技術者倫理 日本の事例と考察

技術者倫理 日本の事例と考察

問題点と判断基準を探る
著者名 公益社団法人 日本技術士会登録技術者倫理研究会 監修
田岡 直規 編著
橋本 義平 編著
水野 朝夫 編著
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年01月
判型 A5 210×148
ページ数 320ページ
ISBN 978-4-621-08512-7
Cコード 3050
NDCコード 507
ジャンル 科学一般
機械・金属・材料 >  機械工学一般
人文科学 >  倫理学 >  応用倫理

内容紹介

日本の事例を取り上げて分析する技術者倫理の事例集。 これまでの技術者倫理の事例は、アメリカNSPEの翻訳か、土木、農学など業種を絞って解説とともに事例分析を行ったものしかなかった。本書では、日本技術士会の編纂により、多岐の技術分野にわたり、重要な倫理問題となった事例を取り上げ、「事実関係の概要と経緯」「争点」「判断基準」「考察」「結論」というフォーマットに則った構成で、わかりやすく解説。はじめに日本特有の倫理的背景や組織の状況などについて解説し類型化したうえで、具体的な事例を取り上げて考察・分析。

目次

第1章 技術者の倫理ナビゲーション
第2章 事例――原則で分ける 
 2.1 公衆優先原則
  201 エキスポランド ジェットコースター“風神雷神II”事故
  202 フェロシルト事件
  203 [仮想事例]再開発事業での土壌汚染対策
  204 公衆と公共
   (その1)デービスの「公衆」説
   (その2)日本国憲法の「公共の福祉」
   (その3)橋爪の「公共」説
  205 公衆・国民に知らせるには
   (その1)パブリック・コメントの効果
   (その2)振り込め詐欺撲滅——記者たちの意見
 2.2 持続性原則
  207 ごみ非常事態宣言から10年を経て
  208 クローン人間及びその応用である臓器移植問題
  209 地球温暖化と自然変動説
 2.3 有能性原則
  210 水俣病事例における問題解決遅延の原因
  211 金融工学暴走による世界同時金融不況
  212 老朽化する橋
   (その1)ミネアポリスの高速橋崩落
   (その2)日本の橋の維持・管理政策
  213 ハドソン川の英雄
  214 チリ鉱山33人救出作戦
 2.4 真実性原則
  215 六本木ビル自動回転ドア事故
  216 イタイイタイ病事例における不確実性下における判断
  217 検証不十分な発表用報告書
 2.5 誠実性、正直性原則
  218 現場のモラル(正直性・真実性・信頼性)と変更管理—技術者の役割:高圧ガス保安データ偽装事件を例として
  219 A地区区画整理事業破綻からの脱却
  220 大型設備の据付・組立
  221 企業における品質工学事例国際学会発表対応
  222 “安全”確保の不作為
   (その1)JR線運休2題
   (その2)手続き煩雑がっくり郵便局
  223 業務上知り得た情報の使用
  224 工事検査データの改ざん
 2.6 専門職原則
  225 回転機械における動力変換部品の抜け事故
  226 期末試験問題の漏洩疑惑事件
  227 談合・官製談合の課題
   (その1)水道メーター談合(2003年)——一般的な談合
   (その2)新潟市官製談合(2004年)——地域官製談合
   (その3)橋梁談合(2005年)——広域官製談合
  228 エステティック・サロンに登録した個人情報の流出
  29 耐えて歌った10時間
第3章 事例――義務で分ける
 3.1 注意義務
  301 カネミ油症事件(汚染食用油の希釈販売)
  302 森永ヒ素入り粉ミルク事件
  303 大型伝統製品の工法転換
  304 職務者個人の責任
   ・工事現場の管理
    (その1)トンネル水没事故——有罪
    (その2)下水道作業の増水事故——不起訴
    (その3)JR伯備線保線作業——有罪
   ・専門職の過失
    (その1)福島県大野病院の産科医無罪
    (その2)日航機ニアミス事故
  305 システム開発の遅延
  306 原因がわかってからの水俣病事件
   第1話 「水俣病」事件の全体像を描く
   第2話 水俣病公害防止工事(課題第三)
   第3話 科学(化学)の未知(課題第四)
   第4話 世代間の法と倫理(課題第六) 
 3.2 規範遵守(コンプライアンス)義務
  307 インド・ポパールの毒性イソシアン酸メチル漏洩による史上最悪の化学災害
  308 技術者にも係ってくる法律—独占禁止法を事例として
  309 食品香料会社の法定外添加物事件
  310 JCO臨界事故
  311 鉄筋コンクリート構造物欠陥事故から
  312 食品偽装(消費期限及び製造日、原材料表示偽装)事件
  313 空調機器の振動過大による製品落下
  314 コンプライアンス連鎖——賃金規制
  315 許認可の全体的な傾向
 3.3 環境配慮義務
  316 製鉄所排気・排水データ改ざん事件
  317 CVCCエンジン開発プロジェクト
  318 ダムの争点
   (その1)八ツ場ダム
   (その2)生態系重視が浸透
   (その3)川辺川ダム
   付.知られたダム問題
 3.4 継続学習義務
  319 継続学習の枠組み
   (その1)技能の学習
   (その2)技術の学習
   (その3)科学技術が人間・社会と接する学際的な広がり
 3.5 情報開示義務(説明責任)
  320 ガス瞬間湯沸器一酸化炭素中毒事故
  321 BSE(牛海綿状脳症)事件
  322 食品偽装事件——「比内鶏」社偽装事件(秋田県)
  323 システム障害
 3.6 忠実義務
  324 海外プロジェクトのマネージャ兼任
  325 製造部門M課の改革
  326 設計と施工の一体性(1)
  327 設計と施工の一体性(2)
  328 利益相反
   (その1)武蔵野市まちづくり条例検討委員会
   (その2)尼崎脱線事故調査委員会の報告書漏洩
   (その3)アンジェスMG問題
   (その4)大阪地検特捜部の証拠改ざん容疑
 3.7 守秘義務
  329 前職企業の企業秘密の漏洩
  330 守秘義務あるいは秘密保持義務
 3.8 自己規制義務
  331 核なき世界とマンハッタン計画
  332 東海道新幹線の車軸折損事故と技術者の対応
  333 不正アクセスによるソース・プログラムの入手
 3.9 協同義務
  334 医療職の分化と協同

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定価:3,300円
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