マレー数理生物学入門

マレー数理生物学入門

原書名 Mathematical Biology I: An Introduction 3rd edition
著者名 三村 昌泰 総監修
瀬野 裕美 監修
河内 一樹 監修
中口 悦史 監修
三浦 岳 監修
発行元 丸善出版
発行年月日 2014年01月
判型 B5 257×182
ページ数 468ページ
ISBN 978-4-621-08674-2
Cコード 3045
NDCコード 461
ジャンル 生物・生命科学 >  生物一般

内容紹介

数理生物学の基本的モデルである個体群生物学や生理学だけにとどまらず、数理生物学全般を解説する世界的に定評あるテキスト。複雑な生物システムに向けて数学モデルから解明するという数理生物学が、多くの例を交えて書かれており、既にポーランドやロシア等でも翻訳され、今や世界的に知られた数理生物学のバイブルになっている。著者は医学、心理学、生態学、疫学、発生生物学等、数理生物学の様々な分野において、実験家との共同研究を通して、モデルを構築し、その解析から、機構の解明、予測を行ってきた現在の数理生物学の確立に貢献する偉大な研究者の一人で、数理生物学の世界だけではなく、数学・数理科学がいかに生物学に貢献しているかという学際的な視点から情熱を注いでいる研究者です。

目次

第1章 単一種の連続個体群モデル
 1.1 連続型増殖モデル
 1.2 トウヒノシントメハマキにみる昆虫の大発生モデル
 1.3 遅延モデル
 1.4 遅延個体群モデルの線形解析:周期解
 1.5 生理学における遅延モデル:周期性を呈する動的疾患
 1.6 収穫の効果を含む単一種個体群モデル
 1.7 年齢分布を考慮した個体群モデル
第2章 単一種の離散個体群モデル
 2.1 導入:シンプルなモデル
 2.2 蜘蛛の巣図法:解に関するグラフを用いた手順
 2.3 離散ロジスティクス型モデル:カオス
 2.4 安定性,周期解,分岐
 2.5 離散型遅延モデル
 2.6 漁業管理モデル
 2.7 生態的な示唆と警告
 2.8 腫瘍細胞の増殖
第3章 相互作用する個体群のモデル
 3.1 捕食者―被食者モデル:ロトカ―ヴォルテラ系
 3.2 複雑性と安定性
 3.3 現実的な捕食者―被食者モデル
 3.4 リミットサイクル解をもつ捕食者―被食者モデルの解析:安定性に関するパラメータ領域
 3.5 競争モデル:競争排除則
 3.6 相利共生モデル
 3.7 一般化モデルと一般的な注意
 3.8 閾値現象
 3.9 離散型モデル
 3.10 離散型捕食者―被食者モデルの詳細な解析
第4章 温度に依存する性決定:ワニの生存戦略
 4.1 ワニについての生物学的導入と歴史的経緯
 4.2 巣の場所の選択に関する仮定とシンプルな個体群モデル
 4.3 ワニの年齢分布を考慮した個体群モデル
 4.4 密度依存性を伴う年齢構造モデル方程式
 4.5 湿沼地Iにおけるメス個体群の安定性
 4.6 性比と生存率
 4.7 温度に依存する性決定(TSD)vs.遺伝的な性決定(GSD)
 4.8 性決定に関連する事項
第5章 夫婦間相互作用の動態のモデリング:離婚予測と夫婦仲修復
 5.1 心理学的な背景とデータ:GottmanとLevensonの方法論
 5.2 夫婦類型論とモデリングの動機
 5.3 モデリング戦略とモデル式
 5.4 定常状態と安定性
 5.5 モデルから得られる実用的な結果
 5.6 モデルの利益および示唆,夫婦仲修復の筋書き
第6章 反応速度論
 6.1 酵素速度論:基本酵素反応
 6.2 過渡期時間の評価と無次元化
 6.3 ミカエリス―メンテンの準定常状態解析
 6.4 自殺誘導基質系の反応速度論
 6.5 協同現象
 6.6 自己触媒,活性化,阻害
 6.7 複数の定常状態,マッシュルーム,島
第7章 生物学的振動子とスイッチ
