クルーグマン国際経済学 理論と政策

クルーグマン国際経済学 理論と政策

〔原書第10版〕下:金融編
原書名 International Economics: Theory and Policy Tenth Edition
著者名 山形 浩生
守岡 桜
発行元 丸善出版
発行年月日 2017年01月
判型 A5 210×148
ページ数 502ページ
ISBN 978-4-621-30058-9
Cコード 3033
NDCコード 333
ジャンル 社会科学 >  経済学

内容紹介

ノーベル経済学賞受賞者・クルーグマンらによる世界中の大学経済学部で最も使用されている国際経済学のテキスト。国際経済学については、基礎から最先端まで、これ一冊で必要十分といわれる内容充実度を誇る。米国テキストならではの懇切丁寧な説明とグラフの多用による視覚的解説によって、ミクロ経済、マクロ経済、経済数学の基礎知識がなくても、丁寧に読めばだれでも十分理解できるようにつくられている。第8版同様、原書と全く同じレイアウト、2色刷で理解しやすいテキストを目指す。なお今回の翻訳は第10版となる。なお、第10版では新たにハーバード大学のM. J. Melitz教授も執筆者に加わり金融危機後の経済情勢など新しい話題に差替え、全面大幅改訂されている。

目次

第III部 為替レートと開放経済マクロ経済学
 第13章 国民所得計算と国際収支
  国民所得計算
   国民生産と国民所得
   資本の損耗(減価償却)と国際移転
   国内総生産(GDP)
  開放経済での国民所得勘定
   消費
   投資
   政府購入
   開放経済での国民所得恒等式
   仮想的な開放経済
   経常収支と対外債務
   貯蓄と経常収支
   民間貯蓄と政府貯蓄
  【コラム】消えた赤字の謎
  国際収支勘定
   対になった取引の例
   根本的な国際収支の恒等式
   経常収支再び
   資本勘定
   金融勘定
   純誤差脱漏
   公的準備資産の取引
  【事例研究】世界最大の債務国の資産と負債   
 第14章 為替レートと外国為替市場:アセットアプローチ
  為替レートと国際取引
   国内価格と外国価格
   為替レートと相対価格
  【コラム】為替レート,自動車価格,通貨戦争
  外国為替市場
   参加者
   この市場の特徴
   スポットレートとフォワードレート
   外国為替スワップ
   先物とオプション
  【コラム】アジアのノンデリバラブル・フォワード為替取引
  外国通貨資産の需要
   資産と資産収益
   リスクと流動性
   利子率(金利)
   為替レートと資産収益
   簡単なルール
   外国為替市場の収益,リスク,流動性
  外国為替市場での均衡
   金利平価(金利パリティ):基本的な均衡条件
   現在の為替レート変化が期待収益に与える影響
   均衡為替レート
  金利,期待,均衡
   金利が変わると今の為替レートはどうなる?
   期待の変化が今の為替レートに与える影響
  【事例研究】キャリートレードはどう説明する?
  第14章補遺:フォワード為替レートとカバーつき金利平価   
 第15章 貨幣,金利,為替レート
  お金の定義:概要
   交換媒体としてのお金
   会計単位としてのお金
   価値貯蔵手段としてのお金
   お金って何だろう?
   お金の供給量(マネーサプライ)はどう決まるか
  個人によるお金の需要(貨幣需要)
   期待収益
   金利と貨幣供給(マネーサプライ)
   産出と金利
  短期での貨幣供給と為替レート
   貨幣,金利,為替レートを関連づける
   アメリカの貨幣供給とドル/ユーロ為替レート
   ヨーロッパの貨幣供給とドル/ユーロ為替レート
  長期の貨幣,物価水準,為替レート
   貨幣と貨幣価格
   貨幣供給の変化による長期的影響
   貨幣供給と物価水準の実証的証拠
   長期的にみた貨幣と為替レート
  インフレと為替レートの動態
   短期的な価格硬直性VS長期的な価格伸縮性
  【コラム】貨幣供給の増加とジンバブエのハイパーインフレ
   貨幣供給の恒久的変化と為替レート
   為替レートのオーバーシュート
  【事例研究】インフレ率の上昇は通貨の増価をもたらすか? インフレ目標の影響
 第16章 物価水準と長期的な為替レート
  一物一価の法則
  購買力平価(PPP)
   PPPと一物一価の法則の関係
   絶対的PPPと相対的PPP
