価値づくりマーケティング

価値づくりマーケティング

需要創造のための実践知
著者名 上原 征彦
大友 純
発行元 丸善出版
発行年月日 2014年04月
判型 A5 210×148
ページ数 224ページ
ISBN 978-4-621-08824-1
Cコード 3036
NDCコード 675
ジャンル 社会科学 >  経営学
社会科学 >  ビジネス

内容紹介

「企業は社会貢献をすべきだ、企業は社会性を身につけるべきだ」と主張し、その方法論を議論するだけのマーケティング論で果たしていよいのだろうか――近年の日本企業の停滞は、マーケティングそのものが社会的性格を備えているという議論を展開してこなかったことにあるのではないか。本書では、社会性と経済性を繋ぐところに需要創造の本質的契機があることを明らかにするとともに、その具体的な方法論を、読者が初学者でも十分に理解できるよう具体的に提示してゆく。待望された「新時代のマーケティング論」。

目次

【第I部 マーケティングの展開論理と実践的展望】
 第1章 マーケティングの理論的固有性をどこに求めるか
  1 はじめに
  2 量的需給マッチングと経済学
  3 質的需給マッチングと関係性の構築
  4 市場に関係性を貫き通すマーケティング
  5 市場の概念とその限界
  6 市場での契約と関係性の要請
  7 関係性の概念に関する検討
  8 市場型関係性の構築を目指すマーケティング
  9 実需基盤の構築を目指すマーケティング
  10 市場概念そのものに近い金融市場(仮儒の増幅を期待する市場)
  11 価値創造のための機能分担――関係性の態様を決定づける最も具体的な変数
  12 「モノづくり」の本質――物財とサービス財
  13 マーケティングの一つの焦点――機能分担関係のデザイン
 第2章 マーケティングの社会性
  1 はじめに
  2 社会に開いているマーケティング
  3 公共財としてのコミュニケーション投資
  4 市場で利潤を得ることによる社会貢献――企業本来の社会的使命
  5 市場を介さない社会貢献の要請
  6 非営利活動としての社会貢献に関する論点
  7 「市場の失敗」と「政府の失敗」に関して
  8 経営資源を生かしたCSR
  9 経営費用を高めるCSRの制度化
  10 マーケティングが具備するモラル性
  11 「金づくり」重視型経済とCSRの制度化
  12 結論と展望
 第3章 価値創造とマーケティングの進化
  1 はじめに
  2 市場型関係性およびマーケティングと価値創造
  3 取引コスト理論と市場型関係性概念との違い
  4 実需基盤としての関係性資産
  5 関係性マーケティングの台頭
  6 関係性マーケティングの具体的記述
  7 個別対応に向けて
  8 情報化の概念とコミュニケーション様式の革新
  9 情報化のマーケティングへの影響
  10 コミュニケーション手段の革新
  11 操作型マーケティングとその概念
  12 協働型マーケティングとその概念
  13 協働型マーケティングの具体的記述
  14 2つのマーケティングの共存と相互作用
  15 商人と民人との境界の変化――我々のマーケティング史観のラフスケッチ
 第4章 ブランド力・共同体・文化創造
  1 はじめに
  2 本章での主たる論点
  3 ブランドの象徴作用
  4 市場型関係性についての若干のレビュー 
  5 縦の関係(売り手と買い手との関係)とブランド
  6 横の関係(買い手同士の関係)とブランド
  7 共同体とブランド
  8 ブランドと文化創造力
  9 ブランド力とオリジナリティ
  10 戦略的示唆と事例からみた験証
 第5章 流通の新潮流と革新――動学的流通論のすすめ
  1 はじめに――最初に強調しておきたいこと
  2 流通革命論の視座
  3 革命のプロセス
  4 流通悪名の変遷――第1次流通再編成から第2次流通再編成へ
  5 情報化に着目した流通の史的発展段階
  6 卸売と小売の関係についての論理
  7 卸売と小売の分化(第1段階:人力化時代)
  8 卸売による小売の統合とマーケティングの展開(第2段階:動力化時代)
  9 ネット世界の利点を取り入れた流通ビジネスの台頭(第3段階:情報化時代)
  10 ネット店舗の有利性
  11 ネット店舗とリアル店舗の共存
  12 リアル店舗の差別化方向とネット店舗への対抗策
  13 流通における垂直的再編成と水平的再編成
  14 ロジスティクスの戦略的重要性
  15 取り揃えのための品揃え形成過程としての流通
  16 「集客型流通」から「接客型流通」へ
【第II部 資本主義経済下でのマーケティング概念の新認識】
 第6章 マーケティングにおける欲望分析再考
  1 我が国にける消費社会の進展とその特質
  2 マーケティング研究における欲望問題の展開と消費社会の形成
  3 ニーズと欲望に関する概念規定
  4 ニーズ概念の再検討と願望概念の重要性
  5 マーケティングの役割意識と製品コンセプトの創造
  6 消費社会におけるマーケティングの基本視点に関する再認識
 第7章 願望概念とマーケティング戦略への適用
  1 販売の困難性に関する認識の重要性とマーケティングの役割
  2 消費者市場における販売の困難性問題
  3 財に対する需要の発生と欲望の存在
  4 消費者の購買目的と願望概念の重要性
  5 マーケティング戦略における願望創造の重要性
  6 消費者の真の購買目的と生活戦略
  7 買い手における欲望認識の変化とマーケティング対応
  8 買い手の願望充足に関する戦略的基本視点
  9 マーケティング行為つぃての欲望創造
 第8章 社会的価値システム概念とマーケティング行為の本質
  1 財のもつ価値効用の多様性
  2 社会的価値システムの概念とそのマーケティング的重要性
  3 社会的価値システムにおける文化の表象化
  4 画期的な新製品がもたらす従来の社会的価値システムの変貌
  5 マーケティング思考にける構造主義的概念の重要性
  6 マーケティング戦略としての生活構造概念の取り込み
  7 企業と顧客の共通価値構造の駆逐と協働型マーケティングの重要性
 第9章 永続性原理の探索と現代企業の基本課題――不拡大永続主義のすすめ
  1 現代のビジネスの問題点とマーケティング行為
  2 我が国企業が直面する本質的危機について
  3 資本主義経済制度下における企業経営の特質と問題点
  4 企業にとっての商品価値と消費者にとっての商品価値
  5 経営拡大志向への疑問と経営陣の個人的立場による意思決定への影響
  6 常識的競争概念への疑問と真の競争概念
  7 老舗企業に学ぶ顧客満足創造の本質
  8 時代の変遷と老舗企業経営の特質
  9 老舗企業における行為規範とは何か
  10 カントの考え方にみる老舗企業の存立原理
  11 家訓の存在価値とカントの定言命法的行為認識
  12 老舗企業と不拡大永続主義的経営原理
  13 買い手側の永続的支持の論理と老舗企業び存立原理
  14 永続性原理における右辺的価値の重視とその使命としての革新の連続
  15 老舗企業の永続的存立原理としての7つの特質とマーケティングの本質

定価:3,080円
(本体2,800円+税10%)
在庫:お問い合わせください