ショートコース 有機化学

ショートコース 有機化学

有機反応からのアプローチ
著者名 奥山 格
発行元 丸善出版
発行年月日 2011年10月
判型 B5 257×182
ページ数 154ページ
ISBN 978-4-621-08447-2
Cコード 3043
NDCコード 437
ジャンル 化学・化学工学
化学・化学工学 >  有機化学 >  基礎有機化学

内容紹介

私たちのまわりは有機物質で満ちあふれており、私たちの身体を作っているのも有機化合物。私たちの生活を豊かにしている種々の工業製品が有機反応で作られており、生命の営みも有機反応に基づいている。この多様な有機化学を学ぶためには、有機化合物をつくりあげる化学結合の基本原理と、その結合の組み替えである有機反応を支配する電子の流れとを理解することが重要。 本書はコンパクトに基礎的な事項をまとめているが、たんに有機化学の一端に触れるという一般教養としての有機化学教科書ではない。化学結合の原理に基づき有機反応がどのように起こるのか、電子の流れで反応を理解するという形をとっているので、有機化学を専門とはしないが、将来その応用分野に携わる可能性のある生命科学系および理工系専攻の基礎有機化学の教科書に適している。また、短時間に有機化学の骨組みと全体像をつかみつつ、さらに深く有機化学を学ぼうとする時の入門書。

