内容紹介
科学教育の手法についての研究と実践をまとめた本。 アメリカではこの種の教育法の研究が進んでおり、それを体系的にまとめ、科学教育に必要なポイントを具体的に解説している。 学生が新しい概念を形成する過程を読み解き、効果的に学習を進めるための働きかけや授業の形態、試験の実施法、環境整備の仕方などについて、具体例を交えて、ていねいに解説。個々の教師の授業展開、教授法の手助けとなる。さらに国内における教育法の研究・開発にも寄与する。
目次
第1章 導入と動機づけ
はじめに
物理授業のための典型的な教材
新しい教材群:物理スイート
物理スイート開発の動機
なぜ物理教育研究か?
注意すべき点
この本は何についての本か
第2章 認知科学の原理から導かれる授業へのガイドライン
認知モデル
認知モデルから得られる教育への指針:足かがりとなる五つの原理
認知モデルから導かれるいくつかの一般的な教育方法
物理教育の目標を再考する
第3章 物理授業には教える内容以上のものがある:隠れたカリキュラム
第二の認知レベル
期待観(期待・予測・思いこみ):認知過程をコントロールするもの
メタ認知:考えることについて考える
情緒・情動:同期づけ,自己イメージ,感情
第4章 学習評価の方法とその高度化:宿題と試験
成績評価と授業評価
学生へのフィードバック
試験
八つのタイプの試験問題と宿題
第5章 われわれの授業を評価する:調査
研究に基づく調査
調査は何を測定するのかを理解する:妥当性と信頼性
内容理解度に関する調査
学習姿勢に関する調査
第6章 教育指導への示唆:いくつかの効果的な教授法
研究に基づくカリキュラム
さまざまな教室のモデル
対象とする学生集団:微積分ベースの入門物理
能動参加型で学生中心のカリキュラム例
第7章 講義を基本とする方法
伝統的な講義
ピア・インストラクションとコンセプテスト
相互作用型演示実験講義(ILD)
ジャスト・イン・タイム教授法
第8章 演習と学生実験を基礎とした方法
伝統的な演習
「入門物理におけるチュートリアル」
「ABPチュートリアル」
協同による問題演習
伝統的な学生実験
リアルタイム物理
第9章 ワークショップ方式とスタジオ方式
探求による物理
ワークショップ物理
第10章 物理スイートを使う
物理スイートの背後にある原理
物理スイートの構成要素
さまざまな環境で物理スイートを使う
四つの事例研究:物理スイートの構成要素を採用し適合させる