地震リスクマネジメント入門
実務に役立つ

地震リスクマネジメント入門

著者名 中村 孝明
発行元 丸善出版
発行年月日 2013年07月
判型 A5 210×148
ページ数 138ページ
ISBN 978-4-621-08696-4
Cコード 3052
NDCコード 520
ジャンル 土木・建築 >  土木 >  構造力学・地盤工学

内容紹介

いつ、どこで起きるかわからない地震。このため、多くの企業は差し迫った危機とは認識できず、防災対策の明確な方針を決められないまま、判断を先延ばしにしているのが実状である。しかし、大地震は建物や製造設備に被害を及ぼすだけでなく、長期の事業停止、人命や信頼の損失など、企業活動に深刻な影響を与える。では一体、どの規模までの地震にどの程度の備えをすればよいのか。またどのような対策が経済的なのか。このような難しい問題に合理的な判断基準を提供してくれるのが、地震リスクマネジメント。経営リスクの管理という観点から防災対策の意思決定を支援する、体系化された実践技術である。本書は、企業の経営者や防災を担う責任者、また建設業界の関係者などを対象にした入門書。地震リスクマネジメントの基礎知識からその有効性や実例を紹介し、防災対策を立案するうえで手助けとなる一冊となる。

目次

第1章 リスクをどう捉え,どう付き合うか
 1.1 リスクの視点と顕在化
 1.2 リスクはグレーゾーンの計量化
 1.3 リスクは頻度と損害の大きさで計る
 1.4 地震はまったくの負け戦
 1.5 地震リスクマネジメントは負けを減らす工夫
 1.6 地震リスク診断から意思決定支援へ
 1.7 地震リスクマネジメントの方法
 1.8 耐震診断と地震リスク診断の違い
 1.9 進む建築資産の地震リスク診断
第2章 地震危険度とリスクの表記方法
 2.1 地震との遭遇確率を正しく理解する
 2.2 地震波はどのように伝搬し増幅するか
 2.3 地震ハザード曲線の見方
 2.4 シナリオ地震による地震危険度
 2.5 散在施設の危険度をみるイベントリスクカーブ
 2.6 金融対策に必要なリスクカーブ
 2.7 地震の発生確率を計算する2つの方法
 2.8 津波ハザードマップの見方
 2.9 津波の特徴と津波シミュレーション
第3章 弱点を見つける地震リスク診断
 3.1 2つのリスク定量化手法
 3.2 さまざまな被害を網羅し,想定外を設けない
 3.3 リスクの推計とその見方
 3.4 巨大施設のリスク診断
 3.5 被害の可能性を確率で計量
 3.6 被害確率を求める関数とは
 3.7 復旧曲線で復旧過程を可視化
 3.8 弱点を見つけるボトルネック指標
 3.9 生産工程の復旧順位がわかる復旧曲線
 3.10 地震リスク診断,その他のメリット
第4章 事業継続計画と地震リスクマネジメント
 4.1 BCPの発祥と経緯
 4.2 BCPは結果事象型,地震リスクマネジメントは原因事象型
 4.3 現状把握から見たBCPと地震リスクマネジメント
 4.4 被害想定から見たBCPと地震リスクマネジメント
 4.5 防災・減災対策から見たBCPと地震リスクマネジメント
 4.6 対策の種類によるリスク低減効果
 4.7 BCPと地震リスクマネジメントのハイブリッド
 4.8 企業のレジリエンシと事業継続
第5章 財務影響分析と防災目標
 5.1 防災目標は具体的に決める
 5.2 財務から見た地震被害
 5.3 財務影響分析の手順
 5.4 財務諸表から業績指標をみる
 5.5 財務影響分析の具体例
 5.6 業績指標を悪化させる要因
 5.7 ストレステストによる防災目標
 5.8 外部要因によって決まる防災目標
 5.9 防災目標は一貫性と継続性を
 5.10 防災目標は従業員の命を守る
 5.11 防災目標は周辺住民の安全を守る
第6章 地震対策と意思決定
 6.1 地震発生確率の認知バイアス
 6.2 対策は相対的優位でみる
 6.3 相対的優位の比較方法
 6.4 ライフサイクルコストでみる地震対策の優越
 6.5 被害要因別のリスクの内訳
 6.6 弱点の探し方,優先順位の決め方
 6.7 見てわかる弱点と対策
 6.8 危険物の漏洩対策
 6.9 火災・延焼対策
 6.10 地震保険の賢い利用法
 6.11 金融市場を使った金融対策
 6.12 借入予約をする金融対策
 6.13 工場の緊急停止基準の設定方法
 6.14 過去の被害事例にこだわる危険な側面
 6.15 安心を求める市民への安全説明
第7章 地震から人,ビジネスを守る,そのためには
 7.1 仕組み総体としての安全をみる
 7.2 設計規格の統一化の動きと信頼性設計
 7.3 信頼性設計と地震リスク診断
 7.4 地震リスクをもち寄る情報プラットフォーム
 7.5 地震リスク診断のすすめ
 7.6 インフラ施設の耐震化の財源
 7.7 広域災害からビジネスを守る
 7.8 今,必要な技術者の意識改革

定価:3,080円
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