内容紹介
世界中の糖質研究者から高い評価を得ている「Essentials of Glycobiology second edition」の日本語翻訳版で、糖鎖生物学を幅広く理解しやすい形で、系統立てて概説したテキスト。生体内で重要な役割をしている糖鎖について、機能や実験法、糖鎖が関わる病気等をわかりやすく解説している。対象は哺乳類、植物、酵母、細菌と幅広く設定。糖鎖生物学の発展の歴史、基本的構造や立体異性、生合成の入門的内容から、多様な生物における挙動、構造解析法、がんなどの病気との関連までが網羅する。第2版では、糖鎖が関わる遺伝病、グライコミクス、創薬への応用など最先端の情報をカバーし、新たな可能性を示唆している。
目次
一般原則
1 歴史的背景と概観
2 グリカンの多様性の構造的基礎
3 細胞のグリコシル化機構
4 グリコシル化の前駆体
5 糖転移酵素とグリカンプロセシング酵素
6 グリカンの生物学的役割
7 糖鎖生物学のゲノミクスの概要
構造と生合成
8 N-グリカン
9 O-GalNAcグリカン
10 スフィンゴ糖脂質
11 グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー
12 小胞体/ゴルジ体に由来するその他のタイプのグリカン
13 さまざまなタイプのグリカンに共通の構造
14 シアル酸
15 ヒアルロン酸
16 プロテオグリカンと硫酸化グリコサミノグリカン
17 核および細胞質におけるグリコシル化
18 O-GlcNAc修飾
有機体の多様性
19 グリカンの多様性の進化
20 真正細菌と古細菌
21 真菌類
22 緑色植物
23 線虫
24 節足動物
25 新口動物
グリカン結合性タンパク質の発見と分類
26 グリカン結合性タンパク質の発見と分類
27 グリカンの認識に関わる基本原理
28 R型レクチン
29 L型レクチン
30 P型レクチン
31 C型レクチン
32 I型レクチン
33 ガレクチン
34 微生物レクチン,ヘマグルチニン,アドヘシンおよび毒素
35 硫酸化グリコサミノグリカンに結合するタンパク質
生理学と疾患のグリカン
36 糖タンパク質の品質管理におけるグリカン
37 シグナル伝達分子としての遊離グリカン
38 発生そして全身の生理機能におけるグリカン
39 細菌感染とウイルス感染
40 寄生虫感染
41 グリカン分解の遺伝的異常
42 グリコシル化の遺伝的異常
43 後天性のヒト疾患とグリカン
44 がんにおけるグリコシル化の変化
測定法と応用
45 グリカン分析における抗体とレクチン
46 培養細胞のグリコシル化変異株
47 グリカンの構造解析
48 グライコミクス
49 糖鎖および複合糖質の化学合成,酵素合成
50 グリコシル化を阻害するための化学的ツール
51 バイオテクノロジーと医薬品産業における糖鎖