内容紹介
「なぜ周囲（資金源・一般）に研究の重要性が理解されないのか…」そうつぶやく研究者に向け、現役記者（論説委員）が素人にも分かる表現方法や相手（メディア）の特色・付き合い方を伝授。研究を発表する各記事での扱われ方の比較や、プレスリリース後の結果など、各種の事例を時間軸と掲載誌の種類からみた記者の視点から研究テーマをどのように見せればよいか解説する。研究発表時だけではなく、トラブルが起きた際のマスコミの受け取り方や、異業種の人間からうまく話を引き出す方法も紹介。
目次
第１章 相手のアンテナが反応する時
みんな忙しい中で／価値があるのは〔役に立つ〕か〔おもしろい〕か／情報は遅れないため、それとも先を行くため？／画期的なものは異分野融合でしか出てこない／資金提供側の期待するもの／価値とオリジナリティー／相手のことを思う／必要十分であるということ／技術とコミュニケーション力で鬼に金棒
【コラム】なぜ手の内を見せるのか
第２章 記事に採用されるリリースを書く
リリース（記者発表資料）配布でも掲載ゼロの理由／記者というコミュニケーターの心を動かす／記事の見出し・前文・本文から学ぶ／研究発表は三角形、新聞記事は逆三角形／〔正確さ〕より〔わかりやすさ〕／技術記者の出身は理系か文系か／研究成果のエッセンスを要旨にまとめよう／要旨の具体事例／技術リリースに必要な項目／採用されるリリースの具体事例
【コラム】効率的に気持ちよく書き上げる
第３章 報道の特性を押さえてマスメディアをフル活用する
情報は昔からタダだった？／メディア別記事の比較事例／一般紙と専門誌、全国紙と地方紙／ニュース、連載、読み物／発表記事とオリジナル記事／メディアが順次、扱ってくれるケースとは／記事を事前に見せない理由／〔科学技術村〕で関係者だけが騒ぐ／「外からいつも見てますよ」という姿勢／発表希望時のいろは／記者クラブが会見を仕切る意味
【コラム】他メディアスクープに翻弄される
第４章 記者を敵に回さず、味方につけよう
記者は個性で記事を書く／素人の会社員でコウモリ種族／一般記者と専門記者のプライド／ソフトウェア知財の記事展開事例／オリジナル取材決断の当落線上／シンポジウムは掃いて捨てるほどある／忙しい中で時間を調整してくれたなら／問い合わせの対応でボツか採用か決まる／しつこさが功を奏することも／回答が「取材をお断りします」だけでは……／書く立場と書かれる立場
【コラム】お互いに感謝の気持ちを
第５章 インターネットやアンケートは玉石混淆
東大・石川教授のメディアミックス／ブログやＳＮＳのトラブルに注意する／これって著作権侵害なの？／電子新聞、百花繚乱／インターネットで有名になる小規模組織／アンケートリテラシーを身につけよう／母集団、抽出法、サンプル総数、回答率をみる／比較に必須、有位差分析の基礎の基礎／相関があっても因果はいえない
【コラム】専門性と独自性で生き抜ける、と信じている
第６章 「これは！」という話をどう引き出すか
懇親会でさりげなく質問する／モテるのは聞き役タイプ／「変なことは言いふらさない人」と信頼されて／話を聞いて書く立場になったら／被災した東北大が書いてほしかったこと／相手が嫌がることも尋ねてみる／優しい人の文章はわかりにくい？
【コラム】大勢の中でこっそり聞いてメモをする
第７章 大学と企業、文化が違う相手と付き合う
捕らぬ狸の皮算用でもめる／年三億円の研究費を一企業から引き出す／利害渦巻く専門家同士の交渉ごと／組織を渡り歩いて力を磨くコーディネーター／産官学連携は繊細かつ大胆に／大学発ベンチャーの発明者vsプロの経営者／利用する相手ではなく〔パートナー〕／日本型のイノベーション創出を
【コラム】「Ａってうまくいっていないんでしょ」
第８章 熱意とプレゼンテーション力で心をつかむ
高分子材料研究者が先端医療をリードする／信念さえあれば／プレゼンでよい印象を残すポイント／「私は専門家ではないのですが」／学会とは違う記者会見での質問／関連の情報・データの用意は誠意のしるし／コミュニケーションの目的と手段を混同しない
【コラム】意地悪な球を知らん顔して打ち返す
第９章 コミュニケーションのトラブルを乗り越えて
震災で変わった科学技術コミュニケーション／リスクコミュニケーションに正答はない／求められるの「真実」よりむしろ「安心感」／「いった」「いわない」はもめ事の定番／おかしな情報が広がるのを止める
【コラム】著名人の学長、怒りの会見
