内容紹介
今から2000年以上前のギリシャにおいて、素数は既に人々の興味の対象であった。素数分布に関する史上最初の結果はユークリッドの『原論』に現れており、そこには素数が無限個あること(素数の無限性)の証明が述べられている。本書はギリシャ時代から20世紀初頭までの素数分布理論の発展を解説した教科書である。歴史的な事実に基づいて、多くの数学者の思考過程を追いながら、現在の研究との接点に配慮した記述がなされている。さらに、主要な結果には必ず証明が付され、その結果の現代までの進展も概説している。下巻では第5章でアダマールの整関数理論と素数定理の証明、ドゥ・ラ・ヴァレ・プーサンの素数定理の別証明を見る。第6章で19世紀末までの結果を皮切りにランダウ、ハーディ、リトルウッドらの業績から現代の進展まで概説する。原著の式変形や論旨展開のギャップは訳者により補完され、本書はより読みやすくなっている。
目次
第5章 素数定理
5.1 ゼータ関数に関するアダマールの最初の論文
5.2 フォン・マンゴルト
5.3 アダマールの証明
5.4 ドゥ・ラ・ヴァレ・プーサンの証明
5.5 ζ(1+it), L(1+it,χ)の非零性に対する他の証明
5.6 残余項の評価
練習問題
訳者による補遺
第6章 20世紀への転換点
6.1 複素関数論の発展
6.2 素数定理へのランダウのアプローチ
6.3 フォン・マンゴルトの定理再論
6.4 タウバー型の定理
6.5 ゼータ関数の零点
6.6 π(x)-li(x)の符号変化
6.7 ハーディ--リトルウッドの予想
練習問題
訳者による補遺
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