内容紹介
メビウスの帯、クラインの壷、エッシャーのだまし絵、ザイフェルト曲面、そしてサーストンの論文の挿絵まで、3次元空間のいろいろな図を黒板にチョークで描く鮮やかな技と思考法を解説。 著者が本書を考案するに至ったきっかけは、1970年代の半ば、カタストロフィー理論とは何かを説明するために絵を用いる方法を探ったことだという。「1枚の絵の上に完成した状態で描かれた図は、いくらうまく説明されてもわかりにくいものである。それに対して、板の上で説明しながら少しずつ完成させていった図は一目瞭然によくわかる」とフランシス教授はいう。トポロジーはどんな風に絵に描けばよいのか。その謎解きの旅へと読者を誘う。
目次
第1章 図形トポロジー
角箱の中の鞍形面
円筒の中の鞍形面
ホイットニーの傘
ケーリーのカスプ
ピンチ点/分岐点
第2章 技法と道具
3次曲線による比喩
曲面の基本パターン
三つ股おばけ
四角い椅子の丸め方
道化の帽子
ダンスの卵
メビウスの帯
インクと紙
チョークと黒板
スライドとOHP
コンピュータとドローイング
関数グラフ
ピンチ点の除去―ワイヤフレーム表示の場合
ピンチ点の除去―隠線処理の場合
ピンチ点の除去―陰影仕上げの場合
パンツをねじる
薄板化と8結び
ケーブル結び糸とその仲間
型板ころがし
8面体状双曲多様体
4面体状双曲多様体
ボロミアン・リング
第3章 透視図法
線透視図法
地平線と天頂点
立方体の扱い方
立方体の3―2―1点透視図
立方体をのぞく
対角線
車輪と車軸
軸測図
明暗法
第4章 不可能な三角組み木
ペンローズの三角組み木
不可能な四角組み木
パイプライン
サイコロ
ポアンカレ群
サイコロ格子
立方体の中の人
左手/右手
第5章 高次元空間の影
みぞの横断
プリュッカーのコノイド
ローマン曲面をつまむ
ガウス写像と交差帽
ボーイ曲面
切断と陰影
ホイットニーの壷
ロンボーイ変形
第6章 球面の裏返し
黄金矩形
交差帽とハンドル
禁じられた裏返し
アステロイド/デルトイド
はめ込みの組み立て
モーリンの裏返し
たばこ入れ
アステロイドの一族
カタストロフィー・マシーン
モーリンのツイスト
フランシス・オリジナル
第7章 群を描く
ダブルトーラスをジッパーで閉める
組ひもの位相同形
アルティンのスワップ
球状組ひも
皿のトリック
渦巻きと煙突
ハンドルのスワップ
スワップ・ダイヤグラム
リコリッシュのツイスト
ソロモン王の紋章
第8章 8の字結び糸
8の字結び糸の絵
6面体状補空間
6面体貼りつけダイヤグラム
ザイフェルト曲面
6枚のハーケン曲面
ファイバーの覚え書き
フクロウと子猫
イソトピックなザイフェルト曲面
トリビアルなファイバー化
ダブルトーラス結び糸
4面体状8の字結び糸(I)
4面体状8の字結び糸(II)
トーラス状せん断イソトピー
モノドロミーの計算
ホップのファイバー化