  購買力平価に基づく長期的為替レートモデル
   貨幣的アプローチの基本方程式
   持続的なインフレ,金利平価,PPP
   フィッシャー効果
  PPPと一物一価法則の実証的証拠
  PPPの問題点を説明する
   貿易障壁と非貿易財
   自由競争からの逸脱
   消費パターン,物価水準測定の違い
  【コラム】一物一価の法則を巡る肉々しい裏づけ
   短期的,長期的にみたPPP
  【事例研究】貧困国の物価水準はなぜ低いか
  購買力平価を超えて:長期為替レートの一般モデル
   実質為替レート
   需要,供給,長期的実質為替レート
  【コラム】硬直的な価格と一物一価の法則:スカンジナビアの免税店から得られた証拠
   長期均衡における名目為替レートと実質為替レート
  国際金利格差と実質為替レート
  実質金利平価
  第16章補遺:価格伸縮的な貨幣的アプローチでのフィッシャー効果,金利,為替レート    
 第17章 短期的な産出と為替レート
  開放経済における総需要の決定要因
   消費需要の決定要因
   経常収支の決定要因
   実質為替レートの変化が経常収支に与える影響
   可処分所得の変化が経常収支に与える影響
  総需要の方程式
   実質為替レートと総需要
   実質所得と総需要
  短期的な算出の決まりかた
  短期的な算出市場均衡:DD曲線
   産出,為替レート,産出市場均衡
   DD曲線の導出
   DD曲線をシフトさせる要因
  短期的な資産市場均衡:AA曲線
   産出,為替レート,資産市場の均衡
   AA曲線を導き出す
   AA曲線をシフトさせる要因
  開放経済の短期均衡:DD曲線とAA曲線を組み合せる
  金融・財政政策の一次的な変化
   金融政策
   財政政策
   完全雇用を維持するための政策
  インフレバイアスなど政策形成の問題
  金融・財政政策の恒久的シフト
   貨幣供給の恒久的増加
   貨幣供給の恒久的増加に対する調整
   恒久的な財政拡大
  マクロ経済政策と経常収支
  貿易フローの段階的調製と経常収支の動向
   Jカーブ
   為替レートパススルーとインフレ
   経常収支,財産,為替レートの動向
  流動性の罠
  【事例研究】政府支出乗数の大きさは?
  第17章補遺1:異時点間取引と消費需要
  第17章補遺2:マーシャル=ラーナー条件と貿易弾性の実証的推計  
 第18章 固定為替レートと外国為替介入
  なぜ固定為替レートなんかを研究するんだろうか?
  中央銀行の介入と貨幣供給
  外国為替介入と貨幣供給
  不胎化
  国際収支と貨幣供給
 中央銀行はどうやって為替レートを固定するか
  固定為替レートでの外国為替市場の均衡
  固定為替レートでの貨幣市場の均衡
  グラフによる分析
 固定為替レートの安定化政策
  金融政策
  財政政策
  為替レートの変化
  財政政策と為替レートの変化に対する調整
 国際収支危機と資本逃避
 管理フロート制と不胎化介入
  資産の完全代替性と不胎化介入の無効性
 【事例研究】市場は強い通貨を攻撃できるか スイスの例
  資産の不完全代替性のもとでの外国為替市場均衡
  資産の不完全代替性のもとで不胎化介入が与える影響
  不胎化介入の影響をめぐる証拠
 国際通貨制度における準備通貨
  準備通貨本位制の仕組み
  準備通貨国の非対称的な立場
 金本位制
  金本位制の仕組み
  金本位制における対照的な金融調整
  金本位制の利点と欠点
  複本位制
  金為替本位制
 【事例研究】外貨準備の需要
 第18章補遺1:資産不完全代替のもとでの外国為替市場均衡
 第18章補遺2:国際収支危機のタイミング    
第IV部 国際マクロ経済政策
 第19章 国際金融システム:歴史のおさらい
  開放経済におけるマクロ経済政策の目標
   国内均衡:完全雇用と物価水準の安定
   対外均衡:経常収支の最適水準
  【コラム】国は永遠に借金できるのか――ニュージーランドの場合
  通貨システムの分類:開放経済の通貨のトリレンマ
  金本位制での国際マクロ経済政策(1870〜1914)
   金本位制の起源
   金本位制下での対外均衡
   金本位制の「ゲームのルール」:神話と現実
   金本位制下の国内均衡
  【事例研究】為替レート制の政治経済:アメリカの本位制をめぐる1980年代の衝突
  戦間期(1918〜39)
   つかの間の金への回帰
   国際経済の崩壊
  【事例研究】国際金本位制と大恐慌
