太陽活動と地球

太陽活動と地球

生命・環境をつかさどる太陽
原書名 The Sun, The Earth, and Near-Earth Space: A Guide to the Sun-Earth System
著者名 上出 洋介
宮原 ひろ子
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年07月
判型 B5 257×182
ページ数 266ページ
ISBN 978-4-621-08556-1
Cコード 0044
NDCコード 444
ジャンル 天文・地学 >  宇宙科学

内容紹介

太陽の光を源として誕生したように、地球上の生命は太陽の多様な恩恵を受けている。その一方で、科学技術の発達した現代では、社会のさまざまな場面が太陽活動によって脅かされている。本書では、優しくもあり厳しくもある太陽の活動が、どのようにして地球上の生命や環境に影響を与えているかについて、カラーの図表を豊富に使ってやさしく解説する。フレアをはじめとした太陽で起きる爆発現象から始まり、それらの現象が私たちのもとへとどのようにして伝わってくるのかを順を追って説明しているので、遠く離れた太陽と地球がひとつながりのシステムであることを感じ取れるだろう。近年問題となっている、太陽活動の長期変動が地球気候へおよぼす影響についても述べており、環境問題や社会のあり方を考えるうえでも欠かせない一冊。

目次

はじめに――新しい地球観
 私たちを取り巻く星たち/太陽に依存する私たち/変動する太陽/遠方からの侵入者/地球への来訪者/宇宙航海時代の発見の旅/新しい認識/つながったシステム
1.太陽
 恒星としての太陽/太陽への旅/燃え続ける太陽/隠された太陽のエネルギー源/遅れる届けもの/太陽から届く光エネルギー/太陽はどれくらい変わらない星か?/観測された太陽光/太陽の顔を最初に見たのは誰か?/長きにわたる観察/私たちの目に映る太陽/光球/黒点/明るく輝く白斑/光輝く表面の下にひそむ泡だて器/太陽のベールをはぐ/太陽の彩層とコロナ/コロナと彩層を見るには
2.太陽風と変動する太陽
 太陽風/太陽風の源と性質/太陽の変動/なぜ太陽は変動する?/太陽活動の短期,長期変動/太陽の爆発,噴出/爆発する太陽フレア/プロミネンスとフィラメント/コロナ質量放出
3.地球近傍の宇宙環境
 守られている惑星/私たちの頭上にある大気/てっぺんへ行く途中に/対流圏/成層圏/中間圏と熱圏/電離した高層大気/大気の終点/磁気圏へ/磁気圏の形と働き/粒子がたどる道/磁気圏に捉えられる/放射線帯/プラズマ圏/太陽圏/太陽圏を旅する 
4.地球が受け取る太陽放射の変動
 太陽放射量の変動/波長ごとの変動/大気の自転の影響/地球の公転軌道の影響/地球の大気で行方不明になる大気放射
5.地球近傍での粒子の流れ
 太陽からやってくる粒子の性質/太陽が源/コロナ質量放出で外に向かう粒子/フレアからの粒子/太陽風プラズマ/低速太陽風流の性質/高速太陽風流/太陽から広がる磁場のセクター構造/地球へ向けて押し合いへしあい/太陽粒子が地球を撃つとき/守りのゲートを越えて/磁気リコネクション/地球磁場変動の効果/宇宙線/宇宙線の運命
6.太陽の変動による影響
 太陽による地球への影響,社会への影響/地球近傍の宇宙空間への影響/磁気嵐/オーロラ/高層大気への影響/地球の電場を揺さぶる/電離圏の構造を変える/生命研を揺さぶる:下層大気,海洋,地表
7.生命と社会への影響
 何が影響を受けるのか?/社会的影響の例/航空機の乗客・乗務員の被ばく/有人宇宙飛行の危険性/大気の海/紫外線とエックス線が増える/太陽エックス線、明るい太陽光,太陽高エネルギー粒子と宇宙線/電離放射線の生理学的影響/被ばく量の重要性/起きかけた大惨事/宇宙探査と地球観測への影響/危険はいつ?/最も危険な飛行軌道/太陽地球系のラグランジュ点衛星/極軌道と南大西洋異常/同期軌道と静止軌道/太陽と放射線帯からの破壊的粒子/宇宙線/大気抵抗/マイクロ回路とコンピュータへの影響/ほかの宇宙機器へのダメージ/高エネルギー粒子によるダメージを避ける/通信,GPS,航行への影響/電波の直接/間接受信/太陽と太陽変動の役割/GSや航行システムへの影響/電力素伸への影響/1989年の大停電/磁気嵐はどのように電力システムを乱すのか?/太陽に原因のある停電はどこで最も多く起きるか?/地磁気誘導電流の電気代への影響/太陽による通信妨害の早期徴候/通信ケーブルへの影響/パイプラインへの損害/地質調査や探査への影響
8.地球の天気と気候への影響
 簡単な歴史/見つからないパズルの断片/地球が受け取るエネルギーを測る/太陽の歴史をさぐる/波長ごとの影響/太陽の変動に対する気候の敏感さ/太陽の11年周期の影響/海への影響/古代太陽の秘密の日記/炭素14の行く末・氷床コア中のベリリウム/北大西洋に残された過去11,000年間の太陽の影響
9.地球とその先での宇宙天気を予報する
 宇宙天気とは?/予報するには?/必要なデータはどこからくる?/許される警報時間は?/有人宇宙飛行にとくに必要なもの/現在の予報能力/運用機関/太陽圏物理システム観測所
本書をふりかえって
 気まぐれな太陽/何が変わったのか?/太陽と地球温暖化

定価:9,900円
(本体9,000円+税10%)
在庫:品切れ・重版未定