内容紹介
リーマン幾何学やリーマン積分など、現代数学の基礎概念にその名を残し、19世紀半ばに20世紀数学を予見し、その飛躍の礎を与えた数学者リーマン。本書は彼について総合的に書かれた、日本語で初めての解説書である。数学における代表的な業績を厳選し、それぞれの分野におけるリーマン以前の数学の到達点とリーマン以降の数学の流れの変化を明らかにすることにより、リーマンの同時代における業績の意義を浮き彫りにした。さらに物理学・哲学についての業績も紹介。彼の学問の背景となる生い立ち、交遊についても伝記的に興味深い内容を詳述している。
目次
序 章
0.1 ベルンハルト・リーマンとその時代
0.2 ゲッティンゲンにおける黄金の50年代:ガウス,ディリクレからリーマン,デデキントへ
0.3 最晩年の活動:イタリアとドイツを往復するリーマン
0.4 リーマン以前の解析学の,競合する様々な解釈
第1章 複素解析
1.1 リーマンの時代までの複素解析の生成過程
1.2 1851年の学位論文
1.3 理論形成
1.4 ゼータ関数と素数分布
第2章 実解析
2.1 実解析の基礎
2.2 リーマン以前の三角級数
2.3 リーマンの業績
2.4 リーマン以後の三角級数
2.5 中間考察:ガウス,リーマン,ゲッティンゲンの雰囲気
第3章 幾何学・物理学・哲学
3.1 幾何学
3.2 物理学
3.3 哲学について
第4章 数学解釈における転換点
4.1 数学の革命について
4.2 数学的無限についての解釈の転換点
4.3 方法の転換:計算の代わりに思考する
4.4 存在論における転換点:概念を用いた思考としての数学
4.5 リーマン以後の時代の,数学の存在論と方法論
4.6 結論 .