法工学入門

法工学入門

安全・安心な社会のために法律と技術をつなぐ
著者名 日本機械学会
発行元 丸善出版
発行年月日 2014年10月
判型 A5 210×148
ページ数 208ページ
ISBN 978-4-621-08881-4
Cコード 3053
NDCコード 531
ジャンル 機械・金属・材料 >  機械工学一般

内容紹介

法工学とは裁判における工学鑑定の扱い方や、工学鑑定を行う者が専門知識を悪用することのないような法制度をどのように構築するかということを工学的な方法論で考えること。さらに、法工学は、裁判だけに関心を持っているわけではない。むしろ、技術の安全・安心を確保するために、どのような法規制のあり方が望ましいかということに目を向けているす。また、技術革新を促進するための知的財産法なども法工学の対象に含まれる。本書では、第1部で法工学のいわば鳥瞰図を描くとともに、法工学の立場からの法学入門を取り上げる。第2部では、法工学の対象を安全のための法規制、技術革新に関する法制度、裁判の3つに分けて、法工学の立場から、現在の法制度の課題を指摘するとともに、課題の解決に向けたヒントについて論じる。

目次

第I部 総論
 第1章 法工学とは何か
  1.1 今、なぜ「法工学」か 
  1.2 法工学の目指すもの
  1.3 法工学の周辺
   1.3.1 法医学
   1.3.2 法政策学 
   1.3.3 法と経済学
   1.3.4 技術者倫理 
 第2章 法工学の対象としての「法」
  2.1 法工学のための法学入門  
   2.1.1 法とは何か 
   2.1.2 法と倫理  
   2.1.3 私法と公法
   2.1.4 法解釈の方法 
   2.1.5 法令解釈の柔軟性と限界 
   2.1.6 裁判における「証明」の性質
  2.2 技術と技術者に関わる法
   2.2.1 六法とは何か
   2.2.2 法律による事業等の規制
   2.2.3 技術者の立場から見た法の分類
   2.2.4 行政手続法と行政訴訟 
   2.2.5 法工学に対する期待 
第II部 各論
 第3章 技術の安全・安心と法工学
  3.1 技術に関する規制の手法 
   3.1.1 事前規制と事後規制
   3.1.2 技術に関わる規制の基本構造と問題点
   3.1.3 安全法制と失敗学
  3.2 事故・災害の法的責任
   3.2.1 さまざまな法的責任
   3.2.2 規格・基準と法的責任の関係 
   3.2.3 責任の分配と過失相殺
 第4章 技術の進歩と法工学
  4.1 創造的活動の成果の保護 
   4.1.1 創造的活動の成果の保護のための制度
   4.1.2 特許制度の社会的意義
   4.1.3 公表と特許取得の両立:新規性喪失の例外規定
  4.2 技術開発の体制
   4.2.1 技術開発の歴史 
   4.2.2 技術開発の産学連携 
   4.2.3 技術開発と法律
  4.3 標準化活動
   4.3.1 標準化とは何か
   4.3.2 標準化と知的財産法
   4.3.3 標準化と競争法
   4.3.4 国際標準とWTO
   4.3.5 市場開拓と規制 
   4.3.6 適合性評価
  4.4 新技術とリスク
   4.4.1 本節の視点
   4.4.2 人間らしく技術と共存していく倫理や社会規範の事例的研究
   4.4.3 ロボットと共存する社会に向けた課題 
  4.5 新技術と自己決定権 
   4.5.1 概要
   4.5.2 インフォームドコンセントとスチュワードシップ 
   4.5.3 先進医療機器の開発の課題とガイドライン作成
   4.5.4 まとめ 
 第5章 裁判と法工学 
  5.1 裁判における事実認定と工学鑑定
   5.1.1 裁判における事実認定とは何か
   5.1.2 裁判における工学鑑定 
   5.1.3 工学鑑定の課題
   5.1.4 鑑定人の能力不足または偏頗に関する事例研究
   5.1.5 工学鑑定人(候補)に望むこと
  5.2 工学鑑定手法の研究
   5.2.1 工学的な交通事故鑑定の実態 ―公的鑑定と私的鑑定―
   5.2.2 各種民事事件における鑑定事例
   5.2.3 原因究明の成功事例
  5.3 工学鑑定の信頼性確保
   5.3.1 光学鑑定と鑑定者の倫理
   5.3.2 専門家集団としての学協会の役割

定価:3,740円
(本体3,400円+税10%)
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