ファイバー束

ファイバー束

著者名 三村 護
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年08月
判型 A5 210×148
ページ数 432ページ
ISBN 978-4-621-06436-8
Cコード 3041
ジャンル 数学・統計学 >  幾何学

内容紹介

ファイバー束(fibre bundle)の概念は、1930年代に生まれ、Chern、Pontrjagin、 Stiefel、 Whitney、 Milnor、 Hirzebruchなどの研究により、微分幾何学、位相幾何学(ゲージ理論などの)数理物理学において、欠くことのできない重要な概念へと発展してきた。本書は、ファイバー束、K-理論、特性類などの基礎的な概念を位相幾何、古典群、可微分多様体などの手法を用いて、懇切・丁寧に解説。この分野の全体像を把握したいすべての人に必携の入門書。

目次

 第1章 ホモトピー論の準備
  1.1 圏論とホモトピー論
  1.2 複体
  1.3 空間Map(X,Y)とMap0(X,Y)
  1.4 空間のホモトピー群
  1.5 ファイバー写像
第I部 ファイバー束の一般論   
 第2章 束の概論
  2.1 束と断面の定義
  2.2 束と断面の例
  2.3 束の射
  2.4 積とファイバー積
  2.5 束の制限と誘導束
  2.6 束の局所性質
  2.7 断面の拡張    
 第3章 ベクトル束
  3.1 ベクトル束の定義と例
  3.2 ベクトル束の射
  3.3 誘導ベクトル束
  3.4 ベクトル束のホモトピー性質
  3.5 Gauss写像の構成
  3.6 Gauss写像のホモトピー
  3.7 ベクトル束のホモトピー分類の関手的解説
  3.8 定階数をもつ射の核,像,余核
  3.9 ベクトル束上のRiemann計量とHermite計量   
 第4章 一般なファイバー束
  4.1 変換群により定義される束
  4.2 主束の定義と例
  4.3 主束の圏
  4.4 主束の誘導束
  4.5 ファイバー束の定義
  4.6 ファイバー束の関手的性質
  4.7 自明なファイバー束と局所自明なファイバー束
  4.8 ファイバー束の断面の解説
  4.9 B×[0,1]上の可算な主束
  4.10 双対関手kG
  4.11 Milnor構成
  4.12 可算な主G―束のホモトピー分類
  4.13 CW複体上の主G―束のホモトピー分類   
 第5章 ファイバー束の局所座標による解説
  5.1 自明なファイバー束の自己同型写像
  5.2 チャートと変換関数
  5.3 与えられた変換関数をもつ束の構成
  5.4 変換関数と誘導束
  5.5 ベクトル束の射の局所表現
  5.6 ベクトル束の演算
  5.7 計量をもつ束の変換関数    
 第6章 ファイバー束における構造群の変更
  6.1 ファイバーとして等質空間をもつファイバー束
  6.2 主束の制限と拡張
  6.3 ファイバー束の構造群の制限と拡張
  6.4 構造群の変更の局所座標による解説
  6.5 分類空間と構造群の簡約   
 第7章 主束のゲージ群
  7.1 ゲージ群の定義
  7.2 ゲージ群の標準普遍主束
  7.3 普遍束としての標準的な積束
  7.4 可換ゲージ群とKunneth公式   
 第8章 古典群を含む計算
  8.1 Stiefel多様体と古典群
  8.2 Grassmann多様体と古典群
  8.3 Stiefel多様体からの射影の局所自明性
  8.4 古典群のホモトピー群の安定性
  8.5 Stiefel多様体の低次ホモトピー群の消滅
  8.6 普遍束と古典群の分類空間
  8.7 普遍ベクトル束
  8.8 懸垂上のすべての局所自明なファイバー束の解説
  8.9 Sn上の接束の特性写像
  8.10 特性写像のホモトピー性質
  8.11 Stifel多様体のホモトピー群
  8.12 古典群のいくつかのホモトピー群 
第II部 K―理論の初歩   
 第9章 ベクトル束の安定性質
  9.1 ベクトル束の自明な直和因子
  9.2 ホモトピー分類とWhitney和
  9.3 K双対関手
  9.4 KFの双対表現
  9.5 古典群のホモトピー群とKF(Si)
 第10章 相対K―理論
  10.1 自明化された束の縮約
  10.2 相対K―理論における完全系列
  10.3 K―理論の積
  10.4 双対関手L
  10.5 差射
  10.6 L(X,A)の積
  10.7 貼合せ構成
  10.8 双対関手Ln
  10.9 半完全双対関手   
 第11章 複素数の場合のBott周期性
  11.1 周期性の結果のK―理論的解釈
  11.2 X×S2上の複素ベクトル束
  11.3 多項式貼合せ写像の解析
  11.4 線型貼合せ写像の解析
  11.5 周期性同型写像の逆   
 第12章 Clifford多元環
  12.1 球面上の単位接ベクトル場I
  12.2 直交乗法
  12.3 二次形式の一般論
  12.4 二次形式のClifford多元環
  12.5 Clifford多元環の計算
  12.6 Clifford加群
  12.7 Clifford加群のテンソル積
  12.8 球面上の単位接ベクトル場II
  12.9 群 Spin(k)  
 第13章 Adamsの作用素と表現
  13.1 λ―環
  13.2 λ―環におけるAdamsΨ―作用素
