総合芸術家ル・コルビュジエの誕生

総合芸術家ル・コルビュジエの誕生

―評論家・画家・建築家
著者名 加藤 道夫
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年07月
判型 A5 210×148
ページ数 188ページ
ISBN 978-4-621-08569-1
Cコード 3052
NDCコード 523
ジャンル 土木・建築
土木・建築 >  建築 >  計画・設計・施工
土木・建築 >  建築 >  意匠・インテリア

内容紹介

ル・コルビュジエ(本名:シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ1887-1965)は故郷スイスのラ・ショー・ド・フォンで建築家を志し各地を転々とした後、1917年にパリに活動の拠点を定める。 パリにおいてはまず、画家のオザンファンとの出会いから、彼の影響のもと本名のジャンヌレで画家、美術批評家として活動を開始し、徐々にその名は知られていくようになる。その後1925年頃にオザンファンとは距離を置くようになり、これが一大転機となり、ル・コルビュジエのペンネームを得て、絵画、批評以上に、建築設計の活動に精力を傾けるようになり、世界的建築家として羽ばたいていくこととなる。 本書は、当初の絵画や美術評論をメインとした活動を経由しながら、いかに建築家ないしは総合芸術家「ル・コルビュジエ」として独立し、以降の活動を方向付けていったかを検証し、ル・コルビュジエが世に出る経緯をたどっている。

目次

序論 近代建築家から総合芸術家へ
序章 総合芸術家ル・コルビュジエへの始まり
 1 オザンファンとの出会い以前
 2 『キュビスム以後』-規則の始まり
  (1)『キュビスム以後』の執筆
  (2)オザンファンの言説――「キュビスム」から「ピュリスム」へ
  (3)ジャンヌレによる第2章の独立性
  (4)ジャンヌレの言説――芸術の範例(モデル)としての<機械>
  (5)ジャンヌレの言説――範例(モデル)としての機械‐建築‐芸術
  (6)ジャンヌレの言説――<規則>から<遊動>へ
  (7)行動規範としての『キュビスム以後』
 3 絵画作品「暖炉」――初めての絵画(タブロー)
  (1)初めての展覧会
  (2)「暖炉」――<箱>の創案
 4 ドミノ住宅の構想
 5 3つの始まり
第1章 美術評論家ジャンヌレ
 1 『レスプリ・ヌーヴォー』の刊行
 2 『レスプリ・ヌーヴォー』休刊以前の美術評論
  (1)「造形芸術について」
  (2)「ピュリスム」
  (3)「ピュリスム」時点での絵画対象
 3 『レスプリ・ヌーヴォー』休刊後の美術評論
  (1)『近代絵画』――オザンファン主導の出版
  (2)『近代絵画』――建築と<遊動>の欠如
  (3)『今日の装飾芸術』における<遊動>
  (4)『今日の装飾芸術』における時間
 4 ピュリスムにおける幾何学と建築
第2章 建築評論家ル・コルビュジエの誕生
 1 『レスプリ・ヌーヴォー』休刊前の建築評論
  (1)ル・コルビュジエ‐ソニエの誕生
  (2)『建築へ』につながる建築評論
  (3)第1グループ――建築の幾何学的定義
  (4)第2グループ――建築と工学
  (5)第3グループ――建築における詩的感動
  (6)『レスプリ・ヌーヴォー』から『建築へ』へ――『建築へ』初版の刊行
 2 『レスプリ・ヌーヴォー』休刊後の建築評論
  (1)『建築へ』第2版の刊行時期
  (2)『建築へ』第2版におけるテキストの変更
  (3)『建築へ』第3版について
  (4)『建築へ』の邦訳について
  (5)『ユルバニスム』の刊行
  (6)『ユルバニスム』における範例の転換の兆し――<機械>から<生命>へ
 3 『レスプリ・ヌーヴォー』廃刊後の建築評論――未来への行動規範から<遊動>の記録へ
 4 建築評論の<遊動>
第3章 ピュリスム画家ジャンヌレ
 1 ピュリスム絵画の確立
 2 ピュリスムへの違和感
  (1)文化的対象の導入――<規則>の拡大
  (2)輪郭線の自立――<規則>の変容
 3 ピュリスム絵画の表出
  (1)『レスプリ・ヌーヴォー』で紹介された作品群
  (2)ピュリスム絵画の展覧会
 4 <オブジェ・ティプ>
  (1)普通名詞化された<オブジェ・ティプ>
  (2)<オブジェ・ティプ>の時間
 5 ピュリスムの確立とその変容
第4章 画家ル・コルビュジエの誕生
 1 ジャンヌレからル・コルビュジエへ
  (1)サイコロの頻出――独立のイコン
  (2)輪郭線の<遊動>――「レスプリ・ヌーヴォー館の静物」の不思議
  (3)署名の変化
  (4)先行する署名―「L‐C25」の謎
 2 <詩的反応を伴うオブジェ>の時代へ
  (1)転化する絵画対象
  (2)トラセ・レギュラトゥールの展開
 3 <オブジェ・ティプ>の変容と掃き出される幾何学
 4 画家ル・コルビュジエの展開――回帰する<箱>からピュリスムの反復へ
  (1)「はじめての絵画(タブロー)」再考――「初めて」から「始まり」へ
  (2)<箱>の回帰
第5章 建築家ル・コルビュジエ――<規則>から<遊動>へ
 1 普遍の建築へ
  (1)普通名詞としての建築
  (2)普遍解としての建築――シトロアン住宅
 2 普遍解から特殊解へ
  (1)レマン湖畔の小住宅
  (2)レスプリ・ヌーヴォー館
 3 構成規則<トラセ・レギュラトゥール>の確立
  (1)反復規則の体系化
  (2)構成規則<トラセ・レギュラトゥール>の体系化
 4 ピュリスム規則からの逸脱
  (1)建築的ポリクロミー
  (2)範例(モデル)としての<機械>からの逸脱―ムンダネウム
 5 総合芸術家ル・コルビュジエの誕生
第6章 総合芸術家 ル・コルビュジエの建築
 1 静から動へ
  (1)<箱>のイメージと<ドミノ住宅>のイメージ再び
  (2)可視化されるイメージ
  (3)実現されるイメージ
  (4)建築的ポリクロミーの両義性
  (5)引き裂かれる「箱」――素材の回帰へ
 2 空間から時間へ――起源への遡行
 3 時間の芸術家ル・コルビュジエ
 4 <規則>の回帰=<規則>なき<遊動>へ
  (1)<規則>の回帰と更新――トラセ・レギュラトゥールからモデュロールへ
  (2)<規則>の内化による<規則>からの解放

関連商品

定価:3,300円
(本体3,000円+税10%)
在庫:品切れ・重版未定

▼ 補足資料