エントロピーの正体

エントロピーの正体

Interpretation and Misss-Interpretationsss
原書名 Entropy and the Second Law
著者名 小野 嘉之
発行元 丸善出版
発行年月日 2015年12月
判型 A5 210×148
ページ数 210ページ
ISBN 978-4-621-30002-2
Cコード 1042
NDCコード 426
ジャンル 物理学 >  熱・統計力学 >  エントロピー

内容紹介

本書は、エントロピーに対するいろいろな意味づけや解釈を提示し、情報理論的に取扱いの優位性を示すことを目的としている。第1章では、熱力学の第二法則の簡単な導入と、エントロピーのさまざまな解釈について述べている。第2章では情報理論の簡潔な導入を述べ、第3章で示す理想気体のエントロピー関数から計算という応用を理解するのに十分な程度に、最小限の基礎的内容が記述される。第4章では、エントロピーの変化を理想気体のエントロピー関数から計算できるいくつかの具体例が扱われている。第5章は、第二法則とそれに対する確率論の立場から解釈を述べるのに充てた。本書では、エントロピーを情報理論の立場から議論し直し、エントロピーに関する認識の混乱を解消することにポイントを置いている。

目次

第1章 はじめに:熱機関から,無秩序,情報の広がり,自由,…,まで
 1.1 第二法則の巨視的定式化
 1.2 エントロピーの巨視的定義
 1.3 エントロピーの直観的な解釈をめぐる絶え間なき永遠の探索
 1.4 エントロピーのさまざまな解釈に対する正当性の厳格なテキスト
第2章 エントロピーはしばらく忘れて,情報ゲームで遊んでみよう
 2.1 20の質問(20‐Q)ゲームでウォーミングアップ
 2.2 一様に分布した20の質問ゲームに対するシャノンの情報測度の定義
 2.3 結果の数が2個の場合
 2.4 一般的な分布に対するシャノンの情報測度(SMI)
 2.5 量Hのいろいろな解釈
 2.6 条件付き情報および相互情報
 2.7 本章で学んだことのまとめ
第3章 古典理想気体のエントロピーをシャノンの情報測度から導く
 3.1 理想気体における位置のSMI
 3.2 粒子が区別できないことによる相互情報
 3.3 運動量のSMI
 3.4 量子力学の不確定性関係に関連した相互情報
 3.5 古典理想気体のエントロピー
 3.6 エントロピー関数S(E,V,N)の基本的性質
 3.7 第3章のおわりに
第4章 いくつかの例とその解釈
 4.1 理想気体の膨張
 4.2 2つの理想気体の混合を含む過程
 4.3 理想気体の融合を含む過程
 4.4 重力場下における理想気体の膨張
 4.5 速度分布の変化を伴う過程
 4.6 分子間相互作用の効果
 4.7 3つの興味深い過程
 4.8 結論
第5章 熱力学第二法則について
 5.1 何が自発過程を引き起こすか?
 5.2 何がエントロピーを増加させるか
 5.3 2つの領域間の熱の流れ
 5.4 系はどのように変化したか?
 5.5 時間の矢と第二法則の関連
 5.6 生命は第二法則から“発生する”のか,あるいは第二法則はそれを許さないのか?
 5.7 結論
付録A
 A.1 熱力学を公理化するためのキャレンの手順
 A.2 情報測度を導出するためのシャノンの手順
 A.3 キャレンによる“無秩序”の定式化
 A.4 広がり関数を導くためのレフの手順

定価:2,640円
(本体2,400円+税10%)
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