  13.3 γi―作用素
  13.4 G―加群の概論
  13.5 群Gの表現環とベクトル束
  13.6 コンパクト群上のG―加群の半単純性
  13.7 指標と群RF(G)の構造
  13.8 極大トーラス
  13.9 トーラスの表現環
  13.10 K(X)とKO(X)のΨ―作用素
  13.11 K(Sn)上のΨ―作用素   
 第14章 古典群の表現環
  14.1 対称関数
  14.2 SU(n)とU(n)の極大トーラス
  14.3 SU(n)とU(n)の表現環
  14.4 Sp(n)の極大トーラス
  14.5 多項式環にける形式的な恒等式
  14.6 Sp(n)の表現環
  14.7 SO(n)の極大トーラスとWeyl群
  14.8 Spin(n)の極大トーラスとWeyl群
  14.9 SO(n)とSpin(n)の特殊表現
  14.10 RSO(n)とRSpin(n)の計算
  14.11 実表現環と複素表現環の間の関係
  14.12 実表現と四元数表現の例
  14.13 スピン表現と球面のK―群   
 第15章 Hopf不変量
  15.1 Hopf不変量のK―理論的定義
  15.2 Hopf不変量の代数的性質
  15.3 Hopf不変量と相次数
  15.4 Hopf不変量1の元の非存在性
 第16章 球面上のベクトル場
  16.1 ベクトル束のThom空間
  16.2 S―圏
  16.3 S―双対性とAtiyahの双対性定理
  16.4 ファイバー・ホモトピー型
  16.5 安定ファイバー・ホモトピー同値
  16.6 群J(Sk)とKtop(Sk)
  16.7 Thom空間とファイバー・ホモトピー型
  16.8 S―双対性とS―可約性
  16.9 ベクトル場の非存在性と可約性
  16.10 ベクトル場「の非存在性と双対可約性
  16.11 ベクトル場の非存在性とJ(RPk)
  16.12 実射影空間の実K―群
  16.13 KO(RPn)とJ(RPn)の間の関係
  16.14 Adams予想に関する注意 
第III部 特性類   
 第17章 Chern類とStiefel-Whitney類
  17.1 Leray―Hirschの定理
  17.2 Stiefel―Whitney類とChern類の定義
  17.3 特性類の公理論的性質
  17.4 安定性質と特性類の例
  17.5 分解写像と特性類の一意性
  17.6 特性類の存在性
  17.7 球面束の基本類とGysin系列
  17.8 Euler類の乗法性質
  17.9 Steenrodの平方作用素を用いるStiefel―Whitney類の定義
  17.10 Thom同型
  17.11 実ベクトル束と複ベクトル束の間の関係
  17.12 向きづけ可能性とStiefel―Whitney類の定義
 第18章 可微分多様体
  18.1 多様体の概論
  18.2 多様体の接束
  18.3 Euclid空間の向き
  18.4 多様体の向き
  18.5 多様体の双対性
  18.6 接束のThom類
  18.7 多様体のEuler標数とEuler類
  18.8 多様体のStiefel―Whitney類のWu公式
  18.9 Stiefel―Whitney数と同境(コボルディズム)
  18.10 多様体のはめ込みと埋め込み   
 第19章 特性類と接続
  19.1 微分形式とde Rhamコホモロジー
  19.2 ベクトル束上の接続
  19.3 接続の曲率における不変多項式
  19.4 接続と曲率のホモトピー性質
  19.5 自明な接続へのホモトピーとChern―Simons形式
  19.6 Levi―Civita接続またはRiemann接続
 第20章 特性類の一般論
  20.1 米田の表現定理
  20.2 特性類に関する一般論
  20.3 n次元複素特性類
  20.4 複素特性類
  20.5 実特性類mod 2
  20.6 2―整除可能なn次実特性類
  20.7 偶数次有向実特性類
  20.8 例と応用
  20.9 Bott周期性と積分性定理
  20.10 Hopf不変量のK―理論的定義とコホモロジー的定義の比較
  20.11 特性類のBorel―Hirzebruchによる解説  
付録A 束の局所性質のDoldの理論 
付録B 二重懸垂について
 B.1 H*(X)の代数的関手としてのH*(ΩS(X))
 B.2 pで局所化した対(Ω2S2n+1,S2n-1)の連結性
 B.3 積空間の懸垂の分解とΩS(X)
 B.4 懸垂系列
 B.5 mod p Hopf不変量
 B.6 p次巾が零である空間
 B.7 二重懸垂系列
 B.8 境界写像Δ:Ω3S2np+1→ΩS2np-1の草津   

出版社からのメッセージ

本書は、2002年7月にシュプリンガー・ジャパン株式会社より出版された同名書籍を再出版したものです。
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本書は、書籍からスキャナによる読み取りを行い、印刷・製本を行っています。
一部、装丁が異なったり、印刷が不明瞭な場合がございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
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定価:5,170円
(本体4,700円+税10%)
在庫:品切れ・重版未定