地球環境学入門

地球環境学入門

著者名 東樋口 護
発行元 丸善出版
発行年月日 2015年04月
判型 四六 188×128
ページ数 196ページ
ISBN 978-4-621-08935-4
Cコード 0036
ジャンル 環境科学・生活科学 >  環境科学 >  環境一般

内容紹介

今世紀に解決すべき最大の課題=地球環境問題――本書では、人・社会・自然の調和・共生を地球規模で実現していくための処方箋として、自然環境と社会環境、地域環境問題と地球環境問題、環境政策と環境管理など、基本的な枠組みと史的展開を提示しながら15のトピックスについて解説する。また、環境倫理学・環境経済学・環境社会学などの新しい学問の成果に言及しつつ、自然環境保全・循環型社会形成・共生居住環境形成の基礎も身につけられるよう配慮している。

目次

第1講 環境学概論では何を学ぶのか
 環境問題解決のための学問/環境学総合化の二つのレベル――問題解決学と環境基礎学/環境学の特徴
第2講 環境・地球環境の定義――環境とは何か、地球環境とは何か
 「人間を取り巻き、それと相互作用を及ぼし合う外界」=環境/環境の4つの機能/生態系システムと地球
 環境
第3講 『沈黙の春』と『成長の限界』――環境主義へ、地球有限主義への二つの画期を学ぶ
 レイチェル・カーソン『沈黙の春』1962年/『沈黙の春』がもたらした環境主義/ローマクラブ『成長の限
 界』1972年/『成長の限界』がもたらしたもの/「オイルショック」資源不足の小さなパニック
第4講 地球環境問題と気候変動――地球環境問題とは何か、地球温暖化とは何か
 地球環境問題の諸相/地球の温暖化・気候変動/IPCCの4次報告の実証過程/地球温暖化のまとめ
第5講 地球システムと「宇宙船地球号」――地球は,有限・絶妙・微妙なシステム
 地球――生物圏・地圏・水圏・気圏/地球を、宇宙を航海する船に見立てる世界観と経済学/人類はどれだ
 け地球を踏んづけているか――エコロジカル・フットプリント
第6講 農耕革命・農業革命・産業革命――人類は環境にどう適応してきたか
 宇宙・生命・人類の壮大な歴史/文化的環境適応と農耕革命/農耕と都市文明/中世農業革命そして産業革
 命/21世紀を「環境革命」の時代とすることができるか
第7講 都市文明と森林破壊――森林の開発と破壊によって都市文明を築いてきた
 『ギルガメッシュ叙事詩』――森殺しの始まり/ヨーロッパの都市と森林/都市文明と森林破壊/森林保全
 は地球の最重要課題/1985年国際森林年から再び2011年国際森林年へ/日本の森林――恵まれた奇跡的条
 件、しかし問題は大きい
第8講 エコノミーとエコロジー――経済と環境の調和は可能か
 エコノミーとエコロジーの対立と調和/生産・消費と経済人――経済学の基礎1/「市場システム」――経
 済学の基礎2/市場メカニズムは万能ではない――「市場の失敗」
第9講 環境問題と市場の失敗――環境問題は市場システムでは解決できない
 環境財の外部性/政府の役割――二つの環境政策/環境は「公共財」オープンアクセス財/環境経済学のア
 プローチの色々
第10講 持続可能な発展の経済学――持続可能な発展は可能か
 最初に提起された持続可能な開発――ブルントラント委員会/生態系の開かれた下位システム――経済/
 J・S・ミルの「定常(停止)状態」/環境経済学と定常経済/「グリーン経済」(UNEP)と「グリー
 ン成長」(OECD)の追及
第11講 コモンズと社会的共通資本――環境は誰のものか
 共有財産としての環境/ギャレット・ハーディンの「共有地の悲劇」とその後/コモンズの資源共有の権
 利と維持の義務/<社会的共通資本=環境>の考え方/人間の尊厳・自由を守るリベラリズムの経済学/社
 会的共通資本を管理する「コモンズ」
第12講 人間中心主義と生態系・地球主義――現代環境思想の課題は何か
 自然保護における保全と保存/人間中心主義(Anthropocentrism)から非人間中心主義へ/自然と人間の中
 間領域――伝統社会の自然との共生
第13講 環境倫理学の3つの原則の主張――地球環境に対す振る舞いについて合意できるのか
 環境倫理学のめざすもの/環境倫理学の3つの主張/環境倫理学の新しい課題
第14講 成長指標・持続可能性指標・幸せ指標――社会の発展と豊かさをどうはかるのか
 国内総生産/人間開発指数/グリーンGDP/真の進歩指標/より良い暮らし指標/包括的富/国民総幸福
 量/地球幸福度指数
第15講 地球環境時代のライフスタイル――私たちはどう生きるのか
 大量生産・大量消費・大量廃棄のライフスタイルの超克/生産者・消費者の「対環境責任」/ミルの「富の
 追及」とラスキンの「生の充実」/ラスキンの固有価値「きれいな空気と水と大地」/フロムの「幻想の終
 焉」と「持つ様式」との決別/フロムの人間として「在る様式」/私たちはどう生きるか――「環境マイン
 ドをもって」

定価:2,420円
(本体2,200円+税10%)
在庫:品切れ・重版未定