初歩から学ぶ乾燥技術 第2版

初歩から学ぶ乾燥技術 第2版

基礎と実践
著者名 中村 正秋
立元 雄治
発行元 丸善出版
発行年月日 2013年03月
判型 A5 210×148
ページ数 220ページ
ISBN 978-4-621-08651-3
Cコード 3058
NDCコード 571
ジャンル 化学・化学工学 >  化学工学一般
化学・化学工学 >  工業化学
機械・金属・材料 >  機械工学一般

内容紹介

工業、農業、水産業など多くの分野で行われている単位操作の一つである“乾燥”についての自習書である。基礎編、装置編、設計編、トラブル対策編の4部構成からなる。基礎編では、“乾燥とは何か”から、乾燥を学ぶ際に必要な用語などの基礎知識を、装置編では多種多様な乾燥機のなかからどのようにして適切な乾燥機を選ぶかから、代表的な乾燥機の概要・特徴・運転事例を、設計編では代表的な乾燥機の設計方法を、トラブル対策編にはトラブルの発生とその対策について記述している。よって、乾燥についてまったく学んだことのない技術者が必要に迫られて学ぶ際に役立つ内容となっている。同じ乾燥機で同じ条件で操作しても、湿り材料や気象などの変動によってトラブルが発生する。トラブル対策編では実例を用いてその対策についても記しているので、具体的なイメージをしながら学ぶことができる。

