フランス文化事典

フランス文化事典

著者名 田村 毅
塩川 徹也
西本 晃二
鈴木 雅生
発行元 丸善出版
発行年月日 2012年07月
判型 A5 210×148
ページ数 798ページ
ISBN 978-4-621-08522-6
Cコード 0522
NDCコード 302
ジャンル 人文科学 >  人文科学_総記・事典

内容紹介

内容は3部構成であり、フランス社会に固有の文化を示す「フランスの社会と文化」、歴史の中の文化の変容を示す「フランス文化の流れ」、そして地理的な特有性と拡がり、とりわけ多様性を示す「フランス文化の多様性」からなる。第10章「フランス語圏文化」では、国境を越えて、旧植民地支配下でフランス語と母語との葛藤からどのような新しい言語表現が獲得されてきたかを問い、そして他方では、英語によるグローバルな支配下で、少数言語たるフランス語がどのような地平を切りひらいてきたかという、新たな視点が展開されている。「序章」では大きな枠組みとして、地理と歴史、思想、法律・政治・経済を示し、フランス文化の特質が、社会の仕組みそのものに起因することを示すと同時に、文化の差異が、人文学のみならず、社会科学から自然科学の多分野にわたるという視点を提示している。

目次

序章 フランスという国
 年表/地理/歴史/思想/法文化/政治文化/経済/企業
I.フランスの社会と文化
 第1章 社会
 〈文化の基盤〉
   文明と文化/記憶の制度化:「歴史記念物」から「文化遺産」へ/息づくアーカイブ/フランスの都市計画
 〈家族・ジェンダー〉
   女性・家族・子ども/パリテ/女性の身体の自己決定権/「子守」の歴史・現代保育事情/ゲイ文化
 〈教育〉
   教育/フランスの試験の特徴/学校教育事情(1):歴史・初等教育/学校教育事情(2):中等・高等教育/グランド・セゴール/哲学と哲学教育
 〈宗教〉
   宗教/カトリック/プロテスタント/プロテスタントの有名人/ユダヤ教/イスラム/イスラムのヴェール/ライシテ/村の司祭と小学校教諭/医療:宗教とライシテの視点から/フリーメイソン/神秘思想/マシア崇敬(聖母信仰)/巡礼地/カレンダー
  コラム
   ラ・フォル・ジェルネ/革命と異性装/「文化の民主化」と「音楽の民主化」:音楽する市民の形成/生徒参加/高等師範学校/国境なき医師団/奇跡のメダイユ/ガレット・デ・ロワ
 第2章 生活
 〈モード〉
   モードと女性/モードと男性/モードと異国趣味/黒:モードと色彩/モード雑誌/ロマン派と懐古モード/オートクチュール/百貨店
 〈食文化〉
   フランス料理の誕生(1):中世・ルネサンス/フランス料理の誕生(2):ヴェルサイユの時代/レストランの誕生:19世紀/フランス料理の国際化:20世紀/修道僧のワイン/フランス料理と日本人/シャルキュトリー/カトラリー(銀食器)/食べ物いろいろ(1)/食べ物いろいろ(2)/食べ物いろいろ(3)/食べ物いろいろ(4)/食べ物いろいろ(5)
 〈ヴァカンス・趣味〉
   ヴァカンス/休日の過ごし方/サーカス/ガイドブック:『ミシュラン・ガイド』と『ギド・ブルー』/切手/古銭学/花と女性:象徴,コミュニケーション,香り
 〈スポーツ〉
   フランス社会とスポーツ/フットボール/ラグビー/自転車/格闘技の文化/テニス
 コラム:レストラン・ジャポネ/ブーダン 
 第3章 芸術
 〈文学〉
   フランス文学/現代フランスの出版事情/文学賞/フランスの比較文学/翻訳出版事情  
 〈演劇〉
   演劇/いざ,劇場へ/演劇人と舞台/演劇活動
 〈美術〉
