内容紹介
限りなく巨大化・精密化の道をたどる技術文明はメタル、エネルギー資源の消費を驚異的に増加させ、このまま発展が続くと短期間で枯渇してもおかしくない。しかし現実には、埋蔵量が増加し20世紀後半からの耐用年数は変化していない。それはなぜなのか。この問いに資源経済学の第一人者である著者が、的確なデータをもとに解答を導き出そうとしているのが本書である。わが国が先端科学技術に支えられた工業国家であり続けるためにも、いまメタル、エネルギー資源をめぐり世界で何が起こっているのか、わが国は何をしなければならないのか、誰もが気になる地球資源に関する知見を深める一冊。
目次
1章 なくならなかった資源
「豊かな社会」と資源の消費
技術文明の発展とメタル、エネルギー資源消費量の増加/メタルの分類(ベースメタル、レアメタル)/
エネルギー
資源予測
日本のメタル、エネルギー工業の生い立ち/変化のみられない耐用年数/埋蔵量とは/当たらなかった
『成長の限界』の資源予測/成長する埋蔵量/ツジツマの合わない新鉱床の発見量と埋蔵量の成長/銅に
みられる埋蔵量の成長/石油における埋蔵量の成長/銅鉱石にみられる鉱石品位の推移
2章 鉱山規模の拡大とメタル価格、リサイクル
鉱山操業の流れと技術の発展
採鉱/選鉱/製錬/SXEW/廃棄物 コラム ブラ鉱山の再開発
銅、亜鉛、鉛の価格推移 コラム ポトシ鉱山
リサイクル
地上蓄積量と廃棄物量/回収と製錬
3章 資源の枯渇とは
銅資源の枯渇
銅資源の現・近未来の供給/資源の区分/拡大するメタル、エネルギー消費量/豊富な鉄鉱石/乏しい銅
鉱石/銅の埋蔵量/銅消費量の増加/銅の供給量/銅資源の乗り越えがたい障壁/鉱物学的障壁は
0.1%Cu?/0.5%Cu〜0.1%Cu間の鉱石量/従来とはタイプを異にする鉱床
石油・天然ガス資源の枯渇
石油にみられるいくつものピーク論/シェールガス開発が可能にいたるまで/シェールガス/シェールガ
スの採掘・回収を可能にした技術
心配される近・中未来の銅資源
海底鉱物資源
銅の代替メタル/経済学の視点にひと言
4章 わが国における現未来の資源予測
混乱を引き起こしやすいメタル
寡占支配の進む資源界でのわが国の資源産業
戦後の資源産業の推移/鉱山業/製錬・素材業
下流から見上げた資源戦略へ転換
わが国の資源戦略における時間スケール/21世紀に起こった二つの事例(事例1:政治的な思惑が絡んだ
レアアース危機、事例2:携帯電話ブームとタンタル、ガリウムの高騰)
わが国の現未来の資源戦略
世界消費量に占めるシェア
ボトルネックになりやすい事項
爆発的な商品の需要・普及/バイプロダクトとして生産されるレアメタル/偏在性/資源ナショナリズム
/経済的な思惑/備蓄
空論に終わらせないために対応策