結晶転位論

結晶転位論

鉄から窒化ガリウムまで
著者名 坂 公恭
発行元 丸善出版
発行年月日 2015年08月
判型 A5 210×148
ページ数 294ページ
ISBN 978-4-621-08963-7
Cコード 3057
NDCコード 305
ジャンル 化学・化学工学 >  材料化学
機械・金属・材料 >  材料工学

内容紹介

今日のエレクトロニクスを支えるSi中の転位の挙動を知ることは、きわめて重要と言える。化合物半導体GaNの低転位化がLEDの発明へと導いたことは世界の認めるところである。この本は、古典転位論の要点から最先端―とくに半導体材料への応用まで、丁寧にわかりやすく解説した教科書。材料系の視点から、転位の本質に迫ることができるように解説され、電子顕微鏡写真や、オリジナルの図によって、理解しやすいように工夫されている。例題や問題を多数収載し、新しい材料開発のために転位と格闘している研究者、技術者などにとって必須の書となるだろう。

目次

第I部 基礎
 1章 結晶学の要点
  1-1 単位胞
  1-2 結晶学的方向と結晶学的面の表示法
  1-3 六方晶用指数
  1-4 ステレオ投影と標準投影
 2章 転位の幾何学
  2-1 結晶の機械的性質(応力‐歪曲線)
  2-2 理想結晶の強度(フレンケル‐コントロバ(Frenkel-Kontrova)のモデル)
  2-3 転位の定義
  2-4 バーガース回路(FS/RH(perfect))
  2-5 刃状転移,らせん転移,混合転移
  2-6 キルヒホッフの法則
  2-7 2本の転移が遭遇したときの反応
  2-8 プリズマティック転移
  2-9 転位の上昇運動
 3章 弾性論の基礎
  3-1 変位,歪,応力の定義
  3-2 フックの式の行列による表示
  3-3 応力,歪の座標変換
  3-4 等方弾性体のフックの式
  3-5 円柱座標と極座標による表示
 4章 転位の弾性論
  4-1 らせん転移
  4-2 刃状転移
  4-3 混合転移
  4-4 ピーチ‐ケーラーの式の応用
  4-5 非等方性結晶における転移
 5章 転位と溶質原子との弾性的相互作用
  5-1 等方的な歪(コットレル効果)
  5-2 非等方的な歪
 6章 転位の移動 (パイエルス力) と増殖 (フランク-リード源,バーディン‐へリング源)
  6-1 パイエルス力
  6-2 転位源
 7章 集団としての転位
  7-1 転位の堆積
  7-2 ポリゴン化と傾角粒界
  7-3 捩れ粒界
 8章 面心立方(FCC)構造中の分解転位
  8-1 分解転位
  8-2 拡張転位の幅
  8-3 拡張転位上のジョグとステア・ロッド転位
  8-4 拡張転位どうしの反応
  8-5 拡張転位の上昇運動
  8-6 拡張転位の拡張幅の合金濃度および温度依存性
  8-7 拡張転位と溶質原子との相互作用
 9章 六方最密充填構造中の拡張転位
  9-1 六方最密充填構造の積層欠陥
  9-2 HCP合金中のSFEの組成依存性
第II部 応用
 10章 規則合金,金属化合物中の転位と強度の逆温度依存性
  10-1 概論
  10-2 規則構造中の転移
  10-3 規則化による強化
  10-4 強度の逆温度依存性
 11章 ダイヤモンド,閃亜鉛鉱,ウルツ鋼構造およびSiC中の転位
  11-1 ダイヤモンド構造中の転移(シャッフル・セットとグライド・セット)
  11-2 閃亜鉛鉱構造中の転移
  11-3 ウルツ鉱中のショックレー部分転位
  11-4 SiC中の転位
 12章 転位と巨視的な強度の関係
  12-1 単結晶の降伏の幾何学
  12-2 単結晶の降伏の現象論
  12-3 転位運動の熱活性化過程——内部応力と有効応力
  12-4 BCC金属の降伏
  12-5 初期の可動転移が完全に0の場合
  12-6 単結晶の加工硬化
  12-7 固溶体硬化,析出硬化,分散硬化
 13章 薄膜中の転位
  13-1 エピ層内のミスフィット転位
  13-2 エピ層中の貫通転位
  13-3 薄膜中の拡張転位の挙動
  補遺 4H‐SiCエピ層中のBPDのTEDへの変換の機構
付録
 A-1 転位密度の低減法
 A-2 HCPの面および方位
 A-3 らせん転位の模型
 A-4 ステレオ投影
 A-5 すべり系の決定
 A-6 トンプソンの四面体
 A-7 応力の変換のテンプレート  

定価:4,400円
(本体4,000円+税10%)
在庫:品切れ・重版未定

▼ 補足資料