目次

第1部 基礎編
 1章 乾燥操作
  1.1 乾燥とは
  1.2 乾燥操作は,いつから始まったか
  1.3 乾燥操作は,最終工程で使われる
 2章 乾燥の基礎知識
  2.1 乾燥は,どのように進行するか
  2.2 定率乾燥期間と減率乾燥期間
  2.3 含水率の表し方
  2.4 限界含水率と平衡含水率
  2.5 乾燥速度と乾燥特性曲線
 3章 湿り空気の性質
  3.1 湿度の表し方
   3.1.1 湿り空気と乾き空気
   3.1.2 蒸気圧
   3.1.3 飽和蒸気圧
   3.1.4 相対湿度(関係湿度)
   3.1.5 絶対湿度
   3.1.6 飽和絶対湿度
   3.1.7 飽和度(比較湿度)
  3.2 湿度図表
  3.3 湿りガスの種々の特性値
   3.3.1 湿り比熱容量
   3.3.2 湿り比体積
   3.3.3 湿りエンタルピー
  3.4 湿球温度
   3.4.1 乾湿球温度計
   3.4.2 湿球で水が蒸発するようす
  3.5 ルイスの関係と等湿球温度線
  3.6 露点
 4章 定率乾燥期間と限界含水率
  4.1 定率乾燥期間は,なぜ存在するか
  4.2 定率乾燥速度の求め方
  4.3 定率乾燥速度は外的要因で決まる
  4.4 限界含水率は外的要因と内的要因で変わる
  4.5 湿り材料内の水分移動と限界含水率の関係
  4.6 湿り材料内の水分移動係数
 5章 減率乾燥期間と平衡含水率
  5.1 減率乾燥期間は,なぜ存在するか
  5.2 減率乾燥速度は内的要因で決まる
  5.3 平衡含水率は外的要因と内的要因で変わる
  5.4 減率乾燥期間の温度・含水率の求め方
   5.4.1 湿り材料内の温度・含水率の時間変化
   5.4.2 湿り材料内の含水率の分布
   5.4.3 湿り材料内の水蒸気移動量の割合
第2部 装置編
 6章 乾燥機の選定
  6.1 乾燥の目的で選ぶ
  6.2 材料の形状で選ぶ
  6.3 処理速度や処理量で選ぶ
  6.4 エネルギー効率や環境へ配慮して選ぶ
 7章 乾燥機の分類と使用事例
  7.1 対流伝熱乾燥
   7.1.1 箱型乾燥機
   7.1.2 バンド乾燥機・トンネル乾燥機
   7.1.3 噴出流(ノズルジェット)乾燥機
   7.1.4 通気竪型(移動層)乾燥機
   7.1.5 回転乾燥機(ロータリードライヤー)
   7.1.6 流動層乾燥機
   7.1.7 気流乾燥機
   7.1.8 噴霧乾燥機(スプレードライヤー)
  7.2 伝導伝熱乾燥
   7.2.1 箱型乾燥機
   7.2.2 溝型・円筒型撹拌乾燥機
   7.2.3 逆円錐型撹拌乾燥機
   7.2.4 回転乾燥機(円筒回転乾燥機,二重円錐(コニカル)回転乾燥機)
   7.2.5 円筒(ドラム)乾燥機
   7.2.6 多円筒(シリンダー)乾燥機
  7.3 輻射伝熱乾燥
   7.3.1 赤外線・遠赤外線乾燥機
   7.3.2 太陽熱利用乾燥機
  7.4 その他の乾燥方式
   7.4.1 マイクロ波乾燥
   7.4.2 過熱水蒸気乾燥
   7.4.3 真空乾燥
   7.4.4 凍結乾燥
   7.4.5 ヒートポンプを利用した乾燥
   7.4.6 超音波乾燥
   7.4.7 油を熱媒体に用いた乾燥
   7.4.8 超臨界乾燥
第3部 設計編
 8章 乾燥機の設計
  8.1 乾燥機容積および伝熱面積の概算
   8.1.1 乾燥に必要な熱量(概算値)
   8.1.2 湿り材料に流入する熱量(概算値)
   8.1.3 乾燥機容積および伝熱面積(概算値)
  8.2 回分式熱風乾燥機の設計
   8.2.1 材料内の温度・含水率が均一で,熱風温度が一定の場合
   8.2.2 材料内の温度・含水率が均一で,熱風温度が入口と出口で異なる場合
   8.2.3 材料内の温度・含水率が均一で,熱風がピストン流れの場合
  8.3 回分式伝導伝熱乾燥機の設計
   8.3.1 材料内の温度・含水率が均一で,熱風温度が一定の場合
   8.3.2 材料内の温度・含水率が均一で,熱風温度が入口と出口で異なる場合
   8.3.3 材料内の温度・含水率が均一で,熱風がピストン流れの場合
  8.4 連続式熱風乾燥機の設計
   8.4.1 連続式・並流型熱風乾燥機の容積
   8.4.2 連続式・向流型熱風乾燥機の容積
第4部 トラブル対策編
 9章 省エネルギー対策
  9.1 前処理工程での省エネルギー
   9.1.1 機械的分離操作(脱水,濃縮)の併用による方法
   9.1.2 材料形状の調整(解砕,成形)による方法
  9.2 乾燥機への定量供給による省エネルギー
  9.3 乾燥時の熱効率向上による省エネルギー
   9.3.1 排熱風温度の最適化による方法
   9.3.2 排熱風量の軽減(排熱風の循環使用)による方法