   美術/美術館/装飾美術(1):ルネサンスとマニエリスム/装飾美術(2):古典主義の形成と展開/装飾美術(3)ロココから帝政様式へ/装飾美術(4):ロマン主義からアール・デコへ/写真の歴史/ポピュラー文化としての写真/ポスター/ジャポニズム/装丁
 〈音楽〉
   音楽/音楽教育/フランス・オペラ/ミュージック・コンクレート/シャンソン/フレンチ・ポップス/ヴァリエテ・フランセーズ/ジャズのフランス
 〈映画〉
   フランス映画史(1):ヌーヴェル・ヴァーグ以前/フランス映画史(2):ヌーヴェル・ヴァーグ以後/文学者と映画/映画と越境/喜劇映画/ドキュメンタリー映画/恋愛映画
  コラム:日本文学の翻訳さまざま/花咲ける騎士道/ロック・フランセの今/美女と野獣/銀幕のスター(女優)/銀幕のスター(男優)
II.フランス文化の流れ
 第4章 フランスの誕生(中世)
  ガリア=ゴール=フランス/フランス語の黎明/シャルルマーニュの帝国/十字軍の時代/中世の僧院文化/ロマネスク教会/ゴシック教会/ジャンヌ・ダルク処刑裁判と演劇/中世フランスの恋愛観/中世フランスの知的遊戯/トルバドゥールの抒情詩の特色/中世の演劇
  コラム:ガリア人アステリクス/クリュニー美術館/サン・サヴァン・シュル・ガルタンプ修道院付属教会/ジャンヌ・ダルクとナショナリズム・「トリスタンとイズー」今昔
 第5章 ルネサンスから大革命へ
  フランス・ルネサンス/国語としてのフランス語の成立/辞書と事典:17世紀末以降を中心に/雄弁/モラリスト/デカルトとパスカル:その文化的需要/フェルマーの最終定理/バロックと新古典主義/シェイクスピアのフランス需要/ドン・ジュアン神話:ティルソ・デ・モリーナ/サロンと社交/ペロー『童話集』からマロ『家なき子』まで/赤ずきんと民話/ルソーとジュネーブ/聾唖者教育と盲人教育/《フィガロの結婚》:ボーマルシェからモーツァルトへ/イタリアへ/在ローマ・フランス・アカデミー/カフェ文化と18世紀/核家族の誕生/制度・言論・技術の観点から見た死刑/共和暦/《ラ・マルセイエーズ》/三色旗と白旗・赤旗/メートル法の成立:すべての時代に,すべての人々に
  コラム:アカデミー・フランセーズ/ズボン
 第6章 ロマン主義の時代
  貴族の文化とブルジョワの文化/風景と音:定食屋,残飯屋,市場/フランス人の自画像:19世紀パリと地方の風俗/人相学/社会のカリカチュア/創造するカリカチュア/風俗のカリカチュア/政治のカリカチュア/変装と古着屋/ロマン派の芸術家たち:ジョルジュ・サンド,ショパン,リスト/幻想小説とファンタスティックなもの/新聞と連載小説/オリエンタリズム,オリエント旅行記/オペレッタ/ロマンティック・バレエ
  コラム:バルザックとコーヒー/カフェ・アングレ・ネクタイとダンディズム/パノラマ・ジオラマ
 第7章 現代へ:モデルニテの行方
  デカダンス/ドレフュス事件と反ユダヤ主義/知識人(アンテレクテュエル)/物理学:ピエール・キュリーの業績とその影響/亡命文学者/アール・ヌーヴォー/バレエ・リュス/シュルレアリスム/シュルレアリスム演劇の誕生/サロン・ドートンヌと美術批評/画商たち:ヴォラールとカーンワイラーを中心に/前衛(アヴァンギャルド)/ル・コルビュジエ・/'68年5月/バンド・デシネ/アフリカ美術/コンテンポラリー・ダンスと地域文化政策/現代フランスのユダヤ文化
 コラム:第二次世界大戦中ニューヨークのフランス知識人/ナンシーのスタニスラス広場,カリエール広場,アリアンス広場/シュヴァルの理想宮/サン・ブノワ街グループ
III.フランス文化の多様性
 第8章 パリと郊外
   パリのセーヌ川とセーヌ河岸/パリの橋/パリの島巡り:シテ島とサン・ルイ島/ノートルダム・ド・パリ/パリ大改造/アパルトマンと中庭
 〈歴史的記念建築物〉
