内容紹介
近年、医療やバイオテクノロジーからコンピュータサイエンス、ロボット工学までも含む広い領域で、脳・神経科学への関心が高まっている。しかし、その対象とする範囲は広く多様なため、要点をおさえて学ぶことが重要となる。 本書は、脳の働きを学ぶうえで最も基礎となるニューロンの電気生理学から、シグナル伝達、神経系の発生、脳の高次機能の一部をコンパクトに記述し、さらに、これらを踏まえて意識やクオリアを理解しようと試みるもの。また、関連する最新の研究成果も随所に盛り込み、最先端の研究の様子が分かるようにも配慮した。 脳・神経科学を学ぶ人ににまず手にとってほしい一冊。
目次
1 ニューロンの性質と機能
1.1 ニューロンと生体電気現象
1.2 電気化学勾配と静止膜電位
1.3 軸索の活動電位とニューロンの電気信号
1.4 軸索のイオンチャネル
1.5 イオンチャネル一般論
1.6 グリア細胞
2 シナプス情報伝達と神経回路網
2.1 シナプスとシナプス伝達の歴史的背景
2.2 化学のシナプスの構造
2.3 シナプスの生理学と薬理学
2.4 シナプス前機構
2.5 シナプス後機構と入力情報の東郷
2.6 シナプス情報伝達の変化
2.7 シナプス入力の修飾
3 ニューロン内のシグナル伝達とシナプス伝達の修飾
3.1 細胞膜受容体を介するニューロン内のシグナル伝達
3.2 細胞内受容体を介するニューロン内のシグナル伝達
3.3 代謝調節型受容体によるシナプス伝達の修飾
3.4 末梢と中枢におけるシナプス伝達の修飾
3.5 まとめ
4 脊椎動物神経系の発生
4.1 神経誘導
4.2 神経板の領域化
4.4 中枢神経系での細胞増殖と組織発生
4.5 神経回路形成
4.6 まとめ
5 神経の性質
5.1 伝達効率変化と情報伝達制御機構
5.2 シナプス可塑性と幻肢
6 ニューロンから高次機能へ
6.1 ニューロンと視覚の神経気候
6.2 クオリアとニューロンの生理学