   9.3.3 エネルギー効率の高い乾燥機の選定による方法
   9.3.4 乾燥条件の制御による方法
  9.4 熱源の工夫による省エネルギー
   9.4.1 太陽熱利用による方法
   9.4.2 低温排熱の利用による方法
   9.4.3 代替熱源の利用による方法
  9.5 熱回収による省エネルギー
   9.5.1 排ガスからの熱回収による方法
   9.5.2 ヒートポンプによる方法
  9.6 乾燥機からの放熱防止による省エネルギー
  9.7 ガスの流出・流入(リーク)防止による省エネルギー
 10章 安全・環境対策
  10.1 乾燥装置にかかわる爆発・火災発生状況
  10.2 爆発性および可燃性の物質
   10.2.1 爆発性の物質の熱特性
   10.2.2 可燃物の性質
  10.3 危険物の乾燥に対する安全対策
   10.3.1 湿り材料から蒸発する可燃性溶剤の安全化
   10.3.2 可燃性粉体の安全化
   10.3.3 換気による爆発危険性雰囲気の安全化 
   10.3.4 不活性ガス希釈による安全化
   10.3.5 着火源の排除による安全化
 11章 トラブル対策事例―プラスチックペレットの乾燥―
  11.1 まず,材料の特性をよく認識する
   11.1.1 吸湿性・吸水性の原理
   11.1.2 吸湿率・吸水率と水分移動係数
   11.1.3 平衡含水率と温度・湿度の関係
   11.1.4 吸水率と膨潤性の関係
  11.2 スケールアップを考慮しない乾燥条件による失敗例
   11.2.1 スモールスケールでの乾燥条件を生産条件に適用した事例
   11.2.2 湿り材料の仕込み厚さを考慮しない事例
  11.3 ダンパー開度の設定を基準化せずに乾燥不足になった失敗例
   11.3.1 途中で開度を変えたので,乾燥条件が不適合になった事例
   11.3.2 ダンパー開度をゼロにし,乾燥しないといった無知な事例
  11.4 送入空気の湿度を考慮しなかったために起きた失敗例
   11.4.1 乾燥不足によるポリアミドなどの加水分解の事例
   11.4.2 ブロー成形での肉厚の不安定性と破損の事例
   11.4.3 射出成形品の乾燥不足による“ふくれ”発生の事例
  11.5 乾燥後の吸湿対策を講じなかったために起きた失敗例
   11.5.1 加水分解による機械的特性不足や外観不良の事例
   11.5.2 圧縮成形体のクラック発生の事例
 コラム
  コラム1 含水率,含水比,水分率
  コラム2 局所含水率と平均含水率 
  コラム3 乾燥研究の先駆者,亀井三郎先生の“固体乾燥の研究(第1報)”
  コラム4 単位の話(1)-モルとケルビン
  コラム5 単位の話(2)-パスカル
  コラム6 温度が変わると相対湿度(関係湿度)と蒸気量は比例しない
  コラム7 絶対湿度は,温度が変わっても一定である
  コラム8 湿度図表の使い方
  コラム9 単位の話(3)-ジュールとワット
  コラム10 露点と湿球温度を湿度図表や計算によって求める 
  コラム11 亀井三郎先生のことば“外的要素及内的要素”
  コラム12 外的および内的条件を変えて,定率乾燥速度を速くする方法
  コラム13 湿り材料の平均限界含水率と連通管
  コラム14 湿り材料の水分移動係数と連通管
  コラム15 乾燥の解析に用いる基礎方程式
  コラム16 特許にみる乾燥技術(1)―技術分野別特許マップ“乾燥技術”
  コラム17 特許にみる乾燥技術(2)―固体乾燥プロセスの技術動向
  コラム18 お茶(煎茶)の乾燥
  コラム19 特許にみる乾燥技術(3)―加熱系乾燥プロセスの技術動向
  コラム20 インスタントコーヒーの製造―噴霧乾燥と凍結乾燥
  コラム21 半導体と乾燥技術
  コラム22 特許にみる乾燥技術(4)―非加熱系乾燥プロセスの技術動向
  コラム23 回分式・通気流型撹拌乾燥機の乾燥時間
  コラム24 連続式・並流型熱風乾燥機の乾燥機容積
  コラム25 特許にみる乾燥技術(5)―インターネットで特許を調べる
  コラム26 乾燥に関係した災害事例
  コラム27 吸湿・吸水過程から水分移動係数を求める
  コラム28 加熱による温度上昇―熱移動と水分移動は,相似である
  コラム29 乾燥技術に関する最近の研究動向
 付表
  付表1 水の性質
  付表2 乾燥空気の性質
  付表3 水蒸気の性質
  付表4 飽和水蒸気の性質
  付表5 温度基準の飽和水蒸気圧力
  付表6 圧力基準の飽和水蒸気温度

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定価:3,080円
(本体2,800円+税10%)
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