内容紹介
ホタルを見る行為は、平安時代の「ホタル見」、江戸時代の「ホタル狩り」、現代の「ホタル観賞」と、およそ1,200年も続いてきたが、言葉が表すように自然の中から一歩下がって、窓越しに眺める対象に変わりつつもある。このままでは、ホタルの舞う日本の原風景は、人々から忘れ去られ、里山に乱舞するホタルの姿も消えてしまうかもしれない――本書は、南西諸島を除く日本国内で見ることができるホタル9種類の解説をはじめ、ホタルの舞う本来の自然環境の風景を紹介するとともに、より最新の知見を交えてゲンジボタルの一生、そして食餌として重要視されているカワニナについても記載し、まとめとしてホタルを取り巻く現状の問題点を列挙。ホタルと自然環境を保全、または復元する上での方向性を明示した。掲載されているすべてのカラー写真は、筆者撮影による自然風景写真であり生態写真である。どんな詳細な解説よりも多くのことを伝えてくれるだろう。
目次
第1章 日本産ホタル9種類の概要
1 水生のホタル
2 陸生のホタル
第2章 ホタルの風景
第3章 ゲンジボタルの一生
1 産卵
2 卵〜孵化
3 幼虫
4 上陸
5 蛹〜羽化
6 成虫
第4章 カワニナについて
1 カワニナの種類
2 カワニナの形態
3 カワニナの生態
4 カワニナの食性
5 カワニナの生息環境
6 ゲンジボタル生息地におけるカワニナの個体群動態
第5章 ホタルは里山の結晶である
1 間違いだらけのホタル復元活動
2 ホタル生息環境の保全と復元における理念とルール
3 ホタルが飛ぶということ
付録1 ホタルの風景写真の撮り方
付録2 世界のホタルの分類と種類
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