内容紹介
2008年11月に工業調査会より出版された同名書籍を再出版したもの。プラスチック最終製品において高性能化、高品質化が強く求められることから、部品の強度性能に対する要求が厳しくなっている。本書は割れトラブルをはじめとする、プラスチック部品の強度に関する基本的知識や対策を平易に解説した。各章を、基本概念を1〜2頁でまとめた<ポイント>と、より詳しい解説を加えた<Q&A>で構成することで、読者は端的に実践知識を得ることができる。
目次
1 強度と限界を知ろう
ポイント
1―1 プラスチックの強度は何によって生まれるか
1―2 プラスチックの強度はどこまで上げられるか
1―3 プラスチックの実用強度を向上させるには
1—4 プラスチックの破壊とは
1―5 延性破壊と脆性破壊の違い
Q&A
Q1・1 共有結合とはどのような結合ですか?
Q1・2 ファン・デル・ワールス結合とはどのような結合ですか?
Q1・3 水素結合とはどのような結合ですか?
Q1・4 欠陥部に集中する応力はどのくらいの大きさですか?
Q1・5 速度過程とはどのようなことですか?
2 活用のための基本的性質を知ろう
ポイント
2—1 プラスチックはなぜ粘弾性を示すのか
2―2 分子量と強度の関係は
2―3 結晶性と非結晶の違い
2—4 結晶の融点、結晶化温度、結晶構造とは
2―5 ガラス転移温度とは
2―6 分子配向とは
Q&A
Q2・1 応力緩和は時間によってどう変わりますか?
Q2・2 クリープ変形は時間によってどう変わりますか?
Q2・3 分子量の測定法にはどんな方法がありますか?
Q2・4 ガラスて点はどのように測定しますか?
Q2・5 結晶化度はどのように測定しますか?
Q2・6 結晶化温度、結晶の融点はどのように測定しますか?
3 活用時に役立つ力学的性質とは
ポイント
3―1 引張特性の見方
3―2 曲げ特性の見方
3―3 衝撃試験データの活用法
3―4 定ひずみおよび定応力下での長時間強度
3―5 疲労破壊の特徴は
Q&A
Q3・1 プラスチックの引張特性はどのように測定しますか?
Q3・2 プラスチックの曲げ特性はどのように測定しますか?
Q3・3 引張強度と曲げ強度はなぜ違うのですか?
Q3・4 シャルピー衝撃試験はどのような方法で測定しますか?
4 クラック現象を解明しよう
ポイント
4―1 クレーズとクラックの違い
4―2 ストレスクラックの特徴は
4―3 ソルベントクラックとは
4―4 ソルベントクラックの特徴は
Q&A
Q4・1 クレーズとクラックの識別方法はありますか?
Q4・2 ストレスクラックの測定方法は?
Q4・3 ソルベントクラック性を調べる方法は?
5 環境条件による劣化を知ろう
ポイント
5―1 熱劣化とは
5―2 加水分解劣化とは
5―3 紫外線劣化とは
5―4 放射線劣化とは
5―5 オゾン劣化とは
Q&A
Q5・1 老化と劣化とはどう違いますか?
Q5・2 熱劣化機構と劣化防止法は?
Q5・3 紫外線劣化機構と劣化防止法は?
Q5・4 光の波長が短くなるとプラスチックはなぜ劣化しやすくなるのですか?
Q5・5 オゾン劣化で生じるオゾナイトはどのような物質ですか?
6 成形時の劣化原因を探ろう
ポイント
6―1 熱分解に関係する要因は何か
6―2 成形時の加水分解の要因は何か
6―3 成形時に生じる欠陥部にはどんなものがあるか
6―4 再生材による劣化の要因は何か
Q&A
Q6・1 成形品が熱分解や加水分解しているか確認するにはどうするのですか?
Q6・2 主なプラスチックの予備乾燥条件や成形条件は?
Q6・3 欠陥部があると強度低下するメカニズムは?
Q6・4 再生材の混入率はどのように決めますか?
7 残留ひずみの悪さを知ろう
ポイント
7―1 分子配向ひずみとは
7―2 分子配向ひずみがあると、成形品の品質はどうなるか
7―3 残留ひずみの発生原理は
7―4 残留ひずみがあると、成形品の品質はどうなるか
7―5 分子配向ひずみと残留ひずみはどの工程で発生するか
7―6 アニール処理とは
Q&A
Q7・1 残留ひずみと残留応力はどう違いますか?
Q7・2 分子配向ひずみと残留ひずみは明確に判別できますか?
Q7.3 分子配向ひずみはどのような方法で測定しますか?
Q7・4 残留ひずみはどのような方法で測定しますか?
Q7・5 アニール処理はどのように行いますか?
Q7・6 アニール処理で注意することはありますか?
8 寿命を予測しよう
ポイント
8―1 寿命評価基準をどのように決めるのか
8―2 熱劣化寿命を予測する
8―3 使用中に温度が変化する場合のトータル寿命を予測する
8―4 加水分解寿命を予測する
8―5 促進暴露試験結果から屋外暴露寿命を予測する
8―6 クリープ破壊寿命を予測する
8―7 加速寿命試験による推定
Q&A
Q8・1 理路式による寿命予測法には、どの程度の信頼性がありますか?
Q8.2 アレニウスの式はどのような理論により誘導されるのですか?
Q8・3 クリープ破壊寿命予測の理論式はどのような根拠に基づきますか?
9 破損原因の究明と対策をどう進めるか
ポイント
9―1 割れトラブル状況の調査と原因究明の手順は
9―2 原因究明のための仮説の立て方は
9―3 異物の分析を行うには
9―4 破面解析(フラクトグラフィ)をどう利用するか
Q&A
Q9・1 異物分析法にはどのような方法がありますか?
Q9.2 プラスチック成形品の破面写真からどんなことがわかりますか?
Q9・3 破損原因を調べるには、どのような方法がありますか?
10 製品設計のための要点
ポイント
10―1 材料選定のポイントは
10―2 強度設計に必要なデータベース
10―3 荷重たわみを少なくする肉厚設計は
10―4 最適なコーナアールの設計は
10―5 最適なリブの形状設計は
10―6 最適なボスの設計は
10―7 ウェルドラインを避けるため、どう設計するか
Q&A
Q10・1 肉厚と荷重変形の関係はどのような式で表されますか?
Q10・2 許容応力はどのようにして決めますか?
Q10・3 コーナアール依存性を考慮した材料選定はどのようにしますか?
11 プラスチック成形品の割れトラブルを解消するには
ポイント
11―1 インサート金具周囲のクラック対策
11―2 ねじ接合部の割れトラブルを防ぐには
11―3 プレスフィット(圧入)による割れを防ぐには
11―4 接着部の応力集中を小さくするには
11―5 塗装による脆化を防ぐには
11―6 ソルベントクラックによる割れトラブル
Q&A
Q11・1 インサート周囲プラスチック層に発生
Q11・2 プレスフィットで発生する応力はどのくらいの値ですか?
Q11・3 複合した要因で割れトラブルが起きることはないですか?
Q11・4 割れトラブル発生率が低い場合にはどのように対策すればいいですか?
出版社からのメッセージ
本書は改訂版『設計者のためのプラスチックの強度特性 第2版』(2022年11月刊)を刊行しています。