内容紹介
非線形方程式の局所化された粒子のような解はソリトン(孤立波)とよばれ、1965年にM.D. クルスカルとN. ザブスキーにより導入された。本書は20世紀後半に活発に展開されたソリトン理論に関し、そこでの著者達による寄与を基礎にして書き下ろされた解説書である。ハミルトンの方法の観点から、非線形シュレーディンガー方程式の可積分問題を考察し、ソリトン解が登場する逆散乱法の論理構造と具体例について講じられている。この上巻では、非線形シュレーデインガー方程式(時空座標がそれぞれ1次元)を、等価なゼロ曲率表示に書き、いくつかの典型的な境界条件の下で解や運動積分の構造を考察する。得られた諸関係をハミルトン力学の観点から考察し、可積分問題に広く適用される一般的定式の基礎を与えている。
目次
序論
第1 部 非線形シュレーディンガー方程式(NS 模型)
第I章 ゼロ曲率表示
I.1 NS模型の定式化
I.2 ゼロ曲率の条件
I.3 準周期的な場合におけるモノドロミー行列の性質
I.4 局所的な運動の積分
I.5 急減衰の場合におけるモノドロミー行列
I.6 遷移係数の解析性
I.7 遷移係数の力学
I.8 有限密度の場合:ヨスト解
I.9 有限密度の場合:遷移係数
I.10 有限密度の場合:時間的発見と運動の積分
I.11 注釈と文献解説
第II章 リーマン問題
II.1 急減衰の場合:リーマン問題の考察
II.2 急減衰の場合:リーマン問題の定式化
II.3 NS模型への逆散乱問題の応用
II.4 リーマン問題の方法とゲルファント―レヴィタン―マルチェンコ方程式
II.5 急減衰の場合:ソリトン解
II.6 有限密度の場合に対する逆問題の解:リーマン問題の解法
II.7 有限密度の場合に対する逆問題の解:GLM定式
II.8 有限密度の場合に対するソリトン解
II.9 注釈と文献解説
第III章 ハミルトンの定式化
III.1 基本ポアソン括弧とR行列
III.2 準周期的な場合における運動の積分のポアソン対合成
III.3 基本ポアソン括弧からゼロ曲率表示の導出
III.4 急減衰の場合および有限密度の場合における運動の積分
III.5 Λ演算子とポアソン構造の階層性
III.6 急減衰の場合における遷移係数のポアソン括弧
III.7 急減衰の場合についての作用―角変数
III.8 ハミルトンの観点からのソントン力学
III.9 有限密度の場合における完全可積分性
III.10 注釈と文献解説
出版社からのメッセージ
本書は、2011年4月にシュプリンガー・ジャパン株式会社より出版された同名書籍を再出版したものです。
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