内容紹介

物質の電子状態を計算で明らかにするための基盤的な理論を詳細に解説。そこに現れる基礎方程式を数値計算によって解くための技術についても最新の研究のレベルまで解説している。上巻ではまず興味深い物質と現象に関するこれまでの理論的研究を概観し、その上で、物質の電子状態を解明するための基礎になる理論を説明する。

目次

第I部　概論と歴史的背景
　第１章　序
　　１．１　量子論と電子状態の起源
　　１．２　定量的な計算の出現
　　１．３　最大の挑戦，電子相関
　　１．４　最近の発展
　第２章　概観
　　２．１　電子の基底状態，結合と特徴的構造
　　２．２　最も基本的な変数としての体積，あるいは圧力
　　２．３　弾性：応力とひずみの関係
　　２．４　磁性と電子―電子相互作用
　　２．５　フォノンと変位型相転移
　　２．６　熱的性質：固体，液体，および相図
　　２．７　原子の運動：拡散，反応，触媒作用
　　２．８　表面，界面，欠陥
　　２．９　ナノ材料：分子と凝縮物質の間で
　　２．10　電子励起：バンドとバンドギャップ
　　２．11　電子励起：熱容量，電気伝導率，光学スペクトル
　　２．13　MgB2の例：バンド，フォノン，超伝導
　第３章　理論の背景
　　３．１　相互作用のある電子と核の基礎方程式
　　３．２　凝縮物質におけるCoulomb相互作用
　　３．３　力と応力の定理
　　３．４　統計力学と密度行列
　　３．５　独立電子近似
　　３．６　交換と相関
　　３．７　摂動論と「2n＋１定理」
　第４章　周期性固体と電子のバンド
　　４．１　結晶の構造：格子＋基底
　　４．２　逆格子とBrillouinゾーン
　　４．３　励起とBlochの定理
　　４．４　時間反転と反転対称性
　　４．５　点対称
　　４．６　Brillouinゾーンにおける積分と特殊積分点
　　４．７　状態密度　
　第５章　一様電子ガスと単純金属
　　５．１　相互作用のない近似とHartree-Fock近似
　　５．２　相関正孔とエネルギー
　　５．３　ｓｐ結合金属にける結合
　　５．４　励起とLindhard誘電関数
第II部　密度汎関数論
　第６章　密度汎関数論の基礎
　　６．１　Thomas-Fermi-Dirac近似：汎関数の一例
　　６．２　Hohenberg-kohnの定理
　　６．３　拘束付き探索に基づく密度汎関数論の定式化
　　６．４　Hhenberg-Kohnの定理の拡張
　　６．５　厳密な密度汎関数の複雑さ
　　６．６　密度から議論を進める困難さ
　第７章　Kohn-Shamの補助系
　　７．１　ある問題を他の問題と置き換える
　　７．２　Kohn-Shamの変分方程式
　　７．３　Exc，Vxcおよび交換相関正孔
　　７．４　固有値の意味
　　７．５　厳密なKohn-Sham理論の難しさ
　　７．６　時間依存密度汎関数論
　　７．７　Kohn-Sham法のその他の一般化について
　第８章　交換と相関の汎関数
　　８．１　局所スピン密度近似（ＬＳＤＡ）
　　８．２　一般化勾配近似（ＧＧＡ）
　　８．３　ポテンシャルVσxc（ｒ）のＬＤＡおよびＧＧＡ表式
　　８．４　ノンコリニアスピン密度
　　８．５　非局所的密度の定式化：ＡＤＡとＷＤＡ
　　８．６　軌道依存汎関数I：ＳＩＣとＬＤＡ＋Ｕ
　　８．７　軌道依存汎関数II：ＯＥＰとＥＸＸ
　　８．８　汎関数のテスト
　第９章　Kohn-Sham方程式を解く
　　９．１　自己無撞着連立Kohn-Sham方程式
　　９．２　全エネルギー汎関数
　　９．３　自己無撞着の達成
　　９．４　力と応力
第III部　原子についての予備知識
　第10章　原子の電子状態
　　10．１　１電子動径Schrodinger方式
　　10．２　独立粒子方程式：球対称ポテンシャル
　　10．３　開殻原子：非球対称ポテンシャル
　　10．４　相対論的Dirac方程式とスピン―軌道相互作用
　　10．５　原子の状態：遷移金属元素
　　10．６　ΔＳＣＦ：電子の付加，除去，および相互作用エネルギー
　　10．７　固体における原子球近似
　第11章　擬ポテンシャル
　　11．１　散乱振幅と擬ポテンシャル
　　11．２　直行化平面波（ＯＰＷ）と擬ポテンシャル
　　11．３　モデルイオンポテンシャル
　　11．４　ノルム保存擬ポテンシャル（ＮＣＰＰ）
　　11．５　l-依存ノルム保存擬ポテンシャルの生成
　　11．６　価電子の寄与の除去と内殻補正
　　11．７　転用可能性と硬さ
　　11．８　分離可能な擬ポテンシャル演算子と射影演算子
　　11．９　ノルム保存の拡張：線形の範囲を越えて
　　11．10　ウルトラソフト擬ポテンシャル
　　11．11　射影演算子補強波（ＰＡＷ法）：全電子波動関数の使用
　　11．12　その他の話題
　付録Ａ　汎関数
　　Ａ．１　基本的な定義と変分方程式
　　Ａ．２　密度汎関数法で使われる勾配を含んだ汎関数
　付録Ｂ　ＬＡＤＡとＧＧＡ汎関数
　　Ｂ．１　局所スピン密度近似（ＬＳＤＡ）
　　Ｂ．２　一般化勾配近似（ＧＧＡ）
　　Ｂ．３　ＧＧＡの例，ＰＢＥの具体的表式
　付録Ｊ　散乱と位相のずれ
　　Ｊ．１　球対称ポテンシャルによる散乱と位相のずれ
　付録Ｋ　有用な関係式と公式
　　Ｋ．１　球Bessel，球Neumann，および球Hankel関数
　　Ｋ．２　球面調和関数とLegendre多項式
　　Ｋ．３　実球面調和関数
　　Ｋ．４　Clebsch-GordanおよびGaunt関数
　　Ｋ．５　Chebyshev多項式
　付録０　単位とその変換係数

出版社からのメッセージ

本書は、2010年10月にシュプリンガー・ジャパン株式会社より出版された同名書籍を再出版したものです。

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