ひょっこりひょうたん島熱中記」と「スヴェトラーノフの悲愴」
   コラム18 失われた映画音楽
第6章 知っておきたい書物の雑学
 1 執筆と読書
 2 文書と記録
  ●文書と記録と編纂物・著作物
  ●機能論
  ●1次史料と2次史料
  ●研究論文・史料整理と歴史的時間軸
 3 個人蔵書と図書館
  ●日本の図書館の時代区分
  ●図書館史
  ●米国の個人蔵書と図書館
  ●米国議会図書館の歴史
  ●国会と図書館
  ●個人文庫と図書館:蔵書票と蔵書印の発祥と発達の歴史  
 4 出版と流通
  ●出版の倫理綱領とその定義と機能そして特徴
  ●現代社会のコミュニケーションとは
  ●日本出版販売(日販)の戦略
  ●書籍・雑誌と電子書籍の出版販売の相違について
  ●再販制度について
  ●学術出版における、資料取集と出版流通
  ●出版文化と流通の広がり
  ●貝原益軒の思想と出版メディア
   コラム19 帳簿というメディア
   コラム20 楽譜と演奏
   コラム21 思考の抽象化と形式化:数式の世界
   コラム22 看板文字の誘惑

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