矩形行列の行列式

矩形行列の行列式

著者名 中神 祥臣
柳井 晴夫
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年12月
判型 A5 210×148
ページ数 380ページ
ISBN 978-4-621-06508-2
Cコード 3041
NDCコード 411
ジャンル 数学・統計学 >  代数学
数学・統計学 >  数値解析

内容紹介

 矩形行列(つまり,正方でない行列)の行列式は、20世紀初頭にC.E. Cullisにより導入されたが、その後、永く忘れ去られたままになっていた。その定義と計算法は正方な場合の自然な拡張になっているのであるが、意外にも現時点で知られている応用例は少ない。 本書は、この行列式を現代的な視点から見直し、行列式のもつ意味を説明し、その啓蒙と普及を目指して著された書。  前半では線形代数を初めて学ぶ人にも親しめるような記述を心掛け、正方行列の行列式を学びながら、自然に矩形行列の行列式も学べるよう配慮。さらに、後半は行列式の実体に迫るために、少し抽象的な議論を行っているが、初学者にも親しめるように工夫をし、矩形行列式の意味が掴めるように詳細に解説。

目次

序章 矩形行列の行列式って?
 0.1 列数が1の場合
 0.2 列数が2の場合
 0.3 列数が3の場合
 0.4 一般展開式
 0.5 矩形行列の行列式の性質
 0.6 矩形行列の行列式の応用例
第1章正方行列の行列式から矩形行列の行列式へ
 1.1 用語と記号の準備
  1.1.1 集合と写像の用語
  1.1.2 ベクトルの話
 1.2 ベクトルと行列
  1.2.1 ベクトルの基本事項
  1.2.2 行列とは
  1.2.3 さまざまな行列
  1.2.4 行列の基本演算
 1.3 正方行列の行列式
  1.3.1 正方行列の行列式の定義
  1.3.2 n 次正方行列の行列式の値
  1.3.3 正方行列式の基本性質と特徴付け
  1.3.4 正方行列式の性質
 1.4 矩形行列の行列式
  1.4.1 矩形行列の行列式の定義
  1.4.2 矩形行列式の正方行列式による展開
  1.4.3 矩形行列式の基本性質
  1.4.4 1.4節の補足
 1.5 正方行列の対角化
  1.5.1 部分ベクトル空間とその次元
  1.5.2 直交行列
  1.5.3 実ベクトル空間から複素ベクトル空間へ
  1.5.4 固有値と固有ベクトル
  1.5.5 自己随伴行列の対角化
  1.5.6 正定値行列
第2章 Cullis行列式の一般的な取り扱い
 2.1 内積空間と線形変換
  2.1.1 縦ベクトルのベクトル空間
  2.1.2 線形変換
  2.1.3 ベクトル空間と座標
  2.1.4 双対空間
  2.1.5 内積空間
  2.1.6 横ベクトルのベクトル空間
  2.1.7 直和
 2.2 線形変換の名前と諸性質
  2.2.1 線形変換の名前
  2.2.2 スペクトル
  2.2.3 核と余核と極分解.
  2.2.4 多重線形汎関数と多重線形変換
 2.3 矩形行列の行列式再論
  2.3.1 置換(並べ替え)の符号
  2.3.2 Cullis行列式の再定義
  2.3.3 簡単な例
  2.3.4 一般行列式展開と符号
 2.4 基本公式
  2.4.1 射影Pcと等長変換Ec
  2.4.2 Cullis 行列式の特徴付け
  2.4.3 行ベクトルに関する性質
 2.5 一般ラプラス展開
  2.5.1 各種ラプラス展開
  2.5.2 矩形行列の交代冪行列
 2.6 矩形行列式の右乗法性
  2.6.1 行列式の右乗法性
  2.6.2 n×(n-1)等長行列式の意味
第3章 Cullis行列式の幾何学的解釈と一般逆行列
 3.1 グラスマン代数
  3.1.1 ベクトル空間のテンソル積
  3.1.2 テンソル積ベクトルの交代化
  3.1.3 分解可能kベクトルのの基礎的性質
  3.1.4 グラスマン代数の定義
 3.2 Cullis行列式とグラスマン代数
  3.2.1 Cullis行列式とCullis基底
  3.2.2 余Cullis行列式
  3.2.3 ホッジ作用素
  3.2.4 分解可能ベクトルの特徴付け
 3.3 グラスマン代数への線形作用
  3.3.1 生成作用素と消滅作用素
  3.3.2 Γ作用と交代冪行列
  3.3.3 Cullis基底を用いた別証明
 3.4 Cullis行列式の幾何学的性質
  3.4.1 非退化な矩形行列のファイバー
  3.4.2 Cullis行列式の双対性
  3.4.3 指向性球面
  3.4.4 指向性の最大・最小
  3.4.5 ファイバー内での行列式の不変性
 3.5 一般逆行列への応用
  3.5.1 一般逆行列の定義
  3.5.2 ムーア–ペンローズ逆行列
  3.5.3 Cullis行列式の応用
  3.5.4 規格左余因子行列とムーア–ペンローズ逆行列
第4章 Cullis行列式の話題
 4.1 矩形行列式の左乗法性
 4.2 Cullis行列式の指向性の左平均
  4.2.1 球面上の積分
  4.2.2 SO(3) のオイラー角
  4.2.3 SO(3) 上の不変積分
  4.2.4 一般の場合(付録Cより)
  4.2.5 指向性の左平均
 4.3 積み上げ行列の行列式
  4.3.1 単位行列の積み上げ行列
  4.3.2 同一行列の積み上げ行列
付録A 複比とプリュッカー関係式
 A.1 複比
  A.1.1  集合Proj1(R2) における複比
  A.1.2 複比の意味
  A.1.3 集合Proj1(R3) の図形
  A.1.4 射影幾何とは
 A.2 高次元射影空間での複比
 A.3 プリュッカー座標
付録B グラスマン多様体上の主ファイバー束
 B.1 スティーフェル多様体とグラスマン多様体
 B.2 スティーフェル多様体とCullis行列式
付録C 回転群上の不変積分
 C.1 曲面上の積分
 C.2 球面上の積分
 C.3 オイラー角
 C.4 オイラー角と球面座標
 C.5 SO(n) 上の不変積分
 C.6 不変積分の規格化
付録D 解答例
付録E ミュール卿の書物より
付録F 線形代数のあゆみ
 F.1 概観
 F.2 シルベスターの終結式について

定価:4,180円
(本体3,800円+税10%)
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