目次

1 有機分子のなりたち
 1.1 原子の性質を決める電子
  1.1.1 原子の電子配置
  1.1.2 価電子と原子のルイス表記
 1.2 電子は対になる
  1.2.1 イオンの生成
  1.2.2 共有結合の形成
  1.2.3 結合の極性と双極子
 1.3 ルイス構造式
 1.4 共鳴法
 コラム 原子と元素,分子と化合物そして物質
     放射性炭素同位体による年代測定
2 分子のかたちと電子の広がり
 2.1 共有結合の軌道モデル:水素分子の結合
 2.2 炭素の結合
  2.2.1 メタンの結合:sp3混成軌道
  2.2.2 エテンの結合:パイ結合
  2.2.3 エチンの結合
  2.2.4 混成軌道のエネルギー
 2.3 ブタジエンの結合
 2.4 ベンゼンの結合
 2.5 芳香族性
 2.6 分子構造の表し方
 2.7 異性体
 コラム 心地よい芳香をもつ芳香族化合物
     光の吸収と色
3 いろいろな有機化合物とその性質
 3.1 炭化水素とその名称
 3.2 官能基と有機化合物の種類
  3.2.1 有機化合物の種類
  3.2.2 体系的命名法の考え方
 3.3 分子間に働く力と有機化合物の性質
  3.3.1 分子間力
  3.3.2 物質の状態
  3.3.3 溶解度
 コラム 有機資源:石油とガソリン 
4 酸と塩基
 4.1 プロトン酸と平衡反応
 4.2 酸の強さとそれを決める因子
 4.3 炭素酸とカルボアニオン
 4.4 有機化合物の塩基性
  4.4.1 アミンの塩基性
  4.4.2 弱塩基性有機化合物
 4.5 ルイス酸と塩基
 コラム
  緩衝液
  抽出
5 三次元の有機分子:立体化学
 5.1 アルカンの立体配座
 5.2 シクロアルカン
  5.2.1 シクロプロパン,シクロブタンおよびシクロペンタン
  5.2.2 シクロヘキサン
 5.3 シクロアルカンのシス・トランス異性
 5.4 鏡像異性
  5.4.1 キラルな分子
  5.4.2 キラル中心のR,S表示
  5.4.3 ジアステレオ異性
  5.4.4 キラル炭素をもたないキラル分子
 5.5 立体異性体の性質
  5.5.1 光学活性
  5.5.2 ラセミ体と光学分割
6 有機反応はどう起こるのか
 6.1 4種類の基本反応
 6.2 結合の切断と生成:3種類の反応機構
 6.3 反応のエネルギー
 6.4 軌道の相互作用
 6.5 巻矢印で反応を表す
 コラム HOMO-LUMO相互作用と福井謙一
     求電子種は発がん性をもつかもしれない
7 飽和炭素における反応I:ハロアルカンの置換と脱離反応
 7.1 求核置換反応
  7.1.1 SN2反応機構
  7.1.2 SN1反応機構
  7.1.3 カルボカチオンの安定性
  7.1.4 SN2とSN1反応機構の競争
 7.2 脱離反応
  7.2.1 E1反応機構
  7.2.2 E2反応機構
  7.2.3 E1cB反応機構
  7.2.4 脱離反応の位置選択性
 7.3 置換と脱離反応の競争
 コラム ハロアルカンと環境―フロンによるオゾン層破壊
     ハロアルカンと環境―ポリハロゲン化物の生態系への影響
     麻酔薬としてのポリハロ化合物
8 飽和炭素における反応II:アルコールとエーテルの反応
 8.1 酸触媒反応
  8.1.1 酸触媒求核置換反応
  8.1.2 アルコールの酸触媒脱水反応
  8.1.3 カルボカチオンの転位
 8.2 ヒドロキシ脱離基の変換
 8.3 エポキシドの開環
  8.3.1 酸触媒開環反応
  8.3.2 塩基触媒開環反応
 8.4 アルコールの酸化
 8.5 硫黄化合物
9 不飽和結合における求電子反応I:アルケンへの求電子付加
 9.1 アルケンへの求電子付加
  9.1.1 ハロゲン化水素の付加
  9.1.2 酸触媒水和反応
  9.1.3 オキシ水銀化とヒドロホウ素化
  9.1.4 ハロゲンの付加
 9.2 アルキンへの付加
 9.3 ブタジエンへの1,2-付加と1,4-付加
 9.4 ディールス・アルダー反応
 9.5 アルケンの酸化反応
 9.6 水素の付加
10 不飽和結合における求電子反応II:芳香族求電子置換反応
 10.1 求電子付加と付加―脱離による置換
 10.2 芳香族求電子置換反応の種類
 10.3 置換ベンゼンの反応
  10.3.1 ベンゼニウムイオンの安定性
  10.3.2 置換基の分類
 10.4 フェノールとアニリンの反応
 コラム sp2炭素同素体:グラファイトとフラーレン
11 不飽和結合における求核反応
 11.1 カルボニル基における求核付加と求核置換
 11.2 カルボニル基への水とアルコールの求核付加
  11.2.1 水和反応の平衡
  11.2.2 反応機構
 11.3 エステルの生成と加水分解
  11.3.1 酸性条件における反応
  11.3.2 塩基性条件における反応
 11.4 カルボン酸誘導体の反応性
 11.5 アミンとの反応:イミンとエナミン
 11.6 α,β―不飽和カルボニル化合物への共役付加98
 11.7 芳香族求核置換反応
  11.7.1 共役付加−脱離機構
  11.7.2 芳香族求核付加−脱離機構
 コラム シアノヒドリン生成反応と自然界にみられるシアノヒドリン
     PETとナイロン
12 カルボニル基のヒドリド還元と有機金属付加反応および有機合成計画
 12.1 ヒドリド還元
  12.1.1 金属水素化物
  12.1.2 炭素からのヒドリド移動
 12.2 有機金属化合物 
  12.2.1 グリニャール反応
  12.2.2 α,β-不飽和カルボニル化合物への付加
 12.3 有機合成計画
  12.3.1 逆合成解析
  12.3.2 保護基の利用
  コラム 瞬間接着剤の医療への応用と溶ける糸
      ビニル重合
13 エノラートの反応
 13.1 エノール化
  13.1.1 エノール化の平衡
  13.1.2 エノール化の反応機構
  13.1.3 エノールまたはエノラートを経て起こる反応
 13.2 アルドール反応
 13.3 クライゼン縮合
 13.4 エノラートのアルキル化
  13.4.1 1,3-ジカルボニル化合物のエノラートイオン
  13.4.2 リチウムエノラート
  13.4.3 エノラート等価体
 13.5 エノラートの共役付加
 コラム ボロディン:作曲家・化学者
     生体内のクライゼン縮合
14 生体物質の化学
 14.1 炭水化物と核酸
  14.1.1 単糖類
  14.1.2 二糖類と多糖類
  14.1.3 ヌクレオシド,ヌクレオチドと核酸
 14.2 アミノ酸とタンパク質
  14.2.1 アミノ酸
  14.2.2 ペプチド
  14.2.3 タンパク質
 14.3 脂質
  14.3.1 油脂
  14.3.2 リン脂質
  14.3.3 テルペンとステロイド
  14.3.4 エイコサノイド 
 コラム トレハロース
     ミセル
     スクアレンからステロイドの生合成

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