 7.1 動機,略史,背景
 7.2 フィードバック制御機構
 7.3 2種もしくは多種が関わる振動子とスイッチ:一般的な定性的結果
 7.4 シンプルな2種振動子:振動が起こるパラメータ領域の決定
 7.5 神経膜に関するホジキン―ハクスリー理論:フィッツヒュー―南雲モデル
 7.6 テストステロン分泌の制御モデルと化学的去勢
第8章 ベロウソフ‐ジャボチンスキーの振動反応
 8.1 ベロウソフ反応とフィールド―ケレシュ―ノイズ(FKN)モデル
 8.2 FKNモデルの線形安定性解析とリミットサイクル解の存在
 8.3 FKNモデルの非局所的安定性
 8.4 緩和振動子:BZ反応の近似
 8.5 BZ反応のリミットサイクル振動の緩和モデルの解析
第9章 振動子の摂動,結合とブラックホール
 9.1 振動子の位相リセット
 9.2 位相リセット曲線
 9.3 ブラックホール
 9.4 現実の生物学的振動子におけるブラック
 9.5 結合振動子:動機とモデル系
 9.6 振動の位相同期:ホタルの同期現象
 9.7 特異摂動解析:解析の前の変数変換
 9.8 特異摂動解析:変換された系
 9.9 特異摂動解析:2タイムスケール展開
 9.10 位相シフト方程式の解析,およびBZ反応の結合系への応用
第10章 感染症のダイナミクス:流行モデルとAIDS
 10.1 流行病の歴史
 10.2 シンプルな流行モデルとその実際への応用
 10.3 性感染症のモデリング
 10.4 淋病とその制御に関する多集団モデル
 10.5 AIDS:HIVの伝染動態のモデリング
 10.6 薬物療法と組み合わせたHIVのモデリング
 10.7 薬物療法を含むHIV感染の遅延モデル
 10.8 寄生虫感染に対する獲得免疫の個体群ダイナミクスのモデリング
 10.9 齢依存的な流行モデルと閾値基準
 10.10 薬物使用流行モデルと閾値解析
 10.11 アナグマとウシの牛結核感染
 10.12 アナグマとウシの牛結核の制御戦略のモデリング 
第11章 反応拡散,走化性,非局所メカニズム
 11.1 シンプルなランダムウォークと核酸方程式の導出
 11.2 反応拡散方程式
 11.3 動物の分散モデル
 11.4 走化性
 11.5 非局所的効果と長距離の拡散
 11.6 拡散や長距離効果に対する細胞のポテンシャルやエネルギーからのアプローチ
第12章 振動子が生み出す波動現象と中枢パターン発生器
 12.1 BZ反応におけるキネマティックウェーブ
 12.2 中枢パターン発生器:魚の遊泳に関する実験的事実
 12.3 中枢パターン発生器の数理モデル
 12.4 位相結合モデル系の解析
第13章 生物学的波動:単一種モデル
 13.1 進行波
 13.2 フィッシャー―コルモゴロフ方程式と進行波
 13.3 フィッシャー―コルモゴロフ方程式の漸近解とフロント信仰波解の安定性
 13.4 密度依存性を伴う反応拡散モデルとその厳密解
 13.5 多定常状態をなす機構を有するモデルに現れる波:昆虫個体群の分散とその制御
 13.6 両生類卵細胞のカルシウム波:メダカ卵の賦活化波
 13.7 空間分散脳がばらつきを有する場合の侵入速度
 13.8 種の侵入と領域の拡大
第14章 フラクタルの利用と濫用
 14.1 フラクタル:基本的概念と生物学的関連性
 14.2 フラクタルの単純な例とその作り方
 14.3 フラクタル次元:概念と計算の手法
 14.4 フラクタルか,空間充填か
付録A 相平面解析
付録B ラウス―フルビッツの条件,ジュリーの条件,デカルトの符号規則,3次方程式の厳密解
 B.1 特性多項式,ラウス―フルビッツの条件,ジュリーの条件
 B.2 デカルトの符号法
 B.3 一般の3多項式の根

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