   パンテオンと文学者/凱旋門と無名戦士の墓/廃兵院(アンヴァリッド,レ・サンヴァリッド)/パリ万博会場/エッフェル塔
 〈美術館・博物館〉
   ルーヴル美術館/オルセー美術館/植物園と自然史博物館/蒐集家の家/ポンピドゥー・センター/フランス国立図書館(新・旧)/ケ・ブランリー美術館(博物館)
 〈劇場・音楽会場〉
   コメディ・フランセーズ/パリ国立オペラ座/パリのコンサート会場/ムーラン・ルージュとオランピア/パリとジャズ/映画都市パリ/パリの映画館/パリと新しい舞台芸術
 〈パリ散策(フラヌリー)〉
   都市の物音/パサージュ/メトロ/モンマルトル/モンパルナス:キキとマン・レイ/パリ国際大学都市/パリの墓地/蚤の市
 〈郊外へ〉
   サン・ラザール駅/サン・ジェルマン・アン・レー/ヴェルサイユ,宮廷祝祭,王のイメージ/フランス式庭園/ポール・ロワイヤル/イル・ド・フランス/フォンテーヌブローの森
  コラム
   パリの0地点/中世のルーヴル/チューブ入り絵の具の発明/ラングロワ事件/グレーヴとマニフェスタシオン/パリの街角/ザジとともに/煙突と煙突掃除人/水も滴るアパルトマン/カタコンブ/蒐集家アンドレ・ブルトン/メダン/画家の郊外
 第9章 地方
 〈パリから北へ〉
   アミアン大聖堂/リール
 〈パリから西へ〉
   ルーアン/ノルマンディ/ノルマンディの美しき二つの海岸/ル・アーヴルの再建計画/シェルブール/モン・サン・ミシェル/サン・マロ/シャルトル大聖堂/シュリー・シュル・ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷/ロワール川の古城/ヴァンデ地方/ブルターニュ/ブルターニュの伝承:伝説,民話/商港ナントと三角貿易/ポワチエ/ロシュフォール:海軍の街/ボルドー
 〈パリから東へ〉
   ランス:大聖堂とシャンパンの街/ブザンソンとユートピア/ヴォーバンの城塞/アルザス/アルザスの食文化/ストラスブール
 〈パリから南へ〉
   プロヴァン/ブールジュのサン・テティエンヌ大聖堂/ブルゴーニュの食文化/ディジョンとアロイジウス・ベルトラン/リヨン/グルノーブルとスタンダール/クレルモン・フェラン
 〈南仏〉
   エクス・アン・プロヴァンス/コート・ダジュールの青と画家/アヴィニョン歴史地区/フランス各地のフェスティバル:アヴィニョン/アルル/マルセイユ/フェリブリージュ:プロヴァンス語文学復興運動/フランス南部の世界遺産(1)/フランス南部の世界遺産(2)/ニームと闘牛/モンペリエ/トゥールーズ/ミディ運河/ルルド/バスク地方
 〈海を渡って〉
   コルシカ/レユニオン/ニューカレドニア
  コラム:エトルタ/音と光のスペクタクル/クレープ/ブロセリアンドの森/ジュール・ヴェルヌとナント/リモージュ/コニャック/ストラスブールのグラン・ディル/フォントネー修道院/リヨン光夜祭/南仏と女優/マーグ財団美術館/白夜祭(ニュイ・ブランシュ)/現実と理想が交差する島:シャトー・ディフ/カスレ/モン・ペルデュ/ニューカレドニアの日本人
 第10章 フランス語圏
  フランコフォニー/カタルーニャとフランス語文化/ベルギー/スイス・ロマンド(フランス語圏スイス)/マグレブ/カリブ海のフランス語文化(クレオール文化)/マダガスカルのフランス語文化/モーリシャス島/ブラック・アフリカから発信されるフランス語文化/インドシナ/ポリネシアのフランス語文化/タヒチ/カナダのフランス語文化
【付録1】フランス世界遺産一覧
【付録2】パリの主な美術館・博物館

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