  ブレトンウッズ体制と国際通貨基金(IMF)
   国際通貨基金(IMF)の目標と構造
   交換可能性と民間資本移動の拡大
   投機的資本移動と危機
  国内均衡と対外均衡を達成する政策オプションの分析
   国内均衡の維持
   対外均衡の維持
   支出増減政策と支出転換政策
  ブレトンウッズ体制下のアメリカの対外均衡問題
  【事例研究】ブレトンウッズ体制の終わり,世界的インフレ,変動レートへの移行
   輸入インフレの仕組み
   評価
  変動為替レートの支持論
   金融政策の自律性
   対称性
   自動安定装置としての為替レート
   対外収支
   政策協調の問題
  固定為替レートは多くの国にとってそもそも選択肢になり得るか
  第19章補遺:国際的な政策協調の失敗 
 第20章 金融のグローバル化:機会と危機
  国際資本市場と取引による利益
   貿易による利得3種類
   リスク忌避
   国際資産取引の動機としてのポートフォリオ分散
   国際資産のメニュー:負債(デット)対資本(エクイティ)
  国際銀行業務と国際資本市場
   国際資本市場の構造
   オフショアバンキングとオフショア通貨取引
   影の銀行(シャドウバンキング)システム
  銀行業務と金融の脆弱性
   銀行破綻の問題
   金融不安に対する政府の安全策
   モラルハザードと「Too Big to Fail(大きすぎてつぶせない)」問題
  【コラム】モラルハザードの単純な算数
  国際銀行業務の規制という難問
   ファイナンスのトリレンマ
   2007年までの規制に関する国際協調
  【事例研究】2007〜09年の世界金融危機
  【コラム】外国為替の不安定性と中央銀行のスワップライン
   世界的な金融危機以降の国際規制のイニシアチブ
  国際金融市場は資本とリスクをうまく配分できただろうか?
   ポートフォリオの国際的分散の進展
   異時点間取引の規模
   オンショアとオフショアの利率格差
   外国為替市場の効率性  
 第21章 最適通貨圏とユーロ
  ヨーロッパの単一通貨はどう発展したか
   ヨーロッパの通貨協力を推進したものは何か
   欧州通貨制度(1979〜98)
   ドイツの金融支配とEMSの信頼性理論
   市場統合のイニシアチブ
   欧州経済通貨同盟(EMU)
  ユーロとユーロ圏の経済政策
   マーストリヒト収斂基準と安定成長協定
   欧州中央銀行とユーロシステム
   為替相場メカニズムの改訂
  最適通貨圏の理論
   経済統合と固定為替レート圏の利点:GG曲線
   経済統合と固定為替レート地域のコスト:LL曲線
   通貨圏に参加する決断:GG曲線とLL曲線を合わせる
   最適通貨圏とは?
   そのほかの重要な検討事項
  【事例研究】ヨーロッパは最適通貨圏だろうか?
  ユーロ危機とEMUの未来
   危機の始まり
   自己実現的な政府の債務不履行と「ドゥームループ」
   さらに広範な危機と政策対応
   欧州中央銀行の国債買取プログラム(OMT)
   EMUの未来   
 第22章 発展途上国:成長,危機,改革
  世界経済の所得,富,成長
   富裕国と貧困国のギャップ
   世界の所得ギャップは縮まってきただろうか?
  発展途上国の構造的な特徴
  発展途上国の借り入れと負債 
   発展途上国への金融流入の経済学
   デフォルト問題
   他の資金流入方法
   「原罪」の問題
   1980年代の債務危機
   改革,資本流入,危機の復活
  東アジア:成功と機器
   東アジアの奇跡
  【コラム】なぜ発展途上国はこんなに大量の国際準備を積み上げたんだろうか?
   アジアの弱点
  【コラム】東アジアのやった正しいことは?
   アジア金融危機(アジア通貨危機)
  発展途上国の危機の教訓
  世界の金融「アーキテクチャ」再編
   資本の移動性と為替レートレジームのトリレンマ
   「予防的」措置
   危機対応
  【事例研究】中国の固定通貨
  世界資本フローと世界所得分配を理解する:地理が命運を決めるのか?
  【コラム】資本のパラドックス  
●数学補遺 リスク忌避と国際ポートフォリオ分散(第20章数学補遺)

出版社からのメッセージ

本書は『クルーグマンの国際経済学 下 金融編』(2011年1月刊)の改訂版です。

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