内容紹介
タワーは電波塔や広告塔などそれ自体の機能を果たすことはもちろん、都市のランドマークになったり、眺望を楽しむ展望台になったりといった、経済効果を生み出す重要な観光資源ともなる。一方では、権力や技術力、経済力などを誇示する意味合いをもつこともあり、その存在意義は多岐にわたっており、それに応じてデザインもさまざまである。そこで本書は、歴史上に存在した世界中のさまざまなタワーや高層建築物について、それらがつくられるようになった起源をさかのぼり、その歴史をたどりつつ、技術の進歩や社会・体制の変化とともにどのような変遷を経てきたかを検証している。
目次
第一章 高層タワーへ至る前史――なぜ人は高いところをめざすのか?
スタンディング・ストーン――先史時代にみる塔の源/バベルの塔――非現実世界の超高層タワー/古代世
界の七不思議――高層建築デザインの発想の源泉/アレクサンドリアの大灯台――ミナレットと鐘楼へ、ヒ
ラルダの塔から高層ビルへ/ギザのピラミッド――世界で最も高い建築の象徴/オベリスクとローマ皇帝
の記念柱/パゴダ――ピクチャレスクな庭園のフォリーから超高層ビルへ
第二章 尖塔・鐘楼・時計塔・タワーの付いた公共建築
ゴシック聖堂の尖塔で競った高さ世界一/イギリスのゴシック復興(リヴァイヴァル)と高層建築/塔屋(タワー)付き市庁舎の建設ブーム/アメリカの塔屋(タワー)付き市庁舎と「キャピトル型」/日本の公共
建築と塔屋(タワー)/大学の時計塔/イタリアの中世の塔を真似たアメリカの高層ビル/リットリオ塔か
らイタリア初期高層ビル建築へ/「塔(タワー)」と命名される高層ビルたち
第三章 世界一の高さへの挑戦と展望塔ブーム
世界で最も高い建物比較図(ダイアグラム)の発生/エッフェル塔が変えた世界一の高さ戦争/世界で最も
高かったニューヨークの摩天楼/「一〇〇〇フィート≒三〇〇メートル」の塔の夢/巨像塔/ビスマルク
塔/ドイツ山中の展望塔ブーム/古戦場とナイアガラの滝の展望塔――愛国とピクチャレスク
第四章 塔の美学――さまざまな展望の愉しみ方
俯瞰すること――鳥瞰図、パノラマ、気球、飛行機/エレベーターの普及とアミューズメントとしてのエレ
ベーター塔/都市交通としてのエレベーター・タワー/エッフェル塔/一八九〇年のロンドンの「グレー
ト・タワー」コンペ――エッフェル塔を超えろ!/エッフェル塔の子供たち――エッフェル塔を模した塔い
ろいろ/万博塔(エッフェル塔を模していない場合)/大観覧車/アミューズメント・タワー/回転展望レ
ストランとタワー/工業目的のタワー――煙突、給水塔、電波塔
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