内容紹介
著者は米国の睡眠医学臨床研究を行った唯一の日本人医師。科目横断的な疾患テーマで睡眠医学を語る。OSAS(睡眠時無呼吸症候群)、不眠、ナルコレプシー、パラソムニア、概日リズムと睡眠覚醒リズム障害などを解説。「入院病棟」「救急外来」「ICUの現場」で役立つ睡眠医学の究極のアプローチ。米国スタンフォード大学睡眠医学センター直伝の「睡眠医学」が満載。
目次
第1部 総 論
■1章 睡眠医学を学ぶための「極論」の前の「総論」[Introduction]
極論1 睡眠医学のお作法を知らずに研修期間は終わる
極論2 睡眠は究極のプライバシーである
極論3 終夜睡眠ポリグラフ検査を見れば進路が変わる 睡眠そのものに興味を向けろ
極論4 共通語を知れば, 睡眠医学に参入できる
コラム1 睡眠医学はどうあるべきか?
第2部 外来で診る睡眠医学
■2章 成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 診断編 [Diagnostic approach for OSAS in adult]
極論1 OSASを知っている? ありがとう! でも謙虚であれ
極論2 OSASを診るな,患者を診ろ
極論3 上気道を診ないOSASの診察は無駄
極論4 OSASは突然「出現」したり「消失」したりする
コラム1 スクリーニングを感度の低い検査ですると,どうなるのか?
■3章 成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 治療編 [Treatment for OSAS in adult]
極論1 AHIをよく知ることがOSAS治療の第一歩
極論2 CPAPは「人工呼吸器」ではない
極論3 CPAPで効果がなくても驚くことではない
極論4 医者の正義を押しつけない.疫学を脅しの道具に使わない
コラム1 「CPAPミラクル」は嗜む程度.中毒になるな!
コラム2 OSASの治療法の歴史
■4章 パラソムニア 睡眠中の異常行動 [Parasomnia]
極論1 パラソムニアは「睡眠に付き従う,随伴する」ではなく,「睡眠中にするべきではない」行動
極論2 泥酔とパラソムニアは似ている
極論3 パラソムニアが生じる必要条件を考えろ
極論4 本物の睡眠専門医の出番
コラム1 中枢パターン発生器(central pattern generator)って?
■5章 ナルコレプシー [Narcolepsy]
極論1 知らない疾患は絶対に診断できない
極論2 神経伝達物質を理解しなければ,診断も治療もできない
極論3 オレキシン・ハイポクレチンが「一番偉い」
極論4 REM睡眠は「かわいい」が「無防備で危険」
極論5 メチルフェニデートだけを畏れるな.ドパミン作動薬すべてを敬い畏れよ
コラム1 オレキシン? ハイポクレチン? さあどっち?
■6章 レストレスレッグズ症候群(下肢静止不能症候群)もしくはWillis‒Ekbom病[RLS/WED]
極論1 ああ,もう「むずむず」とか,「脚」とか,「レッグス」とか,「レッグ」とかやめてくれ!
極論2 どうして「気のせい」では済ませられないのか?
極論3 簡単に「診断できる…」はずがない
極論4 原因がよく分からないのに治療していることを畏れよ
コラム1 疾患命名法
第3部 境界領域で診る睡眠医学
■7章 救急外来における睡眠医学 [Emergency room]
極論1 救急外来の「眠れません」は「眠れない」ことが問題ではない
極論2 ブレーキ痕がない交通事故では睡眠を絶対に忘れない
極論3 救急医が今そこで,燃え尽きようとしている
極論4 当直勤務のアウトカムは「生産性」ではない
コラム1 居眠り運転は,居眠る前が生死の分かれ目(「判断力低下」を軽く考えるな)
■8章 不眠 [Insomnia]
極論1 不眠が焦げつくのは,睡眠を知らないから!
極論2 きっぱりいい切る! 不眠とは「◯◯」の故障
極論3 鑑別診断ではなく,システムで考えろ!
極論4 慢性不眠には治癒の可能性と治癒しない理由がある
極論5 睡眠薬は「一時避難所」
コラム1 不眠に対する科によるイメージの違い
第4部 入院で診る睡眠医学
■9章 入院病棟における睡眠医学 [Inpatient ward]
極論1 病院でふだんどおり眠れるほうが「異常」
極論2 不眠時処方は「避難所」だと思え.哲学がなければ迷走するのみ
極論3 不眠時処方の絶対「ダメ」!
極論4 「不眠を改善」=「睡眠薬を処方」という発想から脱却せよ
コラム1 同室者や夜勤の看護師さんの情報は絶対に無視しない.不眠ではない「眠れない」を見逃さな
い
コラム2 入院してよく眠れる患者たち
■10章 集中治療室における睡眠医学 [ICU]
極論1 「ICUの意識障害」は「覚醒機能不全」と捉える
極論2 RASは覚醒に必要だが,局在として十分ではない
極論3 「覚醒機能不全」と考えれば「睡眠」も評価すべき
極論4 ICUに必要なのは「ブレインモニタリング」である
コラム1 正常な脳の睡眠を診るのが睡眠医学?
第5部 社会で診る睡眠医学
■11章 医師の睡眠不足[Insufficient sleep of MDs]
極論1 医師は睡眠不足のことを知らない
極論2 自覚症状を当てにするな!
極論3 医師たるもの,「Libby Zion」事件を全員知るべし
極論4 睡眠不足を見つけたらやることは1つだけ
コラム1 新しいルールを徹底させる方法 ―米国の強烈な方法―
コラム2 なぜ医師の交代勤務が確立できないのか?
■12章 (小児科医以外のための)小児の睡眠医学 [Pediatric sleep medicine]
極論1 「寝る子は育つ」をよく考えろ
極論2 10代に「朝型」を強制するのは犯罪に近く,「睡眠時間」の確保は家庭,社会全体で考える
極論3 小児のOSASのメカニズムは成人と一緒だが「症状」が違う
極論4 小児のOSASは治療が違う
コラム1 うちの子の問題はすべて睡眠が原因?
コラム2 小学校の授業中の居眠りは絶対に異常
■13章 概日リズムと睡眠覚醒リズム障害 [Circadian rhythm & Circadian rhythm sleep-wake
disorder]
極論1 リズムとは繰り返すこと
極論2 「時計合わせ」はいつも重要
極論3 まずは,概日リズムに介入する原理を知るべし
極論4 「概日リズムの治療」は「行動の治療」であり,決して光だけで完結しない
コラム1 時間生物学という分野
コラム2 互師互弟と最初の師
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▼ 補足資料
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