内容紹介
読者の興味・関心の高い話題を中心に読者が理解しやすいよう多数の図版を盛り込みながら高度な話題までを具体的に噛み砕いて解説。これまでのスポーツ科学の本ではとっつきにくかった内容がよく理解できるよう記述に配慮。スポーツ科学に関心をもつ初学者・愛好家に最適な入門書。大学のセメスター(15週)で使えるものを前提とし、教える側の興味でセレクトして講義できるよう20章立ての構成。
目次
第1章 スポーツサイエンスとは何か
1 科学雑誌にみる用語“Exercise”の引用回数の変化
2 20世紀初期のスポーツ科学の研究
3 日本でのトレッドミルを用いた酸素摂取量の測定
4 北欧のスポーツ科学をリードしたAstrand,P.O.教授
5 高地のトレーニング実験
6 “走”の研究
7 Hill,A.V.教授の来日と日本のスポーツ科学の夜明け
8 様々な競技種目の競技者と骨格筋線維の分類と性質
9 乳酸のエネルギー源としての再利用
第2章 スポーツにおけるエネルギーを生み出す仕組み
1 あなたは常に運動している?
2 ATPは三度の食事から
3 解糖系の反応速度は速く,酸化的リン酸化では多量のATPが産生される
4 ATPの消費と合成の関係
5 準備運動について
6 ミトコンドリア:エネルギー産生工場
7 驚異的なパフォーマンス
第3章 筋力とは何か
1 筋張力発生の仕組み
2 筋力発揮における力学的特性
3 筋力を調節する仕組み
4 筋張力が骨に伝わる仕組み
5 筋の活動(収縮)様式(静的・動的収縮)
6 腱張力-関節の回転力-筋出力の関係(関節のてこ構造)
7 動きのコントロール(随意運動と不随意運動)
第4章 スポーツとパワーならびにパワートレーニング
1 パワーとは?
2 競技種目と単関節パワー
3 主要筋群と動き
4 パフォーマンスと全身パワー発揮
5 ウエイトリフティングとパワーリフティングにおけるパワー発揮
6 ウエイトリフティングにおけるエネルギー転移の利用
7 パワーのトレーニング
8 まとめ
第5章 火事場の馬鹿力の生理
1 限界への挑戦
2 最大筋力にみる2つの限界
3 筋力発揮に及ぼす催眠暗示
4 筋力発揮に及ぼす薬物投与
5 「心頭滅却すれば火もまた涼し」の生理的な背景
6 スポーツ場面での「かけ声」の効果
7 「火事場の馬鹿力」と筋力の生理的限界
第6章 筋力トレーニングの実際
1 筋力を高めるためのトレーニング
2 筋力に影響する要因
3 バーベルを上げるトレーニングと下ろすトレーニング
4 最大筋力を高めるための具体的トレーニング法
5 筋量を高めるための具体的トレーニング法
6 筋力トレーニングと有酸素運動の組み合わせ方
7 新しい筋力トレーニング
第7章 持久力と呼吸・循環機能
1 呼吸機能
2 運動と循環調節機能(血液によるガスの運搬)
3 運動と酸素運搬系
4 まとめ
第8章 長距離・マラソンの科学
1 マラソンの歴史
2 マラソンの記録の変化と将来の記録の予測
3 マラソンで使用されるエネルギーは?
4 マラソンは女子の方が強い?
5 マラソン・長距離走のトレーニング
第9章 持久力と高地トレーニング
1 高地環境の特性
2 高地における生理的変化
3 高地環境が時給制競技パフォーマンスに及ぼす影響
4 高地トレーニングが平地での持久性競技パフォーマンスに及ぼす影響
5 高地トレーニングの最近の動向
6 まとめ
第10章 スキルの科学
1 スポーツの上手下手
2 脳のスキル
3 練習効果の生理学的メカニズム——からだで覚えるとは脳で覚えること
4 上手になるための練習の原則
第11章 走動作のバイオメカニクス
1 加速曲面
2 等速曲面
3 原則曲面
第12章 暑熱,汗,運動
1 発汗の意義と仕組み
2 運動時の発汗特性
3 暑熱硬化と運動トレーニングの影響
4 老若男女差
第13章 冬季スポーツの生理
1 冬季スポーツの種類
2 冬季スポーツの特色 姿勢のバランスと競技成績
3 「滑る条件」のバイオメカニクス
第14章 スポーツと加齢――エイジング
1 はじめに
2 加齢に伴う身体組成の変化
3 加齢に伴う身体能力の変化
4 加齢に伴う身体能力低下の予防策
5 まとめ
第15章 運動・肥満・生活習慣病――将来の健康対策
1 わが国の健康づくり対策
2 肥満とは
3 肥満と疾患
4 肥満,生活習慣病と運動
5 健康増進・維持のための運動指針
第16章 スポーツと形態
1 形態とは
2 身体組成の変化と減量
3 スポーツ選手の過体重と肥満
第17章 アダプテッド・スポーツ:障害者の体育・スポーツ
1 その人にあったスポーツのアダプテッド・スポーツ
2 アダプテッド・スポーツの対象者
3 アダプテッド・スポーツと体育・スポーツとのすみ分け
4 アダプテッド・スポーツの原点
5 リハビリテーションスポーツから競技スポーツへ
6 体力のトレーナビリティ
第18章 宇宙環境と体力――無重力環境と身体の適応
1 宇宙環境への挑戦
2 宇宙環境(無重力)での身体の変化
3 無重力の身体への大きなインパクト
4 筋量と筋力の低下に対する予防対策
第19章 スポーツと栄養
1 アスリートの栄養摂取で大切なこと
2 スポーツ活動と栄養
3 アスリートへの栄養サポート
4 三大栄養素の働き
5 ビタミンとミネラルの働き
6 コンディショニングと栄養
7 体重の増量と減量と栄養摂取
8 疲労回復と栄養摂取
9 スポーツ現場における栄養教育とサポート
第20章 スポーツと睡眠
1 「よく働き、よく休む(眠る)」
2 眠りと生体リズムのメカニズム
3 時差ぼけ(Jet lag)
4 眠らないとどうなる?(断眠ストレスとストレスタンパク質)
5 スポーツと睡眠
6 おわりに